サイエンス

「脳の老化が70%遅い部族」がアマゾンで暮らしている


ボリビアの熱帯雨林で自給自足の生活を営むチマネ族は、近代的な暮らしを営む人々と比べて体質文化が大きく異なるということが知られています。そんなチマネ族について、新たに「他の地域で暮らす人々と比べて脳の老化が70%遅い」という研究結果が報告されています。

indigenous South American Tsimane exhibit relatively modest decrease in brain volume with age despite high systemic inflammation | The Journals of Gerontology: Series A | Oxford Academic
https://academic.oup.com/biomedgerontology/advance-article-abstract/doi/10.1093/gerona/glab138/6280196


Tsimane people’s lifestyle may be key to understanding healthy brain aging
https://news.usc.edu/187075/tsimane-amazon-indigenous-people-healthy-brain-aging-usc-study/

チマネ族はボリビアの熱帯雨林で生活しており、近代的な文化から隔絶された自給自足の暮らしを営んでいることから、その生活習慣や健康状態、文化などに注目する多くの研究が行われてきました。

「音楽は世界共通の言葉」という通説が間違っていた可能性 - GIGAZINE


チマネ族に関する多くの研究の中でも、2017年に行われた「チマネ族の心臓の健康状態を調査する研究」では、チマネ族の心臓病の発生率が非常に低いことが明らかになっており、チマネ族の狩猟・採集・漁業・農業に根差した自給自足の生活様式が健康状態と大きく関わっている可能性に注目が集まっていました。

新たに行われた研究では、40歳~94歳のチマネ族746人を対象に脳のCTスキャンを実施し、スキャン画像から脳の容積を算出して、アメリカとヨーロッパの工業地帯で暮らす人々の脳容積と比較しました。その結果、チマネ族の中年期から老年期にかけての脳容積の萎縮が、西洋人と比べて70%少ないことが明らかになりました。


研究チームは「一般的に、西洋人の脳の萎縮には、炎症が関連しているとされています」と指摘。しかし今回の研究では、チマネ族から高レベルの炎症が確認されたとのこと。このことから、研究チームは「炎症が脳の萎縮の原因」とする説に疑問を投げかけています。

研究チームの一員で20年近くチマネ族に関する研究を行ってきたヒラード・カプラン氏は「私たちの砂糖や脂肪の豊富な食生活と、座った状態での作業が年齢に伴う脳の萎縮を加速させている可能性があります」と主張しています。


また、カプラン氏は「今回の調査結果は、炎症を多く経験した患者でも、脳の健康を改善する余地があることを示しています」と述べ、チマネ族の生活様式が脳の健康維持に役立つ可能性を指摘しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「睡眠時間が6時間未満の人は認知症リスクが高い」ことが25年来の追跡調査により判明 - GIGAZINE

新たなタイプの認知症「LATE」が発見される、アルツハイマー病と診断された患者の多くはLATEだった可能性も - GIGAZINE

幼少期のトラウマが老後のアルツハイマーにまで影響する可能性が最新の研究で示唆される - GIGAZINE

認知症の予測にはうつ病ではなく「無気力」が役立つとの指摘 - GIGAZINE

激しい肉体労働は認知症のリスクを高めるとの研究結果 - GIGAZINE

慢性的な低血圧が認知症の原因になっている可能性が指摘される - GIGAZINE

脳細胞の死滅を止める薬を発見、アルツハイマー病など認知症の進行停止に光 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.