メモ

アメリカ司法省がジュリアン・アサンジを起訴するために用意した証人が「証言を偽造した」と告白


内部告発サイトWikiLeaksの共同創設者であるジュリアン・アサンジ氏は、アメリカ司法省から起訴されています。この起訴状内の証言が偽造されたものであると、証言した本人が海外メディア・Stundinのインタビューの中で告白しました。男性は、アメリカ司法省および連邦捜査局(FBI)から過去の罪状の免責を持ちかけられ、証言を偽造したと語っています。

Key witness in Assange case admits to lies in indictment - Stundin
https://stundin.is/grein/13627/key-witness-in-assange-case-admits-to-lies-in-indictment/

2019年4月11日、アサンジ氏は性的暴行容疑でイギリス警察に逮捕され、ロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されました。後の11月19日に暴行容疑に対する捜査は打ち切られましたが、それとは別にアメリカ司法省がアサンジ氏をスパイ防止法違反の罪で起訴しており、2020年6月24日にはアノニマス関連ハッカーとの共謀で追起訴しました。

WikiLeaks創始者ジュリアン・アサンジが「アノニマス」に関連したハッカーとの共謀で追加の起訴を受ける - GIGAZINE

by Espen Moe

アメリカ司法省がアサンジ氏を起訴した際、証言を行ったのがシーグルズル・インギ・ソーダーソン氏。しかし、ソーダーソン氏はStundinのインタビューの中で、自身が過去に犯した未成年者への性的虐待および金融詐欺に関する有罪判決の免責を持ちかけられ、証言を偽造することになったと明かしました。

ソーダーソン氏は2010年にWikiLeaksのために資金調達を行っていた人物で、5万ドル(約550万円)以上の資金を横領したことで有罪判決を受けました。アメリカ司法省とFBIはソーダーソン氏の過去の罪を免責する代わりに、アメリカ政府に関する数々の機密情報をリークしてきたWikiLeaksの創設者であるアサンジ氏を起訴しようとしたわけです。

アサンジ氏は現在スパイ防止法違反の罪などで起訴されており、アメリカ政府はイギリスからの身柄の引き渡しを求めている最中です。アサンジ氏が有罪判決を受けた場合、同氏は最大175年の懲役に直面する可能性があります。


起訴状の中で、アメリカ司法省は28歳のソーダーソン氏を「ティーンエイジャー」、アイスランドのことを「NATO Country 1」と呼び、「アサンジ氏がソーダーソン氏にアイスランドでコンピューターへの侵入やハッキングを指示した」と主張しています。さらに具体的に言うと、起訴状の中には「アサンジ氏の指示のもと、国会議員のコンピューターをハッキングし、会話を録音しようと試みた」と書かれています。

しかし、ソーダーソン氏はアサンジ氏からハッキングを指示されたことは「一度もない」とStundinに語りました。実際にソーダーソン氏がアサンジ氏とやり取りしたのは、「『アサンジ氏とこのデータを共有してほしい』と申し出てきた第三者から、いくつかのデータファイルを受け取っただけ」だそうです。このデータに録音データが含まれていた可能性はあるものの、ソーダーソン氏は「中身はチェックしていない」と述べました。

一方で、2021年1月にVanessa Baraitser判事が下した判決では、アメリカ司法省とFBIの「アサンジ氏がアイスランドでハッキングを主導し、録音データを収集した」という主張が支持されており、両者が画策した証言の偽造が見事に成功していることがわかります。


アメリカ司法省による起訴状には、他にも偽造された箇所が存在します。例えば、2021年1月の判決では「アサンジ氏とティーンエイジャーが、NATO Country 1の『銀行から盗まれたファイル』を解読する共同の試みを行い、失敗した」と述べられましたが、ファイルはアイスランドの銀行内部の告発者がリークしたものであり、厳密に言えば「盗まれたもの」ではありません。

