サイエンス

新型コロナウイルス感染症の後遺症による認知能力への影響は脳卒中よりも大きい


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による後遺症として、集中力低下や方向感覚の喪失、正しい言葉がわからなくなるなど「脳の霧(ブレインフォグ)」と呼ばれる症状が報告されています。実際に8万人規模で能力測定テストを行ったところ、COVID-19感染者は非感染者と比べてテストのスコアが低く、特に人工呼吸器を装着したという重症の患者の場合、IQ7ポイント分に相当するスコア低下が見られたとのことです。

Cognitive deficits in people who have recovered from COVID-19 - EClinicalMedicine
https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2021.101044


Large study finds COVID-19 is linked to a substantial drop in intelligence
https://www.psypost.org/2021/07/large-study-finds-covid-19-is-linked-to-a-substantial-drop-in-intelligence-61577

COVID-19は「症状が軽かったとしても脳に深刻な障害をもたらす恐れがある」ことが報告されています。実際に、回復後も「脳の霧」と呼ばれる認知症のような症状に悩まされている人が出ています。

新型コロナから回復した人の一部が経験する「認知症のような症状」の実態とは? - GIGAZINE


インペリアルカレッジロンドンの主任研究員アダム・ハンプシャー氏らは、8万1337人の協力者のデータを用いて、COVID-19による認知機能への影響を調査しました。ハンプシャー氏らが行ったのは、9種類の認知能力測定テストです。


その結果、COVID-19感染者は非感染者と比べて低いスコアとなりました。特に影響が見られたのは「推論」「計画」「問題解決」を必要とする部分で、「脳の霧」の症状と一致する部分でした。

また、認知能力の低下幅は症状の度合いとも関連がみられ、「人工呼吸器を装着した」という人は特にスコアの低下が目立ちました。低下幅は、古典的な知能テストでいうところのIQ7ポイント分に相当したとのこと。なお、重症者のスコアは、脳卒中を患った人や学習障害の人のスコアよりも低かったとのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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