メモ

意見が対立する相手を説得するには「事実」ではなく「経験に基づくエピソード」が重要という研究結果


心理学実験の結果、人は自分と反対の意見を相手が論じている時、相手が正確な事実を述べている時よりも、相手が自分のエピソードを交えて経験を語っている時の方が相手を尊重するようになるという研究結果が報告されています。

Personal experiences bridge moral and political divides better than facts | PNAS
https://www.pnas.org/content/118/6/e2008389118

Facts don't convince people in political arguments. Here's what does. | Live Science
https://www.livescience.com/facts-dont-win-political-arguments.html

2021年1月6日、大統領を決定する上下院両会議が行われているアメリカ連邦議会議事堂を、当選したジョー・バイデン大統領と対立したドナルド・トランプ前大統領の支持者層が襲撃。この事件を受けて、バイデン大統領は2021年1月20日に開かれた大統領就任式での演説の中で「アメリカには今こそ団結が必要」と強く訴えました。

【ノーカット 同時通訳付き】バイデン新大統領 就任演説「団結こそが前に進む道」(2021年1月21日) - YouTube


しかし、ピュー・リサーチ・センターの調査によると、1994年以降で10の議題について、民主党員と共和党員の間に見られる意見のギャップの平均値が15ポイントから36ポイントに拡大したそうです。これは過去数十年で、共和党と民主党の間で意見の違いが大きくなっているということを意味します。


ノースカロライナ大学の心理学者であるカート・グレイ氏の率いる研究チームは、「アメリカ国民は、道徳的あるいは政治的な議論で相手の意見を尊重するためには事実を重んじることが大事だ」と考えていると主張し、実験を行いました。

実験は251人を相手に行われ、税金や銃の規制問題、中絶問題など15種類の話題について、「相手が反対意見を唱えることを想定して、相手の意見を尊重する時に何を重視するか」を質問しました。すると、56%の人が「事実とエビデンス」、21%が「個人的な経験」と回答したとのこと。

さらに、別の実験では859人を相手に、「事実に基づいて反論してくる人」と「経験に基づいて反論してくる人」のどちらを尊重できるかを質問したところ、事実に基づいて反論する相手は合理的で尊重できると回答した人が多かったと報告しています。


しかし、オンラインやテレビなどで実際に議論を行ったケースを調査したところ、人は経験に基づく意見を述べる相手をより尊重しやすいことがわかりました。つまり、人は道徳的・政治的な話題について議論する時、論理的な事実そのものよりも具体的なエピソードを尊重しやすいというわけです。

また、508人を対象にした別の実験で、銃規制についての議論に触れた感想を尋ねたところ、自分と反対の意見を支持する人が事実を言っていても疑念を抱く傾向があると判明。それに対して、自分と反対の意見を支持する人が個人的なエピソードを語った場合、特に強く疑うことはなかったとのこと。

研究チームは「人は、議論の相手が事実を引用しても、相手をなかなか尊重しようとはしません」と論じています。グレイ氏は「人は事実を疑ったり無視したりする方法はいくらでも思いつくことはできますが、個人の経験について議論するのは難しいものです。誰かが『こういうひどいことが私に起こりました』と語っても、それを疑うことはなかなかできません」と述べました。


さらにグレイ氏は、人が事実よりも個人の経験を尊重する傾向は、近年のブラック・ライヴズ・マターMeToo運動を後押ししていると主張しています。「今日の政治情勢では、より基本的な目標を考える必要があります。それは、政敵との対話はできるだけ敬意を持って行うということです」と語りました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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