メモ

直観に反する統計結果を生み出す「バークソンのパラドックス」とは?


培った経験は自分の判断を助けてくれますが、ときにはその経験が判断をゆがめることもあります。人の判断をゆがめるバイアスの一種「バークソンのパラドックス」について、シドニー工科大学経済学部のライオネル・ページ教授が例を挙げて解説しています。

バークソンのパラドックスとは、「表向きの相関と真の相関が異なりうる」というもの。その一例としてページ教授が挙げているのが、女性が口にする「イケメンはイヤなやつ」という命題です。


この命題について、「性格と容姿は無関係」というのを前提として、hot(イケメン度合い)とnice(性格の良さの度合い)の相関について考えてみます。この前提においては性格と容姿は無関係なので、「イケメンだけどイヤなやつ(左上)」「イケメンでいい人(右上)」「ブサイクだけどいい人(右下)」「ブサイクだしイヤなやつ(左下)」は同程度の分布だと考えられます。


しかし、女性にとっては「ブサイクだしイヤなやつ(左下)」や、「ちょっとイケメンだけどかなりイヤなやつ(左上の一部)」、「かなりブサイクでちょっといい人(右下の一部)」はデートの対象にならないので、「なかったこと」にされてしまいます。こうして残ったデート対象の男性のみ分析の対象とすると、hotとniceの相関は青色のラインとなり、「hotとniceには負の相関がある(=イケメンはイヤなやつという傾向がある)」という、前提とは異なる結論が導き出されます。これがバークソンのパラドックスの一例です。


このほかのバークソンのパラドックスの代表例が、「大学の新入生について考えた場合、共通一次(SAT)の得点と高校時代の学業成績(GPA)の点数には負の相関がある」というもの。もちろん高校時代に学業成績が良かった者ほど大学入試の得点が高いと考えられるため、これは直観に反しています。


しかし、大学入試においては、「SATとGPAが良すぎる者はひとまわり上のレベルの大学を志願する(右上)」「SATとGPAが低すぎると入試で落とされる(左下)」という2つの現象が発生します。そのため、この2つを除外して考えた場合、残るのはグラフの青色部分となり、この部分のみを分析の対象とするとSATとGPAの間には負の相関が成立します。


「良い小説からはひどい実写映画が生まれる」という命題も「良い小説ならば良い実写映画ができるはず」という直観に反していますが、バークソンのパラドックスで説明可能。「小説原作の実写映画について思い浮かべてください」と尋ねると、人は大概「良い実写映画」か「良い小説が原作の実写映画」を思い浮かべ、「ダメな小説のダメな実写映画」などを思い浮かべることはありません。こうして一般的に思い出されることが多い実写映画のみを分析の範囲とすると、原作小説の良さと映画の良さには負の相関が成り立ってしまいます。


バークソンのパラドックスは医療統計学や生物統計学などのデータサイエンスの分野で頻出し、統計を扱う際に念頭に置くべき問題だとされています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
優れた上司だけがたどり着く「昇進のパラドックス」とは? - GIGAZINE

太っている人の方が長生きする「肥満パラドックス」が本当に意味すること - GIGAZINE

優れた意思決定を行って間違いを減らす思考法「チェスタトンのフェンス」とは? - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1k_iy

You can read the machine translated English article here.