乗り物

世界初となる「半島を貫通する船のためのトンネル」の建設許可が下りる


トンネルは地下や山岳を通る人工の通路であり、一般的には人や車、鉄道車両の移動を目的として建設されています。ノルウェーでは、半島を貫通する「世界初の船のためのトンネル」を建設する計画が長年にわたって進められており、ついにノルウェーの運輸通信省がトンネルの建設許可を出したと報じられました。

World's first ship tunnel to be built under Norwegian mountains | CNN Travel
https://edition.cnn.com/travel/article/norway-ship-tunnel/index.html

ノルウェーといえば、氷河による侵食作用で複雑に入り組んだ湾や入り江である「フィヨルド」が有名であり、特殊な地形や風景は人気の観光スポットにもなっています。ところが、フィヨルドは湾を通る船舶にとっては厄介なものであり、複雑に入り組んだ湾を出入りするには時間や燃料がかかります。

また、年間100日以上も暴風雨やハリケーンが起こる海域にあるノルウェー西部のスタッド半島では、天候が悪くなると安全のために何日も停泊を余儀なくされることもあります。そこでノルウェーの沿岸管理局は長年にわたり、スタッド半島を貫通する船舶用のトンネル「Stad Ship Tunnel」の建設を計画してきました。以下の記事を読むと、Stad Ship Tunnelの概要について知ることが可能です。

半島を横切り巨大船舶も運航可能な世界初の船舶用トンネル「Stad Ship Tunnel」がノルウェーに建造される予定 - GIGAZINE


Stad Ship Tunnelが建設されるのは、以下の図で赤く示したスタッド半島の根元部分であり、半島の幅が最も細くなった位置を通るとのこと。ここにトンネルを作ることにより、半島を遠回りして移動する必要がなくなり、悪天候時でも安全に船舶が通れるようになります。


以下のムービーでは、Stad Ship Tunnelの完成予想図がCGで説明されています。

Norway Gives Green Light to World’s First Ship Tunnel - YouTube


船が進む先に見えるのがStad Ship Tunnelの入口。


通常、陸地部分に水路を作って船が通れるようにした構造物は運河と呼ばれますが、スタッド半島の中央には300メートルを超える丘があるため、その下をくぐるトンネルを作ることになったとのこと。トンネル内は天候や潮流による影響を受けないため、船舶がよりスムーズに通行することが可能となります。


トンネルの長さは約1.7キロメートル、横幅は約36メートル、高さは約33メートルとのことで、総トン数が1万6000トンまでの船舶が通行できるそうです。工事に伴って除去される岩石の量は300万立方メートルに達するとみられており、建設費用は28億ノルウェークローネ(約360億円)ほどかかると予定されています。


ノルウェー沿岸管理局は数年前からこの計画を進めており、ついに運輸通信省から建設の許可が下りたとのこと。建設が順調に進めば、2025年か2026年にStad Ship Tunnelは完成する予定だそうです。


ノルウェー沿岸管理局でプロジェクトの臨時マネージャーを務めるTerje Andreassen氏は、「これは何十年にもわたって計画されてきたプロジェクトで、1年以内に建設工事を始められるということに非常に喜んでいます」とコメント。トンネルが完成すれば高速フェリーサービスの運航につながり、地域産業や商業活動がより活発化するとAndreassen氏は期待しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
半島を横切り巨大船舶も運航可能な世界初の船舶用トンネル「Stad Ship Tunnel」がノルウェーに建造される予定 - GIGAZINE

新パナマ運河竣工、従来の運河を通れなかったコンテナ1万3000個クラスの船舶も通過可能に - GIGAZINE

フィヨルドをトンネルと橋で通過するノルウェー史上最大の道路建設プロジェクト - GIGAZINE

ドローンで新パナマ運河を巨大コンテナ船が通過する瞬間を真上から空撮したムービー - GIGAZINE

あまりの燃料安でスエズ運河を渡るよりアフリカ大陸を回った方が安くなり交通量が激減してしまう - GIGAZINE

in 乗り物,   動画, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.