160億円の資金調達完了を動画共有サービス「Vimeo」が報告

広告なしで動画を視聴可能で、コンテンツを配信する多くのクリエイターから支持されている動画共有サービス「Vimeo」が新たに約160億円の資金調達を完了したと発表しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う都市封鎖でVimeoの需要が急増しており、資金がさらなる機能拡張に充てられるとのことです。

Vimeo Raises $150 Million of Equity
https://press.vimeo.com/115355-vimeo-raises-150-million-of-equity

What’s next for Vimeo: A note from our CEO
https://vimeo.com/blog/post/whats-next-for-vimeo/

Vimeo raises $150 million as parent IAC looks to spin it off | Reuters
https://www.reuters.com/article/us-iac-interact-results-idUSKBN27L2TF

動画共有サイトの「Vimeo」は「インディーズ版のYouTube」と認識されることが多いのも事実ですが、視聴者は広告なしで動画を再生でき、クリエイターにとっても作品を発表していく場所として大きく成長してきました。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて需要が増加し、2020年3月から10月の間で新規登録者が3000万人増加し、新しいコンテンツが60万件もアップロードされており、収益報告によるとVimeoの2020年第3四半期の収益は前年同期比で44％増の7510万ドル(約77億円)でした。

また「仮想イベント」にもVimeoが多く利用されるようになったとのこと。たとえば、L.A. DANCE PROJECTは現実世界でのクラスをVimeoを使ったオンラインクラスに移行することにより、これまで最大収容人数が150人だったところを、一度に17万5000人に対して実施できるようになりました。またコロンビア大学はVimeoを使ってバーチャル卒業式を行い、スターバックスもVimeoを使ってCOVID-19への対応について説明する教育プログラムを全世界の店舗に配信しています。

需要の拡大を受けて、Vimeoはさらなる展開のため、投資会社ThriveCapitalとGICから1億5000万ドル(約160億円)の株式投資を受けたことを発表しました。Vimeoは無料でPC画面やウェブカメラの映像を共有できるChrome拡張機能「Vimeo Record」を10月に発表していますが、VimeoのCEOであるAnjali Sud氏は、新たに受けた出資がVimeo Recordを含む「コラボレーションでのコンテンツ作成機能」の拡張に充てられることを示唆しています。

またSud氏はVimeoを利用したライブイベントでの収益化や交流方法の再考や、コンテンツ作成・公開プロセスの最適化、GoDaddyやShopifyを含む多くのプラットフォームとの連携、アルゴリズムの改善にも資金が充てられるとのべています。

「私たちの目標は、かつてないほどにコストパフォーマンスに優れ直感的なツールで、ビジネスとして動画が作られ共有されることを抜本的に簡素化することです。私たちは追加の資金を受けることで、Vimeoというプラットフォームにフォーカスを当て拡大させる大きな機会を得ました」とSud氏はコメントしました。

Vimeoの親会社であるInterActiveCorpは出会い系アプリ開発会社のMatch Groupを分離済みで、Vimeoについても独立事業化することを考えているとのこと。ただし、IACのJoey Levin CEOは「独立を決めるまでにはまだ時間が必要で、条件がどういったものになるのかを語るには早すぎます」と述べています。