ネットサービス

欧州宇宙機関が月に人工衛星網を構築して月面ネットワークを提供するプロジェクト「Moonlight」を発表


欧州宇宙機関(ESA)が月の軌道上に人工衛星網を構築して月面ネットワークを提供するというプロジェクト「Moonlight」を発表しました。

ESA advances its plan for satellites around the Moon
https://www.moondaily.com/reports/ESA_advances_its_plan_for_satellites_around_the_Moon_999.html

宇宙開発先進国の間で「月」が再び脚光を浴びています。アメリカのNASAがヨーロッパのESA、日本のJAXAなどと協力し、月面に再び人類を送り込む「アルテミス計画」を推し進める傍らで、中国とロシアは2021年3月に「月面上に研究拠点を建設する」という計画に合意。冷戦期の宇宙開発競争を彷彿とさせるような競争が幕を開けています。

ロシアと中国が「国際科学月ステーション」の建設に合意、NASAの月軌道プラットフォームゲートウェイとは別の道を模索 - GIGAZINE


こうした月に対する関心を受け、ESAが発表したのが「Moonlight」というプロジェクト。現状は、各国の宇宙機関・民間宇宙企業がおのおの別個に通信システムを構築している状況です。Moonlightは、月の軌道上に人工衛星を配置することで月面上に通信サービスや衛星測位システムを構築し、各宇宙機関に統合的なネットワーク網を提供するという計画です。


ESAは今回のMoonlightについて、「各機関が独自に通信サービスとナビゲーションシステムを構築するというのは、非効率的でコストがかかる」と説明し、通信とナビゲーションに特化したシステムが月面に1つあれば、月面に送り込む探査機や宇宙船に積み込む通信・ナビゲーションシステムを削減して、他の計測機器や貨物をより多く積み込めると主張。Moonlightが構築されれば月探査ミッションのコストが下がるため、新興の宇宙開発国や民間宇宙企業が比較的低予算で月探査ミッションを行えるようになり、宇宙開発自体の注目を高めることもできるだろうという展望を語りました。


2021年5月20日の発表では、Moonlightに関してESAと契約を交わした企業からなるコンソーシアムが2つ発表されました。1つめのコンソーシアムはイギリス・サリー州ギルフォードを拠点とする小型人工衛星の開発・製造企業のSurrey Satellite Technologyが、2つめのコンソーシアムは航空分野でヨーロッパをリードするレオナルド S.p.Aと世界第8位の軍需産業企業Thales Groupの合弁会社であるTelespazio Spaが率います。

ESAの遠距離通信および統合アプリケーション部門ディレクターのElodie Viau氏は、「月との永続的なリンクを確立した場合、民間宇宙企業を含む全てのパートナーが持続的な宇宙探査を行えるようになります。ESAが支援する月面用の通信・ナビゲーションサービスによって、探査者はスムーズに月面を航行し、月面ミッションで得られた情報を余すところなく地球に届けられるようになります」とコメントしています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
2024年までに人類を再び月面に送る「アルテミス計画」をNASAが発表、史上初となる女性の月面到達も目指す - GIGAZINE

ロシアと中国が「国際科学月ステーション」の建設に合意、NASAの月軌道プラットフォームゲートウェイとは別の道を模索 - GIGAZINE

中国の無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側に着陸 - GIGAZINE

Amazonのジェフ・ベゾス氏が宇宙ベンチャーBlue Originで女性初の月面着陸を行うことを示唆 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.