ソフトウェア

Appleの「M1」搭載Macに最適化されたAI向けライブラリ「TensorFlow」の最新バージョンがリリースされる


オープンソースの機械学習(ML)向けソフトウェアライブラリ「TensorFlow」の最新バージョンが2020年11月18日にAppleからリリースされました。TensorFlowはこのバージョンで、Appleが発表するや否や複数のベンチマーク結果で高スコアをたたき出して絶賛を浴びている「M1」チップに正式対応し、その性能をフル活用できるようになっています。

apple/tensorflow_macos: TensorFlow for macOS 11.0+ accelerated using Apple's ML Compute framework.
https://github.com/apple/tensorflow_macos


Leveraging ML Compute for Accelerated Training on Mac - Apple Machine Learning Research
https://machinelearning.apple.com/updates/ml-compute-training-on-mac

Accelerating TensorFlow Performance on Mac — The TensorFlow Blog
https://blog.tensorflow.org/2020/11/accelerating-tensorflow-performance-on-mac.html

Apple releases forked version of TensorFlow optimized for macOS Big Sur | VentureBeat
https://venturebeat.com/2020/11/18/google-releases-new-version-of-tensorflow-optimized-for-macos/

Appleが初めて独自開発したM1チップは、複数のベンチマークで演算性能グラフィックス性能ともに他社製チップに大きく水をあけるスコアを示し、各種メディアから絶大な支持を集めています。

Appleの「M1」搭載Macレビューまとめ、「コンピューティング革命」や「信じられない偉業」など絶賛の嵐&今後のApple Siliconへの期待までてんこ盛り - GIGAZINE


Appleは11月18日に公式ブログを更新し、Macに最適化されたTensorFlow 2.4をリリースしたことを発表。その中で、「長年にわたりMacは開発者、エンジニア、研究者にとって人気のプラットフォームでした。M1チップ搭載Macに最適化されたTensorFlow 2.4は、Macのパワーをフルに活用し、パフォーマンスを大幅に向上させます」と述べました。

Appleによると、TensorFlow 2.4はmacOS BigSurMLComputeをフレームワークとして採用することでM1チップ搭載Macに最適化されており、M1の8コアCPUや8コアGPUの性能を生かした高速な機械学習(ML)ができるようになっているとのこと。

以下は、5種類のMLアルゴリズムによるトレーニングをIntel製CPUを搭載したMacBook Pro+TensorFlow 2.3(灰色)、Intel製CPUを搭載したMacBook Pro+TensorFlow 2.4(黄色)、M1を搭載したMacBook Pro+TensorFlow 2.4(オレンジ色)で実行するのにかかった時間のグラフです。どの環境でも、TensorFlow 2.4は前バージョンに比べて高速化されていますが、特にM1チップとの組み合わせにより最高のパフォーマンスを示すという結果になりました。


また以下は、Intel製CPUを搭載したMacPro2019年モデルでTensorFlow 2.3(灰色)とTensorFlow 2.4(黄色)によるトレーニングを実施した結果を比較したグラフです。これにより、Intel製CPUを用いた環境でもTensorFlow 2.4は前バージョンに比べて大幅に高速な処理を行うことができることが示されました。


このベンチマーク結果について、IT系ニュースサイトVentureBeatは「Intel製のCPUを搭載した13インチMacBook Proで古いTensorFlowを実行すると2秒かかるトレーニングでも、M1チップと最新のTensorFlowを搭載したMacBook Proならわずか1秒で完了しています。さらにAppleは、Intel製CPUを搭載したMacPro2019年モデルでも、最適化されていないTensorFlowなら6秒だったところを、最適化されたTensorFlowなら2秒でこなせるとしています」とコメントしました。

また、TensorFlowの開発に携わっているGoogleのPankaj Kanwar氏とFred Alcober氏は、「TensorFlow 2で見られたこの改善は、AppleがTensorFlow LiteによりiOSでTensorFlowを実行できるようにしたことと相まって、Apple製ハードウェアでの高速なML処理をサポートするTensorFlowの裾野の広さを示しています」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1l_ks

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