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怒りの投稿に「いいね」をもらった人は怒りの投稿が激化するという研究結果


TwitterのようなSNSは、個人的な文章のやり取りの他に「いいね」や「共有」で投稿に対してリアクションを示すことができます。このようなリアクションはユーザーにとって「報酬」と捉えられ、一部のユーザーは「報酬」欲しさに投稿がより激化する可能性があることが、研究により示されました。

How social learning amplifies moral outrage expression in online social networks | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/7/33/eabe5641


'Likes' and 'shares' teach people to express more outrage online
https://phys.org/news/2021-08-people-outrage-online.html

イェール大学のウィリアム・ブレディ氏らは、Twitterの投稿で「怒り」を表明したユーザーのその後の投稿を追跡調査することに。「怒り」を追跡できる機械学習ソフトウェアを作り上げ、7331人のTwitterユーザーと約1270万件のツイートを分析して、ユーザーが時間と共にどれほどの「怒り」を示したのかを研究しました。ソフトウェアは特定の単語や大文字、感嘆符などに基づいて投稿を識別するものでした。

ブレディ氏らは研究を進めるうちに、日々の「怒り」の投稿が他ユーザーからのリアクションと有意に関連していることを発見します。さらに、「怒り」を表明した投稿に「いいね」や「リツイート」を多くもらったユーザーは、「怒り」を表現したことで「報われた」と感じ、後の投稿で「怒り」を表明する可能性が高くなったことも分かりました。


例えば、「怒り」を表明した投稿に通常の投稿の倍の「いいね」や「リツイート」をもらったユーザーは、後の投稿で「怒り」を表明する投稿を2~3%増やすことが判明しました。ブレディ氏らは「数値として見るとわずかですが、『怒り』への『いいね』や『リツイート』は劇的に増加する可能性があり、ユーザーは注目を集めたり人間関係を維持したりするために『怒り』の投稿を増加させる可能性があります」と述べました。

また、政治的に穏健派である人々は、政治的に過激派である人々よりも「怒り」を表明する投稿は少なかったものの、「より周囲の影響を強く受ける」ということも分かったとのこと。穏健派の人々は、関係を築いた周囲の人々の多くが「怒り」を表明する人々だった場合、より「怒り」を表明する可能性が高くなりました。

ブレディ氏らは「SNSは中立的なプラットフォームを提供していると言いますが、SNSのメカニズムが『怒り』を増幅させる構造なのは明らかです」と述べました。


ブレディ氏らは「テクノロジー企業はプラットフォームの設計によって『集団運動の成果に影響を与える』ということを認識しておくべきです。『怒り』は社会的および政治的に決定的な変化をもたらします」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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