サイエンス

Microsoftの量子コンピューター構築のカギだった「マヨラナ粒子」を観測したという論文が撤回される


量子コンピューターの分野において、GoogleやIBMがプロトタイプを構築する中で出遅れていたMicrosoftは「マヨラナ粒子」を利用した量子コンピューターの構築を進めていました。2018年に発表された、超低温半導体ワイヤにおいてマヨラナ粒子の存在する証拠を観測したという論文は、Microsoftの動きを大きく後押しするものでしたが、このたび、論文を発表した研究チームが新たな論文を発表し「マヨラナ粒子は観測できなかった」と結論を改めました。

Microsoft’s Big Win in Quantum Computing Was an ‘Error’ After All | WIRED
https://www.wired.com/story/microsoft-win-quantum-computing-error/


2018年3月、デルフト工科大学の応用物理学教授でMicrosoftにも籍を置くレオ・クーヴェンホーフェン氏は、Hao Zhang氏らとともに、捉えどころのない粒子であると考えられていた「マヨラナ粒子」を観測したという論文を発表しました。

Quantized Majorana conductance | Nature
https://doi.org/10.1038/nature26142


量子コンピューター分野でGoogleやIBMに先行されていたMicrosoftにとって、このマヨラナ粒子を用いた量子コンピューターの構築は逆転の一手であり、当時の担当ディレクターは「これで5年以内に商用量子コンピューターを作れる」とコメントしていました。

しかし、2021年になって、クーヴェンホーフェン氏らは、この2018年の論文よりも多くのデータを含む新たな論文を発表し、マヨラナ粒子は観測できなかったと結論づけました。2018年の論文については、「技術的な誤りがあった」として撤回されることが、著者メモにより判明しています。

2018年の論文が抱える問題を指摘している、ピッツバーグ大学のセルゲイ・フロロフ教授は「彼らが何を考えていたのかはわかりません」「しかし、論文の内容と矛盾するデータを無視しました。より完全なデータから、マヨラナ粒子が存在しないことは間違いありません」と述べています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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