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Zen 2 CPU&RDNA 2 GPU搭載のゲーム機「Xbox Series X」分解レポート、黒い箱に詰め込まれたMicrosoftの技術を確かめてみた


2020年11月10日に発売されたMicrosoftのXbox Series Xは、Zen 2アーキテクチャCPUとRDNA アーキテクチャGPUを搭載し、4K・最大120Hz出力が可能な次世代ゲーム機です。Microsoftの技術が詰め込まれたゲーム機がどんな中身をしているのか、さっそく予約購入したXbox Series Xをバラバラにして、それぞれのパーツがいったいどんな作りなのかをじっくり見てみました。

まったく新しい Xbox Series X | Xbox
https://www.xbox.com/ja-JP/consoles/xbox-series-x

Xbox Series Xをどんな感じでバラバラにしていったのかは、以下の記事を読めばわかります。

Micosoftの次世代ゲーム機「Xbox Series X」をバラバラに分解して中身をのぞいてみた - GIGAZINE


まずはケースと背面パネル。


天面部からのぞく緑のメッシュ部分はこんな感じで、2層構造になっています。


背面パネルには「Microsoft」のロゴが刻まれていました。


Xbox One Sでは基板が1枚だったのが、Xbox Series Xでは2枚に分割されています。1枚目の基板からヒートシンクとシールドを外してCPUグリスを拭き取ったところがこんな感じ。


中央にあるのはXbox Series XのSoC。全体の面積のおよそ47%がRDNA 2アーキテクチャのGPUクラスタ、およそ11%がZen 2アーキテクチャのCPUクラスタ、残りはGDDR6コントローラーやIOなどで占められています。表面には開発プロジェクト名である「PROJECT SCARLETT」が刻まれています。


そして、SoCの周りをぐるりと囲んでいるのがGDDR6-14gbのメモリ。総容量は10GBです。


裏側を見ると、精密部品がぎっしり。基板自体は多層構造になっているため、回路すべてが表面に出ているわけではありませんが、それでもかなりの密度。


シールドの枠に並んでるのが電源管理のコイルです。


Xbox Series X専用の拡張ストレージカードの差し込み口と、HDMI出力端子。


拡張ストレージカードの差し込み口横には、ちょうどUSBコネクタをつけられそうな形で4本の入力が残されていました。


基板に取り付けられていたNVMe接続のSSD。M.2スロットに対応しています。


品番はWestern DigitalのCH SN530となっています。公式サイトによれば、この品番のSSDはPCI Express Gen 3.0に対応したモデル。


しかし、lspciでこのSSDの詳細を見てみたところ、接続速度が毎秒16GT(ギガトランスファー)との表示。これはPCI Express 4.0対応であることを示しているので、Xbox Series X搭載のCH SN530は市販品と同じ品番ですがカスタムモデルだとみられます。


なお、中身は以下のように6つのパーティションに分割されていました。


CrystalDiskInfoでのスキャン結果は以下のような感じ。


調べてみると、Xbox Series X版CH SN530は、どうやらコントローラーチップが従来のCH SN530とは違うようでした。


これはPMICと思われるチップ。


2枚目の基板はこんな感じ。


裏返すと、LANポートやUSBコネクタがついています。


そして、よく目立つ位置に配置されていたのが、前世代機であるXbox Oneのロゴが書かれたチップ。回路を見ている限り、入出力の制御を行っているようですが、詳細は不明。チップに書かれたコードで検索しても、何もでてきませんでした。


基板には、ボタン電池や……


スピーカーやI2Cバスなど、部品が付いていないもののなぜか回路にスペースが設けられているところも見られました。


1枚目と2枚目の基板をつなぐリボンケーブル


そして2枚の基板の間に挟まれるダイキャスト製のフレーム。


SSDに覆いかぶさるシールドに当たる部分には「SSD Solid State Drive」と刻まれていました。


ヒートシンクはこんな感じ。貼り付けられている緑色の粘土は触るとひんやり冷たく、熱伝導性の高い素材でできているようです。銅板の下にはスリット状のパーツがついています。


銅板の端からはヒートパイプの端がはみ出ていました。


光学ディスクドライブはBlu-rayに対応したDG-6M5S。


DG-6M5Sは、Xbox One Slimに搭載されていたドライブです。


ケースに光学ディスクドライブを固定するパネル。


「Optical Disc Drive(光学ディスクドライブ)」と刻まれています。


裏側からは金属パーツがはめ込まれています。光学ディスクドライブの裏側はそこまで排熱に気を配る意味はなさそうなので、何のためにつけられた金属パーツなのかは不明。


天面部に設置された静音ファン。Xbox Series Xは底面から天面への気流を複数に分けながら冷却を行うシステムで、高性能ゆえに排熱量もかなりのものと思われるXbox Series Xにとって、このファンこそが要ともいえます。


ファンはAavid Thermalloy製。


ファンの片隅には、Xbox Series Xのローンチタイトルと期待されつつも延期になってしまった「Halo Infinite」の主人公であるマスターチーフのマスクが刻まれています。


コントローラーと接続するための受信センサーとUSBコネクターを搭載した基板


裏側に謎のシールドを発見。何を隠しているのかめちゃくちゃ気になったのですが……


Xbox Series Xの中で唯一、この部分だけシールドがかっちりと固定されており、剥がすのを断念。


これは電源を入れるためのスイッチが搭載された基板。


LEDとスイッチ。Xbox Series Xは、本体にあるXboxのロゴをしたボタンを押すと起動。ボタンが白く光ります。


2種類の基板は無線関連のもの


連邦通信委員会に認証を受けた時のコード「FCC ID」で検索して詳細を確認してみたところ、「C3K1888」は「802.11a/b/g/n/ac 2T2R dual-band wireless LAN radio」ということで、Wi-Fiモジュールである模様。


しかし、もうひとつの「C3K1889」は「Dual-band wireless accessory radio」とありますが、具体的にどういう役割のチップなのかは不明。


なお、両方の基板をすかしてみると、アンテナ部分が見えました。


電源部は頑丈な金属ケースに入っています。


マイナスドライバーをねじ込み、ぐいっとこじ開けます。


プラスチックケースもこじ開けます。


電源の中身はこんな感じ。各所が白い樹脂でカバーされており、銀色のヒートシンクがついています。


制御基板はライトン製でした。


というわけで、全部のパーツをいろいろ見た上ですべて組み立てて元に戻そうとしましたが……


どうやら電源スイッチ周りで問題が発生したようで、スイッチを押してもうんともすんとも言わなくなりました。


調べてみると、スイッチ基板とメイン基板をつなぐリボンケーブルのコネクタに問題が起こった様子。リボンケーブルを引き抜いたり接続したりしているうちに、リボンケーブルかコネクタのどちらかに物理的な障害が発生してしまったようです。


電源を入れるだけであればコントローラーからでも可能なので、ひとまずプレイはできる状態。当たり前ですが、およそ5万円という高価なゲーム機が一瞬にしてただの箱になってしまう可能性や感電してしまう可能性もあるので、分解したい人は自己責任で行ってください。

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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