他にも、起訴状に「警察車両を追跡するために、NATO Country 1の政府ウェブサイトにアクセスするべく、アサンジ氏は情報提供者から与えられた情報を用いて不正アクセスを行った」と書かれているのですが、ソーダーソン氏は「アクセスに使用した情報はアサンジ氏本人のものであり、不正な手段で入手したものではありません」と述べています。


ソーダーソン氏は自身の発言を裏付けるため、同氏がWikiLeaksのために働いていた2010年から2011年にかけてのチャットログを、Stundinに提出しています。チャットログを精査したStundinは、「ソーダーソン氏とWikiLeaksのスタッフとの会話や、ソーダーソン氏が接触した国際的なハッキンググループのメンバーとのコミュニケーションの詳細が含まれていました」と記しました。ソーダーソン氏が独自にハッキンググループのメンバーと連絡を取っていたこともチャットログから明らかになったそうですが、WikiLeaksのスタッフ側にこのことは伝えられておらず、「WikiLeaks側がこのことを知るすべはなかった」とStundinは指摘しています。

さらに、チャットログをさかのぼった結果、ソーダーソン氏は外部と連絡する際に自身を「WikiLeaksのナンバー2」や「コミュニケーション責任者」などと誇張して伝えており、ハッカーに対して不正アクセスやDDoS攻撃を行うよう強要していたことも確認できたそうです。

そして、ソーダーソン氏の主張通り、WikiLeaks側からこれらのサイバー攻撃を行うように指示されたようなチャットログは「見つけることができなかった」とStundinは記しています。ただし、ソーダーソン氏は「(ソーダーソン氏がハッカーと連絡を取りサイバー攻撃を主導していたことを)アサンジ氏は把握しており、彼自身もこれを期待していたと思う」と語っています。なお、アサンジ氏によるサイバー攻撃を望むような発言は、チャットログから見つけられなかったとStundinは述べました。


他にも、ソーダーソン氏はハッカーグループ「LulzSec」のメンバーであるSabu氏と共に違法なサイバー攻撃を繰り返していました。しかし、これもWikiLeaks側から指示されたものではありません。なお、ソーダーソン氏は当時知らなかったものの、2011年6月に協力者のSabu氏はFBIに逮捕されており、同局の情報提供者および協力者になるように脅されていたそうです。そのため、ソーダーソン氏がSabu氏に「アイスランド政府に対してサイバー攻撃を仕掛けるように」と要求した際、Sabu氏はすでにFBIの監視下にありました。これらのことから、Stundinは「FBIはアサンジ氏をソーダーソン氏によるアイスランド政府へのサイバー攻撃の計画に巻き込むことを図っていた可能性がある」と記しています。

実際、当時アイスランドの内務大臣を務めていたオグムンドゥル・ヨナソン氏は、FBIとアイスランド政府の間に連携があったことを認めており、「アメリカ政府はアイスランドでの出来事を用い、我々の国の人々を使い、ジュリアン・アサンジ氏を捕まえるためのクモの巣をインターネット上に配備していました」と語っています。

なお、ソーダーソン氏はアサンジ氏の名をかたり、自身の個人口座にお金を送金するよう指示したことがWikiLeaksのスタッフにばれたため、資金横領の罪から逃れるためにアイスランドにあるアメリカ大使館に「犯罪捜査に関する情報を提供する」という旨のメールを送信。ここから、ソーダーソン氏はアメリカ司法省がアサンジ氏を起訴するための情報提供者になることを提案されることとなったそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
WikiLeaks創始者ジュリアン・アサンジの裁判は「正義に対する侮辱」、アムネスティ・インターナショナルも警鐘を鳴らす - GIGAZINE

WikiLeaks創始者ジュリアン・アサンジが「アノニマス」に関連したハッカーとの共謀で追加の起訴を受ける - GIGAZINE

WikiLeaksへの情報漏洩を罪に問われたチェルシー・マニング氏がついに釈放、女性になって初めてTwitterで写真を公開 - GIGAZINE

in メモ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.