電子書籍リーダー向けのフルカラー電子ペーパー「E INK Gallery 4100」をE Ink Corporationが開発

電子ペーパーとは紙媒体の視認性や携帯性を保ったまま表示内容を電気的に書き換え可能な媒体であり、消費電力や目の負担が小さいことなどが利点とされています。そんな電子ペーパーを開発するE Ink Corporationが、新たに電子書籍リーダー向けのフルカラー電子ペーパー「E INK Gallery 4100」を開発したと報じられました。

E INK has developed ACEP Gallery 4100 Color E-Paper - Good e-Reader
https://goodereader.com/blog/e-paper/e-ink-has-developed-acep-gallery-4100-color-e-paper

E Ink Corporationは、流体を収めたマイクロカプセル中に帯電した白色と黒色の粒子を封入し、電圧をかけることで特定の色の粒子を表示面側に集める電気泳動方式を開発した企業。電子ペーパーにこの方式を採用することで、新聞紙やレーザープリンターで出力されたコピー紙に匹敵する表示品質を達成し、低消費電力や目の負担軽減も実現しているとのこと。

また、2016年には色の豊かさと低消費電力を維持しつつ、白と黒だけでなくその他の色も表示できる「Advanced Color ePaper(ACeP／アドバンスドカラー電子ペーパー)」を発表しました。ACePは従来の電気泳動方式と同様、全ての画素要素にカラー顔料を埋め込んでフルカラーの色彩を表現しており、画質の劣化がない上にさまざまな照明の下でも紙のような視認性を維持できます。ACePは厚くて重いガラスフィルターが必要だったため、デジタルサイネージ(電気看板)向けの電子ペーパーとして販売されました。

電子ペーパーがフルカラーになる技術がついに開発される、省電力性はそのまま - GIGAZINE

by Andrés Nieto Porras

ところが2019年、E Ink CorporationはACePと異なる仕組みを持つ「E Ink Kaleido」という端末向けのカラー電子ペーパーを発表し、2020年に登場したHisense製スマートフォンの「Hisense A5C」やPocketBook International製の電子ブックリーダー「PocketBook Color」にKaleidoが搭載されました。Kaleidoの成功を受けたE Ink Corporationは、非ガラスベースのフィルターにも対応した「Kaleido 2」を発表するなど、消費者向け製品に使用される電子ペーパーの開発に注力しています。

電子ペーパーがついにカラーに！ PocketBook Colorレビュー | ギズモード・ジャパン
https://www.gizmodo.jp/2020/09/219826.html

そして2021年1月16日、電子ブックリーダー関連の情報を報じる海外メディアのGood e-Readerは、E Ink Corporationが「E INK Gallery 4100」というサブセットを有する第2世代ACePを開発したと報じました。

第2世代ACePはガラスベースのフィルターを用いず、色の層が電子インクの薄膜に接着されており、電子ペーパー本体の重量と厚さが最小限に抑えられているとのこと。また、4万色以上の異なる色を表示できるようになったほか、ページの更新速度向上や書き換え前の表示が残る「ゴースト」の軽減も実現されているそうです。

新たに発表される第2世代ACePは電子看板ではなく、Kaleido 2の高解像度の代替品を求める電子書籍リーダー開発企業向けに販売される予定となっています。すでにGallery 4100の開発キットは全ての大手電子書籍リーダー開発企業に送付されており、2022年中に最初の商業デバイスがリリースされる可能性が高いそうです。「電子書籍リーダー企業は将来のハードウェアに対し、『Gallery 4100』と『Kaleido 2』という2つの異なるオプションを利用できるようになります」と、Good e-Readerは述べました。