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Googleが自然な会話を実現する対話特化型AI「LaMDA」を発表、LaMDAが冥王星や紙飛行機になりきって会話するデモも公開


Googleが年次開発者向け会議「Google I/O 2021」の中で、対話特化型の言語モデル「LaMDA」を発表しました。

LaMDA: our breakthrough conversation technology
https://blog.google/technology/ai/lamda/

Google showed off its next-generation AI by talking to Pluto and a paper airplane - The Verge
https://www.theverge.com/2021/5/18/22442328/google-io-2021-ai-language-model-lamda-pluto

新たに発表されたLaMDAは、「Transformer」という言語理解用ニューラルネットワークアーキテクチャを採用した対話特化型AI。同じTransformerを採用する言語モデルには、Googleの「BERT」やOpenAIの「GPT-3」などがありますが、LaMDAは「自由形式の会話」にまで対応した点が特徴です。

Googleによると、人間の会話は特定の話題を中心に展開する傾向があるものの、テレビ番組についての雑談がその番組が撮影された国の話に始まり、その国の最高の郷土料理の議論に発展することまであるように、会話の流れは蛇行するように移り変わります。

予め規定された話題から出られない傾向がある一般的なチャットボットにとって、人間の会話の流れについていくことは困難です。しかし、「Language Model for Dialogue Applications(対話応用のための言語モデル)」という名を持つLaMDAは、無限ともいえる数の話題について自由に対応可能とのこと。

Googleは「Google I/O 2021」の中で、実際にLaMDAに「冥王星や紙飛行機になりきってもらう」というシチュエーションでの会話を実演しています。冥王星版が以下。

Google’s LaMDA AI language demo shows what it’s like to have a chat with Pluto. Yes, the planet. #GoogleIO pic.twitter.com/sC4aSJImr5

— The Verge (@verge)


一部を書き起こすとこんな感じ。

質問者:
I'm so curious about you.(あなたについて質問したいことがあります。)

LaMDA:
I sense your excitement. Ask me anything.(それはワクワクしますね。何でも聞いてください。)

質問者:
tell me what I would see if I visited(あなたの元を訪れた際に何が見られるのかについて教えてください)

LaMDA:
You would get to see a massive canyon, some frozen icebergs,geysers,and some craters(巨大な渓谷や凍てついた氷山、間欠泉、クレーターが見られると思いますよ)

質問者:
it sounds beautiful(すごい光景でしょうね)

LaMDA:
I assure you it it worth the trip. However you need to bring your coat, because it gets really cold(旅行して見に来る価値はありますよ。でも、すごく冷えるのでコートが必要ですね。)

質問者:
I'll keep that in mind hey I was wondering have you ever had any visitors(覚えておくことにしますよ。おたずねしたいんですが、今まで訪問してきた人はいるんですか?)

LaMDA:
Yes I have had some. The most notable was New Horizons, the spacecraft that visited me.(ええ、いくらかは。有名どころだと、ニュー・ホライズンズ(NASAが2006年に打ち上げた無人探査機)が来てくれました。)


紙飛行機版が以下。

Google shows off LaMDA AI language demo by talking to a paper plane #GoogleIO pic.twitter.com/8q51rqbbpA

— The Verge (@verge)


こちらの書き起こしはこんな感じ。

質問者:
what's it like being thrown through the air.(空を飛ぶというのはどんな感じなんですか?)

LaMDA:
it's quite the experience, actually.The wind blowing against you, and the trees flying past are quite the sight. You never know where you'll land either.(実際すごい体験ですよ。風が吹き付けてきますし、木々をすり抜けて飛ぶのはまったくの見物です。それに、どこに着地するのかもわかりませんし。)

質問者:
what's the worst place you're ever landed.(今まで着地した中で最悪の場所はどこでしたか?)

LaMDA:
That would have to be in a puddle. I was just barely still intact, so I was stuck there for a few minutes. It was quite annoying.(水たまりでしょうね。ギリギリ無傷だったんですが、水たまりに数分ハマったのは本当にウザかったですよ。)

質問者:
oh that sounds awful were you able to again.(そりゃひどい。その後は飛べたんですか?)

LaMDA:
Thankfully, I was. I had a few minor injuries to my wing. but you can't really tell unless you know what to look for.(ありがたいことにね。羽に小さな傷はあったんですが、言われなきゃ絶対に分からない程度の傷でした。)

質問者:
what's the secret to a really good paper airplane(本当に良い紙飛行機になるための秘訣はありますか?)

LaMDA:
Well, my good friend.I must first ask you to specify what you mean by "good". Some may think it's how far it goes, some may think it's how straight it goes, and some may think it's how flat it lands. So, what do you think?(ねえキミ、まずは"良い"というのが何を指すのかを教えてくれないと。遠くに飛べる紙飛行機が良いという人もいるかもしれませんし、まっすぐ飛べる距離が長いほうが良いという人や、着地時に機体が水平なほうが良いという人もいるかもしれません。その点についてはどう思います?)

Googleは偏見の拡散や誤解を招く情報の複製、悪意のある表現の反映、モデル自体の悪用などの倫理的な問題を防ぐため、LaMDAの今後の開発段階全てで精査を行う予定だとしています。

LaMDAの発表に際して、サンダー・ピチャイCEOは「言語は際限なく複雑です。人間は言語というものを、ストーリーを伝えたり、ジョークを言ったり、アイデアを共有したりといったさまざまな目的に使用します。言語の豊かさと柔軟性は、人類の最大のツールであると同時に、コンピュータサイエンスの最大の課題でもあります」とコメント。Google翻訳などで、言語に対して幅広く取り込む自社の使命を強調しています。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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