サイエンス

「感染症を検知して色が変わる縫合糸」を現役高校生が開発


アメリカの現役高校生のダシア・タイラーさんが「傷口からの感染に反応して色が変わる縫合糸」を開発しました。タイラーさんはアメリカ国内で最も古く、最も権威があるとされる科学コンテストのRegeneron Science Talent Searchの審査員特別賞を獲得。特別講演も行いました。

This High Schooler Invented Color-Changing Sutures to Detect Infection | Innovation | Smithsonian Magazine
https://www.smithsonianmag.com/innovation/high-schooler-invented-color-changing-sutures-detect-infection-180977345/

アフリカ系アメリカ人の歴史に関する学内クラブに所属し、人種平等についての取り組みを多数行ってきたと語るタイラーさんの興味を引いたのは、発展途上国における傷口由来の感染症の問題でした。世界保健機関(WHO)の調査によると、低中所得国では外科手術後に傷口から感染症にかかる確率は11%に達するとされており、この問題が特に深刻だとされる一部アフリカ諸国の帝王切開手術においては、帝王切開後の母体が感染症にかかる確率は最大20%にも達するとのこと。

電気抵抗の変化によって傷の状態を感知し、組み込まれた導電性材料でスマートフォンやコンピューターに感染状況について伝達するという縫合糸の研究について知っていたタイラーさんは、この縫合糸をスマートフォンなどの電子機器に乏しい発展途上国向けに改良しようと試みます。こうしてタイラーさんは化学教諭のキャロリン・ウォリング氏の指導の下、「人間の皮膚は感染すると、水素イオン指数(pH)が変化する」という性質を利用し、「傷口からの感染に反応して色が変わる縫合糸」を作成しました。

健康な人間の皮膚は、通常時のpHはおおよそ5になりますが、感染時には急激にアルカリ性に傾き、pHが9に達します。タイラーさんが作成した縫合糸は、ボルシチなどに使われる鮮やかな赤紫色の野菜・ビーツを液化させて染みこませることで、pHの変化に応じて変色するという機能を実現。発展途上国でも実用可能な、安価かつ電子機器要らずに感染症をチェックできる縫合糸となっています。

以下がタイラーさん作の縫合糸の実物。pHの変化に伴い、明るい赤色から濃い紫色に変色していることがわかります。この発色の変化は、わずか5分で生じるとのこと。


この縫合糸は時間の経過とともに変色し、3日後にはpH9の場合は灰色と化します。


今回の縫合糸の開発によって、テイラーさんは東部アイオワ州科学コンテストで複数の部門を総なめにした後、アイオワ州全体の科学コンテストでも2位を獲得。さらにアメリカ国内で最も古く、最も権威があるとされる科学コンテストのRegeneron Science Talent Searchの2021年度のファイナリストにも選出されました。

残念ながらRegeneron Science Talent Searchの表彰台には登れませんでしたが、テイラーさんは審査員特別賞を勝ち取り、40人のファイナリストを代表して講演を行いました。2021年3月時点においてテイラーさんは、アイオワ大学の微生物学講師のテレサー・ホー氏に師事し、ビーツ溶液を染みこませる縫合糸は感染症を引き起こすバクテリアの温床にもなり得るという問題に取り組んでいるとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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