サイエンス

1億2000万度のプラズマを101秒間維持、中国の核融合炉「EAST」が世界記録更新


中国の超伝導電磁石トカマク型核融合エネルギー実験炉「EAST」が、1億2000万度の高温プラズマを101秒、1億6000万度のプラズマを20秒維持することに成功し、世界記録を更新しました。

"Chinese artificial sun" sets new world record - Xinhua | English.news.cn
http://www.xinhuanet.com/english/2021-05/28/c_139975997.htm

核融合発電(核融合炉)は「人工太陽」とも呼ばれ、エネルギー不足の解決や再生可能エネルギーへの転換のために世界中で研究が行われています。2020年12月には韓国の核融合研究装置「KSTAR」が1億度のプラズマを20秒間維持することに成功しました。

人工太陽の世界記録が更新、1億度のプラズマを20秒維持することに成功 - GIGAZINE


中国・新華網によると、EASTも2020年に1億度のプラズマを20秒間維持することに成功していたとのこと。その後、約300人の研究者や技術者によって真空システム・レーザー散乱システム・マイクロ波システムなどのアップグレード作業が実施されました。そして2021年5月28日に、EASTは1億2000万度のプラズマを101秒間維持することに成功し、世界記録を更新しました。


新華網によると、EASTは海水中に存在する重水を用いて核融合を行い、エネルギーを提供することを最終目標にして運用されているとのこと。EASTでは、海水1リットルに含まれる重水素でガソリン300リットル分に相当するエネルギーを生み出せると見積もられています。

なお、EASTによる研究成果は、日本を含む35カ国が開発に参加する国際核融合実験炉「ITER」にも活用される予定。他にも、日本とヨーロッパが協力して実施する「JT-60SA計画」やKSTARの研究成果もITERにフィードバックされる予定で、核融合発電の実現に向けて期待が高まっています。

日本も参加する国際熱核融合実験炉(ITER)がついに建造開始 - GIGAZINE

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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