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「自分自身を荷物として郵送する」という驚くべき方法を実行した人々


長距離を移動する場合は、自動車を運転するか電車や飛行機に客として乗り込む方法が一般的ですが、中には特殊な事情から一風変わった移動法を試みる人もいます。珍しい例としては「自分自身を『荷物』として目的地まで郵送する」という方法も存在しており、実際にこの方法を実行した人々について、海外のオンラインマガジン・Atlas Obscuraが解説しています。

The Strangely Successful History of People Mailing Themselves in Boxes - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/the-strangely-successful-history-of-people-mailing-themselves-in-boxes

「密航」にはさまざまなパターンがあり、南北戦争後には密かに鉄道へ飛び乗って無賃乗車を果たすトレイン・ホッピングが増加したほか、20世紀初期には船の奥や貨物室に忍び込んで密航する人がピークに達したとのこと。

20世紀以降は航空機で密航を果たそうとする人も現れましたが、航空機の車輪収納室などに隠れて密航する行為は非常に致死率が高いそうです。2014年にはカリフォルニア州に住む15歳の少年が車輪格納部に潜り込み、約3700km離れたハワイにたどり着くというケースもありましたが、2019年の調査では「航空機に隠れて密航を試みた人の77%が死亡する」と報告されました


こうした密航よりもさらに特殊なのが、「自分自身を荷物として郵送する」という試みです。箱の中に入ると極端に移動が制限されるものの、うまくやり過ごせれば誰かに見つかる危険性は低いといえます。また、FedExアメリカ合衆国郵便公社(USPS)などの運送企業は、温度管理された加圧倉庫で荷物を発送するため、航空機を用いた密航のように途中で死ぬ可能性も比較的低いとのこと。

Atlas Obscuraは、実際に箱に入って自分自身を郵送した2人の人物について解説しています。

◆ヘンリー・ボックス・ブラウン
Atlas Obscuraが「おそらく最も有名な『自分自身を郵送した人』」として挙げているのが、19世紀のアメリカに生まれたヘンリー・ボックス・ブラウンという人物です。バージニア州で奴隷として暮らしていたブラウンは1849年、奴隷制を採用していなかったペンシルベニア州へ逃れる計画を立てました。

ブラウンは人々の目を避けてペンシルベニア州へ脱出するため、「フィラデルフィアに住む奴隷解放論者に自分を郵送する」という手段を採用しました。奴隷解放論者と結託したブラウンはボトル入りの水、数枚のビスケット、粗いブランケットと一緒に箱の中へ入り、当時の価格で86ドル(現代の価値に換算して約30万円)で自分自身を発送したとのこと。

およそ27時間の旅を経て、ブラウンはフィラデルフィアに住む奴隷解放論者の元へ届けられ、見事に生きてバージニア州を脱出することができました。その後、ブラウンは自身の経験を元に講演を行うようになりましたが、当時のアメリカで奴隷解放論者として活躍していたフレデリック・ダグラスは、「箱に入って奴隷制を採用していない州へ脱出する」という手法を隠さなかったブラウンに腹を立てていたそうです。


◆レッグ・スパイアーズ
ブラウンが自分自身の郵送に成功してから100年以上が経過した1964年、オーストラリア人のやり投げ選手だったレッグ・スパイアーズ氏は、オリンピックの出場資格を得るためにイギリスで1シーズンを費やしました。ところが、そのシーズンの成績は振るわず、さらに財布を盗まれたスパイアーズ氏は無一文でイギリスに取り残されてしまったとのこと。

どうにかしてオーストラリアへ戻ろうとしたスパイアーズ氏は、「代引きで自分自身を入れた木箱を郵送し、オーストラリアに帰ってから料金を支払う」という方法を思いつきます。スパイアーズ氏は友人のジョン・マクソーリー氏と協力して、5フィート(約1.5m)×3フィート(約90cm)×2.5フィート(約75cm)の箱を製作。枕・毛布・食べ物の缶・ボトル入りの水・トイレ代わりの空ボトルと共に箱へ入り、オーストラリアへ航空貨物として郵送しました。


ロンドンでの発送遅延や乗り継ぎのムンバイが暑すぎてほぼ脱水症状になるといった困難を乗り越え、スパイアーズ氏は3日間の旅を終えてオーストラリアへ到着。パース空港で箱から抜け出したスパイアーズ氏は空港の壁に穴を開け、貨物エリアからビールを盗んで家までヒッチハイクしたと述べています。なお、スパイアーズの計画は安否を心配したマクソーリー氏によってメディアに伝えられており、航空会社はスパイアーズ氏の借金を帳消しにしたとのこと。

スパイアーズ氏の奇妙な旅については、「Out of the Box: The Highs and Lows of a Champion Smuggler」という書籍にまとめられています。


もちろん、FedExやUSPSは「自分自身を郵送する」という行為を禁止していますが、Atlas ObscuraのライターであるDan Nosowitz氏が両社に連絡したところ、USPSの従業員がこのアイデアについての議論にのってくれたと述べています。従業員によると、鳥のヒナ・ニワトリなど一部の鳥・ミツバチ・子どものワニやカメレオンを含む一部の変温動物・サソリなどは生きたまま郵送することが可能だそうですが、一部の鳥を除いて恒温動物を郵送することは許可されていないとのこと。

また、自分自身を郵送する際の障害となるのが荷物の重量です。FedExやユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)では150ポンド(約68kg)、USPSでは70ポンド(約31kg)の重量制限があるため、箱自体の重量や食料などを考えると、成人を郵送するのはなかなか難しいかもしれません。一方、アメリカの主要な海運会社では荷物の大きさの制限が緩く、人が入れる程度の箱を郵送することは十分に可能だそうです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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