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SNSが若者のうつ病を引き起こしているという追究にFacebookのCEOが回答


2021年3月に行われたアメリカ議会の公聴会で共和党議員が、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏、TwitterのCEOであるジャック・ドーシー氏、GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏らに対し、「10代の若者のうつ病発生率が増加している」という統計データを提示しました。ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)が報じたことによると、議員や研究者らの関係者は若者のうつ病増加はSNSの普及によるものだと考え、ソーシャルメディアプラットフォームと子どものメンタルヘルスの低下との関係を認めているかを追究し、ザッカーバーグ氏はこれに否定的な回答をしたとのことです。

Researchers Worry Facebook Is Muddying Platform's Link To Depression : NPR
https://www.npr.org/2021/05/18/990234501/facebook-calls-links-to-depression-inconclusive-these-researchers-disagree

共和党のキャシー・マクモリス・ロジャース議員らによって提示されたデータ(pdf)によると、2009年から2019年にかけて、10代のうつ病発生率は60%上昇しているとのこと。また別の調査では、2009年から2015年にかけて自傷行為による緊急治療室へ搬送された女性の中で、10~14歳の少女の割合は3倍まで増加していると示しています。


ロジャース議員はこの若者のうつ病増加と自殺率は、ソーシャルメディアを主な理由と考えています。しかし、ロジャース議員がFacebookのCEOであるザッカーバーグ氏に直接追究したところ、ザッカーバーグ氏は「SNSとメンタルヘルスの相関を研究が決定的に示していると思えない」と回答しました。

ロジャース議員に対しザッカーバーグ氏は、「Facebook社のプラットフォームが子どもに与えるメンタルヘルスの影響について具体的に調査は行った」と語っていますが、その研究の共有は拒否したため、ロジャース議員は「調査を行ったかもしれないが、透明性を欠いています」と批判的に意見しました。

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SNSとメンタルヘルスの相関について、サンディエゴ州立大学で心理学を研究するジャン・トゥエンゲ教授は、「メンタルヘルス研究者の全員が行った最大かつ重要な研究は、ソーシャルメディアに多くの時間を費やす10代の若者は落ち込んだり不幸になったりする可能性が高い、ということを示唆しています」と述べています。トゥエンゲ氏が2019年に発表した論文では、SNSによるデジタルコミュニケーションが気分障害を引き起こしている点と、古い世代よりも睡眠を妨げられることが多くなっている点を原因として挙げています。



アメリカ議会はSNSへの懸念や規制をかなり強めており、メディアや報道による子どものメンタルヘルスへの影響を問う公聴会が繰り返し行われているとNPRは報じています。NPRによると、Facebookが13歳未満を対象にしたInstagramを開発中と明らかになった後、知識や理解が未発達の子どもにSNSが与える悪影響を懸念し、44人の司法長官からなるグループがザッカーバーグ氏に向けて手紙を送っています。

Facebookは公聴会に前後して、メンタルヘルスの研究家たちにヒアリングを行うなどして、調査に取り組む新しい姿勢を見せているとNPRは報じています。また、同様の研究の中には、ソーシャルメディアとうつ病のリスクに関係を認めつつも、9~10歳程度の世代にはソーシャルメディアの使用が脳の発達にメリットを与えると発表しているものもあります。NPRは、ソーシャルメディアが持つ潜在的な危険性と、その影響について研究することおよび政府が力を入れて支援することの重要性を繰り返し説いています。

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1e_dh

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