サイエンス

人類の中に「移民ではない人」はいるのか?


現代科学では、全ての人類の祖先はアフリカで誕生したと考えられているため、アフリカ以外の地域に住んでいる人はある意味で「誰もが移民か、移民の子孫」だと表現することが可能です。人類発祥の地であるアフリカに住む人々の中でも、特に「アフリカ最古の人種」の呼ばれるカポイド(コイサン人種)についてや、人類の起源を巡る議論について、科学系ニュースサイトのLive Scienceが解説しています。

Is anyone on Earth not an immigrant? | Live Science
https://www.livescience.com/are-all-humans-immigrants.html

コイサン人種とは、南部アフリカに住むコイコイ人サン人の2民族の総称で、舌打ちのように聞こえる吸着音を特徴とするコイサン諸語を操る人々としても知られています。

by Ian Beatty

テキサス州ベイラー大学の人類学者であるオースティン・レイノルズ氏は、Live Scienceに「科学的な観点から見ると、『移民ではないといえる人』は南部アフリカのコイサン諸語を話す人々のグループだけと言えるかもしれません」と話しました。

レイノルズ氏によると、コイサン人種が非移民の人々の子孫である可能性を示す要因は、大きく分けて2つあるとのこと。1つ目は「人類が最初に誕生した可能性が高い地域に住んでいること」で、2つ目は「非常に多様性に富んだ遺伝子を持つこと」です。

遺伝的多様性が高いことが非移民の根拠となることについてレイノルズ氏は「M&M'sのカラフルなチョコが入ったボウルを思い浮かべてください。ボウルから取り出した一握りのチョコ、すなわち最初の人類から分かれた人々のグループには、チョコが数色しか含まれていないかもしれませんが、もとのボウルには色とりどりのチョコが入っているはずです」と説明しています。


しかし、コイサン人種が人類唯一の「非移民」だと決まっているわけではありません。なぜなら、コイサン人種が住む南部アメリカで人類が生まれたとする説の他に、東アフリカや西アフリカなどが人類の起源だとする説があるからです。

ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所に勤める分子遺伝子学者マーク・ストーンキング氏も、レイノルズ氏とは異なる見解を持つ学者の1人です。ストーンキング氏は、「化石が残るかどうかは地質などの環境に左右されるため、人類の祖先の化石が特定の場所で見つかったからといって、人類の祖先がそこで生まれたとは限りません」と指摘。コサイン人種を含むあらゆる人々は移動と交流を繰り返しているため、科学的見地から見た「移民ではない人々」は地球上には残っていないとの見方を示しました。


ストーンキング氏によると、アフリカで生まれた人類は10万年近くかけてアフリカ中に広がった後に、中東を経由してインド海岸沿いに南東に進出していったと推測されているとのこと。しかし、アフリカから世界に散らばったのは最初の移民だけではなく、その後も繰り返し世界各地に移民の波が押し寄せ、その度に交流と遺伝的な交配が進んでいったと考えられています。

このことから、ストーンキング氏は、「移動と混ざり合いこそが人類の特徴です」と指摘。「人間は太古の昔から移動することとセックスが好きだったようです」とコメントしました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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