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アメリカの「マスク緩和政策」は予防接種を奨励する効果がなかったという指摘


新型コロナウイルスのワクチン接種を奨励するため、アメリカ国内の感染症対策などを主導するアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年5月13日に「新型コロナウイルスワクチン接種完了後は原則マスク不要」と布告しました。しかし、この発表から2週間時点の集計結果から「本当にワクチン接種を行うべき層に奨励効果がほぼなかった」と指摘されています。

KFF COVID-19 Vaccine Monitor: May 2021 | KFF
https://www.kff.org/coronavirus-covid-19/poll-finding/kff-covid-19-vaccine-monitor-may-2021/

CDC loosened mask guidance to encourage vaccination—it failed spectacularly | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/05/cdc-loosened-mask-guidance-to-encourage-vaccination-it-failed-spectacularly/

2021年5月12日、CDCは新型コロナウイルスワクチン接種完了者に対するガイドラインを改定し、ファイザー製「BNT162b2」、Moderna製「mRNA-1273」、ジョンソン・エンド・ジョンソン製「Ad26.COV2.S」の接種を完了して14日間経過した人々は「原則マスク不要」と定めました。

アメリカ保健当局が「新型コロナワクチン接種完了後は原則マスク不要」と発表 - GIGAZINE


この改定は、ワクチン接種をためらっている人々に対する奨励策の一環とされていましたが、これまでCDCはマスクの重要性をたびたび説いてきたことから、今回の方針転換は議論の的になっていました。

アメリカ国内で議論を呼んでいる今回の方針転換ですが、発表から約2週間後に実施された国内調査によって、新たに「ワクチン接種を本当に行うべき層に奨励効果がほとんどなかった」という報告が上がっています。健康政策分析を専門とする非営利団体Kaiser Family Foundationが電話による聞き取り調査を1526人に行った結果、ワクチン未接種者の約85%が「今回の発表が自分の接種予定に与える影響はない」と回答。「予防接種を受ける可能性が高くなった」と答えた未接種者は10%で、「低くなった」と答えた未接種者も4%いました。

さらにCDCが本当に接種を奨励したい層である「ワクチン接種を絶対に受けない」と回答した人の間では、約98%が「今回の発表が自分の接種予定に与える影響はない」と答えており、残る2%も「予防接種を受ける可能性が低くなった」と答えていたと判明。この層において、「今回の発表で予防接種を受ける可能性が高くなった」とした人は0%という結果でした。


この調査の結果から、「接種後はマスク不要」と定めた今回の改定は失敗に終わったと報じられています。なお、Kaiser Family Foundationの調査によると、「様子を見たい」と回答した未接種者のうち44%が「今のワクチンはアメリカ食品医薬品局の緊急承認を受けたものばかりだが、完全な承認を受けたワクチンが出てきたならば接種したい」と、21%が「雇用側から予防接種のための特別有給休暇が与えられるなら」、15%が「州政府側が100ドル(約1万1000円)くれるなら」と答えており、こうした政策こそが真に有効なワクチン推奨策ではないかと考えられています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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