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取り回ししやすい「HDMI 2.1」対応ケーブルはどれなのか一斉比較レビュー


次世代ゲーム機のPlayStation 5やXbox Series Xが登場したことで、4K HDR・最大120fpsという高画質・ハイフレームレートでのゲームプレイが簡単に楽しめるようになりました。また、4K解像度や8K解像度に対応したテレビやモニターも一般に普及しつつあります。ただし、対応したテレビやモニターを用意すればOKというわけではなく、8K・60fpsや4K・120fpsの映像を出力することができる48Gbps伝送が可能な「HDMI 2.1」規格に対応したHDMIケーブルが必要です。そこで、このHDMI 2.1に対応したケーブルを8本用意して、実際に使う上で重要となる取り回しやすさを中心にどのケーブルが使いやすいのか比べてみました。

PowerPoint Presentation - HDMI-Forum-2.1-November-Release-Presentation-JA.pdf
(PDFファイル)https://hdmiforum.org/wp-content/uploads/2017/11/HDMI-Forum-2.1-November-Release-Presentation-JA.pdf

◆HDMI 2.1はこれまでのものと何が違うのか?
HDMI 2.0は2013年に策定されたHDMIの規格で、帯域は18Gbps。8ビットカラーまでの4K・60fps映像を伝送することが可能になりました。一方、2017年に策定されたHDMI 2.1は帯域が48Gbpsにまで拡大され、4K・120fpsや8K・30fpsには完全対応。さらに24~30fpsで4:2:2であれば、10K映像にも対応しました。

以下の表は、各解像度の映像と対応するHDMIケーブルをまとめたもの。「Premium」がHDMI 2.0対応ケーブルで、「Ultra」がHDMI2.1対応ケーブルとなります。


◆「Ultra High Speed HDMI Cable」規格の認証確認
HDMIの公式ライセンス機関であるHDMI Forumは2020年1月6日に、「HDMI 2.1規格のすべての機能と性能をソースデバイスからディスプレイに確実に伝送できる唯一の方法」として、「Ultra High Speed HDMI Cable」規格を定め、超高速HDMIケーブルの認証プログラムを発表しました。すべての認証ケーブルは、どのような長さでもHDMI認定テストセンターにおいて認証検査に合格しなければならず、合格したケーブルは認証ラベルをパッケージに貼付することが義務づけられています。

実際にパッケージに貼られている認証シールはこんな感じ。


認証ラベルを確認するためのアプリを、HDMI規格の管理団体である HDMI LicensingがiOS・Android向けにリリースしています。

HDMI Cable Certification on the App Store
https://apps.apple.com/us/app/hdmi-cable-certification/id1065242072

HDMI Cable Certification - Google Play のアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.authenticvision.android.hdmi

今回はiOS版をインストールします。「入手」をタップ。


アプリを起動します。


EULA、利用規約、プライバシーポリシーに同意するため、2つのチェックを入れて、「続ける」をタップします。


チュートリアルが始まります。「続ける」をタップ。


スキャン操作の手順が表示されます。「続ける」をタップします。


QRコードだけではなく、QRコードの左にあるホログラムシールも読み取る必要があるとのこと。「続ける」をタップ。


位置情報の使用の許可を尋ねられます。今回は「1度だけ許可」を選択しました。


カメラへのアクセスを求められるので、「OK」をタップします。


パッケージに貼られている認証ライセンスのシールをカメラで写します。枠内にホログラムとQRコードが入ると瞬時に読み込みが始まり……


「Congratulations(おめでとう)」と表示され、認証済みケーブルであることが確認できました。また、以下のように、ケーブルの本数、メーカーやブランド、品番、ケーブルの形式、長さが表示されます。


◆用意したHDMIケーブルの長さや太さを比べてみた
今回比べるHDMI 2.1対応のケーブルは、以下の8種類。
ベルキン AV10175BT2M
・Xbox Series Xに付属していたHDMIケーブル
・PlayStation 5に付属していたHDMIケーブル
エレコム DH-HD21E10BK(長さ1.0m)
エレコム DH-HD21E15BK(長さ1.5m)
エレコム H-HD21E20BK(長さ2.0m)
エレコム DH-HD21E30BK(長さ3.0m)
エレコム DH-HD21E50BK(長さ5.0m)


ベルキン AV10175BT2Mは2018年1月に登場したHDMIケーブル。長さは2mで、伝送速度は48Gbpsだとのこと。Apple TV 4Kにも対応していることから、Apple Storeでも販売されています。


