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「ゲームは精神的なアヘン」と中国国営メディアが批判してテンセントなどゲーム企業の株価が急落


中国では近年、若者がゲームに熱中しすぎることが社会的に問題視されており、未成年のプレイ時間を制限する目的で「実名検証システム」が導入されるなどの規制が行われています。2021年8月3日には、中国国営の経済専門紙である経済参考報が「ゲームは精神的なアヘン」と批判した記事を公開したことを受け、テンセントネットイースXDなどの株価が急落する事態となりました。

China gaming shares dive after 'spiritual opium' warning
https://techxplore.com/news/2021-08-china-gaming-spiritual-opium.html


China's Tencent limits gaming for minors after media outcry
https://techxplore.com/news/2021-08-china-tencent-limits-gaming-minors.html

Tencent, NetEase shares tank after Chinese media calls gaming 'opium'
https://www.cnbc.com/2021/08/03/tencent-netease-shares-tank-after-chinese-media-calls-gaming-opium.html

経済参考報が公開した記事は、子どもたちの間で「オンラインゲーム中毒」が広範囲に及んでいることに警鐘を鳴らす内容であり、未成年者が夢中になっているゲームとして、テンセントの人気ゲーム「王者栄耀」を挙げています。記事の中では、王者栄耀に熱中しすぎた学生が、1日8時間もゲームをプレイしているといった事例を紹介していたとのこと。

また、記事は「ゲームの有害性は社会においてますます広く認識されており、ゲームはしばしば『精神的なアヘン』『電子ドラッグ』と呼ばれています」と述べ、ゲームを麻薬と同列視しました。その上で、「世代を破壊するような方法で産業を発展させてはならない」という見解を引用し、ゲームを若者に悪影響を及ぼすものとして非難しています。

オンラインで公開された経済参考報の記事は数時間後に削除され、見出しや「アヘン」への言及が削除されて再公開されましたが、この記事を受けてゲーム企業の株価が急落する事態に。香港株式市場では3日、王者栄耀を配信するテンセント株が記事公開直後に10%近く下落し、最終的に前日比で6%安となりました。ネットイースやXDも前日比8%安となったほか、東京株式市場でもネクソンの株価が前日比6.5%安となっています。


中国では2019年に、「18歳未満の子どもが22時から翌朝8時までの時間帯にオンラインゲームをプレイすることを禁止し、平日のプレイ時間は1時間30分、休日は3時間に制限する」という規制が設けられました。ところが、テンセントは経済参考報の記事が公開された後に発表した声明でさらにゲーム規制を強化し、18歳未満のプレイ時間を平日は1日1時間、休日は2時間までに制限することを約束しました。

また、テンセントは12歳未満の子どもがゲームにお金を使うことを禁止するとしたほか、12歳未満の子どもに対しゲームのプレイ自体を禁止する可能性についても、業界全体で議論するように呼びかけたとのこと。

アジアのゲーム市場調査会社であるNiko Partnersで上級アナリストを務めるダニエル・アフマド氏は、中国におけるゲーム企業の収益はほとんどが18歳以上のプレイヤーから生み出されていると指摘。「若者がゲームに依存するのを防ぐための対策が講じられたとしても、ゲーマーのプレイから収益が生み出されるのを止めることはできないでしょう」と述べました。


中国政府は近年、ゲームに限らずさまざまな分野への締め付けを強化しています。2021年7月にはオンライン学習塾などへの規制が強化され、既存の塾が営利企業として株式を上場することを禁止し、休日や長期休暇の授業を認めないことが発表されました。また、海外での上場を目指す中国企業に対しては、「100万人分以上のユーザーデータを保有する場合、上場前に政府機関によるセキュリティレビューを受けなければいけない」とする規則も設けられています。

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in ゲーム, Posted by log1h_ik

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