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海が燃えているように見える不思議な火災はなぜ発生したのか?


現地時間の2021年7月2日、まるで海が燃えているかのように見える不思議な火災がメキシコ湾で発生しました。「炎の目」とも呼ばれたこの火災の原因について、石油企業は海底パイプラインのガス漏れが原因だと報告しています。

Huge Fire Near Pemex Offshore Platform Was Due to a Gas Leak - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-07-06/huge-fire-near-pemex-gulf-coast-platform-was-caused-by-gas-leak

'Eye of fire' in Mexican waters snuffed out, says national oil company | Reuters
https://www.reuters.com/business/energy/fire-offshore-pemex-platform-gulf-mexico-under-control-2021-07-02/

Mexican oil giant says no environmental damage from raging Gulf fire | Reuters
https://www.reuters.com/business/environment/mexican-oil-giant-says-no-environmental-damage-raging-gulf-fire-2021-07-06/

海の中で炎が燃えているように見える火災の様子は、以下のムービーを見るとよくわかります。

Mexico oil firm suffers huge gas pipeline fire in Gulf - YouTube


海の真ん中で燃えさかる炎。


離れた位置から3隻の船が放水しているのがわかります。


まるで海中から溶岩が湧き出しているかのようです。


炎の付近には掘削施設らしき建造物も確認できます。


火災が発生したのはメキシコ湾に面した都市・カンペチェの沖合であり、メキシコの国営石油企業であるペメックスが所有するク・マロブ・サップ油田のプラットフォームから150mほど離れた地点だったとのこと。マ・クロブ・サップ油田は、ペメックスが所有する中で最も収益性が高い油田の1つだそうで、ペメックス全体が産出する1日当たりの石油量170万バレル(約2億7000万リットル)のうち、40%以上を産出しているとロイターは指摘しています。

ソーシャルメディア上で「炎の目」とも呼ばれたこの火災には、環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリ氏やアメリカ上院議員のバーニー・サンダース氏などが反応し、化石燃料への依存や石油産業を非難しています。

Meanwhile the people in power call themselves "climate leaders" as they open up new oilfields, pipelines and coal power plants - granting new oil licenses exploring future oil drilling sites.
This is the world they are leaving for us. https://t.co/4hQ8nm11Fd

— Greta Thunberg (@GretaThunberg)

Please do not tell me that ending our dependency on fossil fuels is too radical — THIS is radical. https://t.co/mPbrSEoVg5

— Bernie Sanders (@BernieSanders)


メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領やペメックスの幹部は、火災の原因は石油の流出ではなく、石油プラットフォームを構成する海底パイプラインのガス漏れが原因だと説明しています。ペメックスの声明によると、悪天候の影響でパイプラインのガス燃料圧縮装置に問題が発生してガス漏れが起き、海面まで浮き上がったガスに引火して火災が発生したとのこと。

火災が発生したのは現地時間の7月2日5時15分頃。海上での消火活動が行われたほか、ガス漏れを止めるためにパイプラインを接続するバルブを閉めると同時に、炎を抑えるために窒素の注入などが行われ、火災は5時間ほどが経過した10時30分頃に消し止められました。なお、今回の火災によるケガ人は報告されておらず、生産計画に影響もなかったとペメックスは述べています。


ペメックスは今回の火災による石油の流出はなく、迅速な対応によって環境被害が回避されたと主張して、今後はガス漏れの根本的な原因特定を行うと声明で述べています。一方、メキシコ環境法センター(CEMDA)の理事であるGusatvo Alanis氏はロイター通信に対し、火災が環境に影響を及ぼさなかったと判断するのは時期尚早だと指摘。また、CEMDAやグリーンピースなどの市民団体連合は7月5日、深海からの石油採掘や油田拡張の禁止、火災が環境に及ぼした影響の詳細な調査や環境の修復を求める声明を公開しました。

Sociedad civil exige cese al ecocidio de la industria petrolera en México - CEMDA
https://www.cemda.org.mx/sociedad-civil-exige-cese-al-ecocidio-de-la-industria-petrolera-en-mexico/

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in 動画, Posted by log1h_ik

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