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スマホや電気自動車に欠かせないリチウムの供給ラインは複雑化しているという指摘


スマートフォンから電気自動車まで、リチウムイオンバッテリーは現代人の日常生活になくてはならない充電池となっています。そんなリチウムイオンバッテリーに必要なリチウムの供給ラインが、リチウムイオンバッテリーの需要が高まるにつれて複雑化していると、さまざまなエネルギーについて研究・調査を行う非営利組織「ClearPath」が指摘しています。

Supply Chain for Lithium and Critical Minerals Is ... Critical – ClearPath
https://clearpath.org/energy-101/supply-chain-for-lithium-and-critical-minerals-is-critical/

2018年、アメリカ内務省は「アメリカの経済および国家安全保障にとって重要な鉱物35種類」というリストを公開しました。このリストには黒鉛やリチウム、コバルトマンガンなど、電池に使われる鉱物が含まれています。アメリカはこれら重要な鉱物の多くを輸入に頼っています。

たとえばリチウムイオンバッテリーのカソード(陰極)に使われるコバルトは、その65%以上がコンゴ民主共和国で生産されています。コンゴ民主共和国は情勢が不安定な国として知られ、内乱やクーデターも多いため、戦争が起こると世界中のコバルトの供給量が3分の1に減ってしまう可能性があります。

また、中国は多くのコバルト鉱山に出資しているほか、コバルト鉱石を電池用に加工できる工場の70%を管理しているため、コバルトの供給ラインを実質的に掌握しているといえます。

by Fairphone

そして、リチウムイオンバッテリーにとって重要なリチウムもまた輸入に頼らざるを得ない鉱物となっており、リチウムイオンバッテリーの製造はさまざまな国の産業の上に成り立っています。

リチウムはかん水や粘土、岩石から発掘されますが、世界のリチウムの約半分はリチウム塩が豊富な南アメリカやオーストラリアの地下水から供給されています。たとえば、電気自動車メーカーのテスラは、オーストラリアやチリの鉱山と提携してリチウムを調達しています。

by Grover Schrayer

そして、組み上げた地下水からリチウム塩を抽出し、リチウム化合物に加工するプロセスが必要となります。そんな全世界のリチウム化合物の60%以上が中国で加工されているとのこと。実際に、テスラがバッテリーに使用するための水酸化リチウムは、中国のリチウム製品メーカーであるガンフォンリチウムで加工されています。

さらに、リチウム化合物を含めた材料からバッテリーセルを製造するプロセスの多くは中国や日本、韓国で行われています。なお、リチウムイオンバッテリー自体は炭素排出量を減らすためには欠かせない技術ですが、完成したバッテリーセルを韓国からアメリカのミシガン州に輸送する場合、1kWh当たり4.2kgの二酸化炭素が排出されるという(PDFファイル)試算が出されています。


さまざまな国の産業の上に成り立っているリチウムイオンバッテリーの製造プロセスがより複雑になっているのは、リチウムの採掘・加工・最終的な製造全てがリチウムイオンバッテリーの需要そのものに支えられているためだとClearPathは指摘しています。例えば、テスラはオーストラリア西部で「マウント・ホランド・リチウム・プロジェクト」と呼ばれる巨大なリチウム発掘計画を推進していますが、この計画はテスラのリチウムイオンバッテリー増産に依存しています。

リチウム鉱山やリチウムの加工施設は安定した供給が求められている上に、リチウムの価格は世界市場に依存するため、リチウム関連のプロジェクトを新しく立ち上げるリスクは非常に高いものだといえます。

ClearPathは、「リチウムの供給ラインを複数の国ではなく1つの国の中で確立するためには、環境問題や経済的な問題を解決するだけではなく、発掘・加工・製造の各プロセスを構築する必要がある」と指摘し、「電気自動車市場の急激な成長による高い需要・地質学的ポテンシャル・製造経験が豊富な労働力という下地があることで、アメリカはリチウムイオンバッテリーの製造プロセスを国内に作れる可能性は十分にある」と主張しました。

by Nick Ares

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in メモ, Posted by log1i_yk

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