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UbuntuをBitTorrentでダウンロードしたら「著作権侵害」の警告を受け取ったという報告


著作権法に触れるコンテンツをオンライン上で共有した場合、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を介してデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権侵害の通知を受けることがあります。これらの通知のほとんどは正当な理由に基づいて行われますが、あるユーザーは無料で使用できるLinuxディストリビューション「Ubuntu」をファイル共有ソフト「BitTorrent」を介してダウンロードしたところ、これが正当な行為にもかかわらずDMCA通知を受けたと報告しています。


Comcast Subscriber Receives DMCA Notice for Downloading Ubuntu * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/comcast-subscriber-receives-dmca-notice-for-downloading-ubuntu-210526/

OpSec Says DMCA Notice System Was "Spoofed" To Target Ubuntu Download * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/opsec-says-dmca-notice-system-was-spoofed-to-target-ubuntu-download-210527/

海外掲示板RedditのユーザーであるNateNate60氏の報告によると、NateNate60氏がUbuntuの配布元であるCanonicalから「Ubuntu 20.04.2.0 LTS」のISOパッケージをBitTrrent経由でダウンロードしたところ、後にプロバイダであるComcastからDMCA通知が送信されてきたとのこと。NateNate60氏はComcastから該当のファイルの削除を要請され、「著作権で保護された作品を侵害する目的で当社のサービスを使用すると、サービスとアカウントの停止につながる可能性があります」と警告を受けています。


しかし、CanonicalはBitTorrentを介したパッケージの配布を積極的に推奨しており、ユーザーがBitTorrent経由でUbuntuを入手することは、多くのユーザーにとって問題ないこととして認識されています。今回NateNate60氏に送られた通知の申立人はCanonicalではなく、著作権侵害対策会社のOpSec Securityであったため、この報告を受けた他のRedditユーザーやP2P周辺の事情に詳しいニュースサイトのTorrentFreakなどはOpSec Securityにコメントを求めました。

TorrentFreakによると、OpSec Securityは「DMCA通知送信プログラムが未知の人物によってスプーフィングを受けました。問題のDMCA通知はOpSec Securityによって実行・発信されたものではないことを証明する明確な証拠があります」と述べたものの、「証拠」についての詳細は明かされなかったとのこと。OpSec Securityはまた「OpSec Securityの評判を傷付けるためか、なりすましを受けることがたまにありますが、そのような試みは簡単に識別・反証が可能です」とも述べたそうです。

OpSec Securityは公式Twitterで「Linuxに関するDMCA通知が発信されたことを認識していますが、これはOpSec Securityとは何の関係もありません」といったツイートを投稿しています。なお、OpSec Securityはこのツイートの数時間前に、TorrentFreakに送ったものと同じ内容と思われる文章をツイートしていましたが、記事作成時点では削除されており、アーカイブ化されたページが残っているのみとなっています。


この問題に関し、TorrentFreakは「DMCA通知を偽装することは可能なのか?」という点について考察しています。まず、DMCA申請については、著作権侵害の申し立てを行う人は著作権を侵害した人物の連絡先を知らないため、ComcastなどのISPにDMCA通知を依頼するのが一般的な方法です。今回の場合、ComcastはOpSec Securityからの申し立てを受けてNateNate60氏に通知を送ったわけなので、OpSec Securityの主張通りであれば「誰かがOpSec Securityになりすまし、Comcastに申請を行った」ということになります。

しかし、OpSec Securityの主張通り、「なりすましを受けることがたまにあるが、そのような試みは簡単に識別・反証が可能」な場合、なぜそういった行為を許し続けているのか、Comcastはなぜあっさりだまされたのかという疑問が残ります。


また、OpSec SecurityになりすましてComcastに連絡する場合は、Comcastに疑いを抱かせない程度になりすましの材料を用意する必要があります。しかし、OpSec Securityの主張通り「ハッキング」ではなく「スプーフィング」を受けたのであれば、NateNate60氏のIPアドレスやメールアドレス、ファイルをダウンロードした時刻をどのように知って、どのようにComcastをだませたのかという疑問も発生します。TorrentFreakは「OpSec Securityの評判を傷付けるには大変な努力が必要だと思います」と述べています。

なお、Canonicalはこの問題を認知しており、調査を開始したと述べています。

Thanks for reaching out! Our legal team is aware of this and is investigating, and we will keep people updated.

— Ubuntu (@ubuntu)

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in ソフトウェア, Posted by log1p_kr

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