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WHOのテドロス事務局長がワクチン3回接種に「待った」をかける、新型コロナワクチンの格差問題に懸念

by UN Geneva

世界保健機関(WHO)が2021年8月4日に、新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種を少なくとも9月末以降まで見送るよう求める声明を発表しました。WHOのテドロス・アダノム事務局長は先進諸国に対し、ワクチンの供給が不足している低所得国への配慮を呼びかけています。

Head of UN health agency seeks vaccine booster moratorium
https://apnews.com/article/health-coronavirus-pandemic-united-nations-0e7636c1bcf61e70d9e61ce70300aa78

WHO calls for halting COVID-19 vaccine boosters in favor of unvaccinated | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-calls-moratorium-covid-19-vaccine-booster-doses-until-september-end-2021-08-04/

新型コロナウイルスワクチンを開発しているアメリカの大手製薬会社・ファイザーは2021年7月に、ワクチンを3回接種する「ブースターショット」がデルタ変異株に対する抗体を大幅に増加させるとの臨床試験結果を発表しました。これを受けて、同社は3回目のワクチン接種について規制当局との協議を開始したほか、イスラエルでは既に高齢者に対する3回目の予防接種に踏み切っています。

ワクチンを3回接種する「ブースターショット」がデルタ変異株への防御を高めるとファイザーが発表 - GIGAZINE


裕福な国々でワクチンの3回目の接種についての議論が始まる傍らで、貧しい国ではワクチン不足が深刻な状況にあります。世界的な課題を扱うニュースサイト・Our World in Dataの調べによると、2021年6月の時点で世界人口の約10.04%がワクチン接種を完了している一方、低所得国では1回目の接種を済ませた人がわずか0.9%にとどまっているのが現状とのことです。

世界の「ワクチン接種率格差」はどうなっているのか? - GIGAZINE


このように、裕福な国と貧しい国とでワクチン接種の格差が広がる中、WHOは少なくとも9月末までワクチンの追加接種を控えるよう先進国に求める声明を出しました。

テドロス事務局長は声明の中で、「デルタ変異株から国民を守りたいという各国政府の懸念は理解できます。しかし、すでに世界のワクチンのほとんどを使っている国が、さらにワクチンを使うのは受け入れられません」と話しています。


WHOは5月に、「9月末までに世界人口の10%がワクチンを接種する」という目標を掲げました。しかし、高所得国では5月の時点で100人あたり約50回のワクチン接種が行われている一方で、低所得国ではワクチン不足のため、100人に1.5回分しか投与できていないのが現状です。

また、ワクチン未接種の地域が存在することで新たな変異株が発生しかねないと指摘する声も上がっています。国境なき医師団の感染症医療アドバイザーを務めるElin Hoffmann Dahl氏は、「世界の大部分の人がワクチン接種を受けていない状況が続けば、将来的には間違いなく新しい変異株に対応したワクチンが必要になるでしょう。従って、健康な成人にワクチンのブースターショットを実施するというのは近視眼的な考えと言えます」と指摘しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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