AV10175BT2Mは、発表当時は「Ultra High Speed HDMI ケーブル」という製品名でしたが、パッケージには「ULTRA HD HIGH SPEED HDMI CABLE」とあります。AV10175BT2Mはドルビービジョン対応、4K、8K、HDRに対応しているとアピールされており、Ultra High Speed HDMI Cable規格と同等の性能を誇ります。ただし、HDMIフォーラムがUltra High Speed Cable規格を定める前にリリースされた製品であり、認証シールはありません。


コネクター部分の表面と……


裏面。


コネクターを正面から見るとこんな感じで、画像ではわかりづらいですが、金属の端子はやや奥に引っ込んでおり、外からは隠れているような構造になっています。コネクター部分の断面は角が丸い四角形。


ケーブルの長さはおよそ194cm。なお、今回は取り回しのことを考え、「ケーブルの長さ」はコネクター根元にあるシールド先端の間にあるケーブルの長さで計測しています。


ケーブルの直径はおよそ5mmでした。


2020年11月10日に発売されたXbox Series Xに付属するHDMIケーブルは、コネクター部分に指を引っかける突起があるほか、「HDMI ULTRA HIGH SPEED」と刻まれています。


なお、Xbox Series Xの箱から取り出した状態では、QRコードが書かれた透明の帯でまとめられていました。このQRコードをHDMI Forumの認証アプリで読み込んでみましたが、まったく認識されなかったので、規格認証ライセンス用のQRコードではない模様。


コネクター裏面には指を引っかける突起だけがついています。


コネクターの断面は、角が丸い四角形。


ケーブルの長さはおよそ192cm。


ケーブルの直径はおよそ5mmでした。


PlayStation 5に付属していたHDMIケーブルはまったく何の文字もないシンプルなデザインです。


コネクターの断面はやや長辺が内側にへこんだ長方形。指の腹がちょうどおさまるようになっていて、グリップ力が高くなっています。


ケーブルの長さは140cm。


ケーブルの直径は5mm。


ケーブルの側面には「HIGH SPEED HDMI CABLE E321011」と白い文字で書かれていました。PlayStation 4に付属していたケーブルと同じもので、HDMI 2.1規格に対応したケーブルかどうかは不明です。


エレコムの5種はすべて2020年11月に発売になったUltra High Speed HDMI Cable規格認証済みケーブル「DH-HD21EBK」シリーズです。長さは1.0m、1.5m、2.0m、3.0m、5.0m。


パッケージには、8K・4K・2K、48Gbps伝送、DynamicHDRに対応しているほか、eARCやゲームの可変フレームレートにも対応していることがアピールされています。


裏面に、ケーブルの中身の図解がありました。


左側面上部には、HDMI Forumの規格認証ライセンスのシールが貼られています。


中身はシンプルにケーブルのみ。


コネクターの表面には「HDMI 8K DHDR」と書かれています。HDMI端子は金色。


裏面には何も書かれていませんでした。


コネクターを正面から見たところ。コネクタの断面の隅は上半分が角丸で、下半分が面取りされており、表裏非対称になっています。HDMI端子も表裏非対称なので、コネクタを触るだけでどちらが表か裏かがわかるようになっているというわけ。


1.0mケーブルの長さを測ってみると、およそ103cm。他のケーブルも実際に測ってみると、すべてパッケージに書かれている長さ+3cmほどでした。


直径はおよそ6mm。ベルキンやXbox Series Xのケーブルよりもわずかに太くなっています。


長さ5種類のケーブルを並べるとこんな感じ。


1.0m、1.5m、2.0m、3.0mはコネクターの大きさとケーブルの太さは一緒でしたが、5.0mのケーブル(画像右)を他の長さのケーブル(画像左)と比較すると、明らかにコネクターの大きさが異なる上に、ケーブルも5.0mの方が太いことがわかります。


実際にケーブルの太さを測ってみると、8mmでした。


5.0mケーブルを手に取るとかなりずっしりとした感触があったので、重さを量ってみると、実測で445グラムでした。


なお、同じエレコムで長さが5分の1の1.0mケーブルの重さは70グラムでした。


◆実際にモニターに抜き挿ししてみた
HDMIケーブルを実際に運用する上で重要なのが、取り回しのしやすさです。テレビやモニターとゲーム機やBlu-rayプレイヤーをつなぐHDMIケーブルはほとんどの場合、壁をはわせたり家具の隙間を縫うように配線したりするため、「ケーブルの抜き挿しのしやすさ」や「ケーブルの柔らかさ」が重要になるもの。

