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PS5の圧倒的爆速なロード時間を支えているテクノロジーとは?


PlayStation 5(PS5)とXbox Series Xが発表された際、スペックの比較から両者の違いを見出すのは非常に困難でした。しかし、PS5の方がXbox Series Xよりも圧倒的に優れたデータ圧縮技術を用いている、とテクノロジーメディアのExtremeTechが報じています。

PlayStation 5 Hits Game Data Compression Ratios the Xbox Doesn't Touch - ExtremeTech
https://www.extremetech.com/gaming/323046-playstation-5-hits-game-data-compression-ratios-the-xbox-doesnt-touch

PS5のストレージ容量は825GBで、そのうち実際にゲームデータの保存に使える容量はわずか667GBしかありません。PS5は外付けUSBストレージや拡張SSDスロットに対応しているものの、本体に搭載されたストレージの容量としては、Xbox Series Xの1TB(実際に使える容量は802GB)よりもかなり少ないです。しかし、PS5では優れたデータ圧縮技術が採用されているため、Xbox Series Xよりも多くのゲームデータを保存できる可能性があります。


PS4 Pro版とPS5版の両方がリリースされている「Subnautica(サブノーティカ)」は、データ容量がPS4 Pro版は14GBであるのに対して、PS5版は3.5GBとなっていることが明らかになっています。また、「CONTROL」のデータ容量はXbox Series X版が42GBであるのに対して、PS5版はわずか25GBとなっており、データサイズが42%も小さくなっています。

ただし、すべてのゲームでPS5版のデータサイズが最も小さくなるわけではありません。例えば「Mass Effect Legendary Edition」の場合、PS5版のデータサイズが101GBであるのに対して、Xbox Series X版は88GBです。


PS5とXbox Series Xという両方のプラットフォームでゲームのデータサイズが小さくなっている理由は、読み込み速度を改善するためにゲーム内のテクスチャとオブジェクトに関するデータをゲームファイル間で複製しないようにするなどの施策がとられているためです。

しかし、これ以上に大きな違いがPS5とXbox Series Xのデータ圧縮技術の違いであるとExtremeTechは指摘しています。PS5は、老舗ゲーム開発用ツールの制作会社であるRAD Game Toolsの「Oodle」と呼ばれるゲームデータ圧縮ツールを使用しています。

PS5が使用しているデータ圧縮技術は、ハードウェア面では「Oodle Kraken」、ソフトウェア面では「Oodle Texture」です。

以下の図はOodleブランドのデータ圧縮ツールが他の競合ツールと比べて、どの程度「データ圧縮率(Compression ratio)」が高く、「解凍時間(Decompression speed)」が速いかを示したもの。「Zlib」はPS4が採用しているデータ圧縮方式で、データ圧縮率は「1.64対1」です。一方、PS5が採用しているOodle Krakenのデータ圧縮率は「1.84対1」で、Zlibよりも圧縮率が高く、解凍にかかる時間も短いです。


PS5が採用しているOodle Krakenは、データの圧縮・解凍に利用するロスレスコーデックSDK「Oodle」における、高圧縮率と高速解凍を特徴としたコーデックで、PS5のハードウェア上で機能するデコーダーとして搭載されています。

そしてPS5のソフトウェア上で動作するデータ圧縮アルゴリズムが、特定のエンコード方法を使用してテクスチャをBCNに変換することで、データ容量を縮小する「Oodle Texture」です。このアルゴリズムでは、ロスレスで約10%のデータサイズ縮小が可能で、ロスレスでなければデータサイズは20~50%も縮小することができます。なお、Oodle Textureのデータ圧縮率は「1.5対1」ですが、今後時間をかけて「2対1」に近づいていくとRAD Game Toolsは述べています。

一方で、MicrosoftはXbox Series Xに「BCPack」というデータ圧縮方式を採用しています。Oodle KrakenやOodle Textureといったデータ圧縮技術は単体だとそれほど大きなデータ圧縮率にはなっていないため、Xbox Series XがBCPackとZlibを組み合わせると、PS5よりも高いデータ圧縮率を実現してしまうのではと指摘されていました。

しかし、RAD Game ToolsによるとOodleブランドのデータ圧縮技術は複数を組み合わせて使用することが可能とのこと。実際、PS5ではOodle KrakenとOodle Textureを組み合わせることで、「3.16対1」という高い圧縮率を実現することに成功しています。


そのため、ExtremeTechはPS5とXbox Series Xの大きな違いは、「ソニーがOodleブランドのライセンスを支払い、データ圧縮アルゴリズムを高速化するためのKrakenデコーダーをハードウェアに直接組み込んだ点です」と指摘しています。

実際、ソニーがPS4およびPS5の開発者向けにOodle Textureのライセンスを取得したと、RAD Game Toolsがツイートしています。

Graciously, Sony has obtained a license for Oodle Texture for all PS4 and PS5 developers!! On PS4 or PS%, you can use Oodle Texture to convert Sony's GCN format!! And of course, it all works incredibly with the PS5's built-in hardware Kraken decoder.

— radgametools (@radgametools)


RAD Game Toolsは「優れたデータ圧縮技術により、ゲームのダウンロード時間が短くなり、より大きなデータサイズを持ったゲームを単一のディスクの中に保存できるようになります。非圧縮で80GBのゲームデータが存在する場合、2対1の圧縮率を実現できれば、ディスクに保存するデータ容量は40GBで済むこととなるので、2倍の容量のゲームを保存できることになります」と記し、データ圧縮率の改善がPS5にもたらす恩恵はデータ読み込み速度が高速になるだけではないと強調しています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   ゲーム, Posted by logu_ii

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