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「TikTokが消費者の権利を侵害している」とヨーロッパの消費者団体が苦情を申し立てる


若者を中心に人気を集めるショートムービー共有SNSのTikTokに対し、EUの消費者保護団体である欧州消費者機構(BEUC)が「誤解を招くデータ収集ポリシーで消費者の権利を侵害し、子どもたちを巧妙に隠された広告や不適切なコンテンツにさらしている」と苦情を申し立てました。

BEUC files complaint against TikTok for multiple EU consumer law breaches | www.beuc.eu
https://www.beuc.eu/publications/beuc-files-complaint-against-tiktok-multiple-eu-consumer-law-breaches/html

TikTok hit with consumer law breaches complaints across Europe | Reuters
https://www.reuters.com/article/us-tiktok-eu-idUSKBN2AG0S8

Complaint Blasts TikTok’s 'Misleading' Privacy Policies | Threatpost
https://threatpost.com/tiktok-complaint-data-collection/163991/


中国のテクノロジー企業・ByteDanceが運営するTikTokは世界中の若者から絶大な人気を集めており、App StoreとGoogle Playで累計20億回以上もダウンロードされています。2021年2月16日、ヨーロッパ諸国の45の消費者保護団体で構成されるBEUCは、データ収集ポリシーや子どもの保護といった点でTikTokに苦情を申し立てました。BEUCが申し立てた苦情は以下の通り。

◆1:「利用規約」に含まれる条項が不公平
TikTokの利用規約に含まれる条項は不明確かつ曖昧であり、ユーザーに対して不利益をもたらすとのこと。プラットフォームに投稿されたムービーの著作権についても、TikTokが無報酬で使用・配布・複製する権利を認めており、不公正だとBEUCは主張しています。

◆2:誤解を招く「ギフト機能」の慣行
TikTokに実装されている「ギフト機能」は、アプリストアで購入したコインをバーチャルギフトに交換し、ライブ配信中にギフトを提供して配信者をサポートできる機能です。この機能に関するTikTokのポリシーにも、不公正な条項や誤解を招く慣行が含まれているとBEUCは指摘。たとえば、TikTokはコインとギフトの交換レートを変更する絶対的な権利を有しており、取引をゆがめる可能性があるとのことです。


◆3:子どもの保護が不十分
BEUCは、「TikTokはプラットフォーム上の隠された広告や潜在的に有害なコンテンツから子どもや10代の若者を保護することができていません」と述べ、プラットフォーム上で行われる企業の宣伝が急増していると主張。たとえば、子どもたちはそれが宣伝だと知らないまま、特定のブランドに関連するハッシュタグチャレンジに参加させられることがあるとのこと。また、子どもにとって不適切なコンテンツからの保護についても、企業努力が不十分な可能性があるとBEUCは述べています。

◆4:データ収集に関する誤解を招く慣行
TikTokはどのユーザーデータが収集対象になるのか、どういった目的でデータが収集されるのかといった点について、特に子どもや10代の若者が理解できる方法で説明していないとのこと。さらに、一部の慣行はEU一般データ保護規則(GDPR)に違反している可能性もあることから、データ保護当局の注意を引いているとのことです。


BEUCのMonique Goyens局長は、「TikTokはわずか数年で、ヨーロッパ全体で最も人気のあるソーシャルメディアアプリの1つになりました。しかし、TikTokは大規模な権利侵害でユーザーを失望させています。私たちは一連の消費者権利の侵害を発見したため、TikTokに対して苦情を申し立てました」とコメントしました。また、BEUC以外にも15カ国の消費者団体がTikTokに関して当局に警告し、行動するように促したとのこと。

TikTokの広報担当者は一連の苦情に関して、TikTok内のプライバシーポリシーの要約が「10代の若者がプライバシーへのアプローチを理解しやすい言葉と語調」で作成されていると主張。「私たちはアプリがどのように改善できるのかについて常に広く耳を傾けており、懸念について耳を傾ける会議を歓迎しているため、BEUCに連絡しました」と、広報担当者は述べました。


なお、TikTokは以前にも若い世代のプライバシーに関する非難に直面したことを受け、15歳以下のユーザーではアカウントの初期設定を「非公開アカウント」に変更し、動画のダウンロードもブロックするといった対策を講じています。

TikTokが15歳以下のユーザーを「非公開アカウント」に変更&動画のダウンロードも不可に - GIGAZINE

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in モバイル,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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