以下の画像は、左からベルキン AV10175BT2M・Xbox Series X付属・PlayStation 5付属・エレコム H-HD21E20BK(長さ2.0m)・エレコム DH-HD21E50BK(長さ5.0m)の5種類を直径8cmの円状にくるりと巻いてまとめて1分放置してみたところ。


最もケーブルが柔らかく素直にまとめることができたのは、Xbox Series X付属のケーブルでした。Xbox Series X付属のものと同じ太さであるベルキンのケーブルとPlayStation 5のケーブルはXbox Series Xよりもやや取り回しづらい印象。また、太さが8mmもある5.0mのDH-HD21E50BKのケーブルが最も取り回しにくいのは当然なのですが、長さ2.0mのH-HD21E20BKは3重シールド構造と大口径の銅線、さらにケーブル保護のフィラーを内蔵していることもあり、取り回しづらいというよりも非常にしっかりしているという感触です。

つづいてモニターに抜き挿ししてみます。使用するモニターはBenQの27型液晶ワイドディスプレイ「EW2740」です。HDMI入力ポートは背面の中央にあるへこんだ部分にあり、抜き挿しがやや面倒。


まずベルキンのケーブルを抜き挿ししてみます。特にポートに挿してもゆるゆるで抜けやすいということはありませんが、コネクター部分が短いので、EW2740のように狭い部分に抜き挿しする場合はひと苦労。また、コネクターの形状が裏表で違いがないので、どっち向きを持っているのかを手の感覚で把握できないのが残念。また、コネクターの表面もつるつるとした手ざわりで滑りやすいのも難点。


ベルキンのケーブルをEW2740に挿して自重にまかせて垂らしたところが以下で、差し込み口からおよそ6~7cmほど後ろに突き出します。


Xbox Series X付属のケーブルはコネクターに十分な長さがあるので持ちやすく、抜き挿ししやすいのが特徴。コネクターはマットな表面処理でベルキンのものよりはすべりにくく、突起部分が指に引っかかるので、抜きやすくなっています。


自重に任せて垂らした場合、差し込み口から突き出すのはだいたい9~10cmほど。


PlayStation 5は角張ったコネクターでややごつく、狭い場所だと少し持ちづらいかも。


自重に任せて垂らすと、突き出すほぼXbox Series Xと同じくらいで、9~10cmほどでした。PlayStation 5やXbox Series Xをプレイする際は、テレビまたはモニターのHDMIポート周辺にはある程度のスペースが求められる模様。


エレコムのH-HD21E20BKも少しコネクターが短めなので、挿しにくい部分があります。ただし、コネクター部分もHDMI端子と同様に表裏非対称で、手元がよく見えない状態で挿す場合にはありがたい構造となっています。


EW2740に挿してみると、後ろへはおよそ8~9cmほど突き出しました。H-HD21E20BKのコネクター部分の根元にあるシールドは、ベルキン・Xbox Series X付属・PlayStation 5付属のものに比べるとかなり丈夫でしっかりした作りになっています。


5.0mのH-HD21E50BKはとにかくケーブルが重く、固くしっかりした作りになっています。HDMI端子はしっかりとささるので、簡単に抜けたりはしませんが、ケーブルの取り回し方によっては、ケーブルの重さでコネクターや映像機器のHDMI入力ポートに負担がかかってしまいそう。


もちろん後ろにはかなり突き出してしまうので、映像機器の背面にはそれなりのスペースが求められます。5mという長さであれば、1部屋の中であればどこにあってもゲーム機を映像機器につなげそうですが、その代わりケーブルが重く取り回しづらいので、5.0mのケーブルを購入する場合はどのように配線するかを事前にしっかり計画する必要があります。


今回比べたものの中で最も取り回しやすいと感じたのは、約2mという扱いやすい長さで抜き挿ししやすく、ケーブルもまとめやすかった「Xbox Series X付属のHDMIケーブル」でした。市販されているHDMI 2.1対応ケーブルの中では、ベルキン製のものが取り回ししやすいと感じましたが、ケーブルの品質についてはHDMI Forumが公式に認証を与えたエレコムの方が信頼性は高く、特にシールドやフィラーによって丈夫で長持ちしそうという意味で安心感があります。

また、PlayStation 5のケーブルも取り回しに問題はありませんが、HDMI 2.1に対応しているケーブルかどうかという根本的な部分で不安が残ります。将来的に4Kテレビに接続してその本領を遺憾なく発揮してゲームを遊びまくりたい人は、今のうちにベルキンやエレコムから出ているHDMI 2.1対応のケーブルを購入するのもありです。

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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