サイエンス

新型コロナウイルス感染症を「せきの音」から検知可能なAIが開発される、無症状患者は100%検知


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には多くの無症状感染者が存在するほか、その感染力は発症前が最も強力ともいわれています。このため感染の自覚がない人からの感染が懸念されていますが、新たに、無症状患者であっても「せきの音」からCOVID-19の感染を検知できるAIが開発されました。このAIを今後アプリなどに実装することができれば、COVID-19の早期警報システムとして利用できる可能性があります。

COVID-19 Artificial Intelligence Diagnosis using only Cough Recordings - IEEE Journals & Magazine
https://ieeexplore.ieee.org/document/9208795

MIT Team's Cough Detector Identifies 97% of COVID-19 Cases Even in Asymptomatic People
https://www.sciencealert.com/ai-cough-analysis-could-detect-covid-19-even-if-you-re-asymptomatic


この研究を主導したのはマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チーム。もともと研究チームは話し声やせきからアルツハイマーを検知するAIを開発しており、今回新たに、たとえ無症状であっても患者からCOVID-19を検知できるAIを作り出しました。

「話し声もせきは声帯やその周囲の器官の影響を受けます。このため、人の発話がせきっぽくなったり、それとは逆にせきをしている時に話し声のようになったりします。AIは流暢なスピーチからはさまざまな情報を拾うことができ、性別・母国語・感情と同様にせきを検知することが可能です」と研究を行ったMITのブライアン・スビラナ氏は述べています。

AIの開発には深さが50層の畳み込みニューラルネットワークである「ResNet50」が利用され、人間のスピーチを何千時間もモデルに学習させた後に、異なる感情状態で発話された単語のデータセットと、せきが肺と呼吸器のパフォーマンスをどう変化させるかというデータセットが与えられました。その後、複数のモデルが組み合わされ、「強いせき」を「弱いせき」から切り離せるようにしたところ、AIは2500人のCOVID-19患者のうち97.1%を識別できるようになったとのこと。無症状患者に限定すると、識別率は100%だったそうです。


この技術は無症状患者の「健康なせき」と「不健康なせき」を識別し、「早期警報システム」として役立つ可能性があると研究者はみています。

COVID-19の検査は痛みを伴うことがあり、また国によっては費用が高額になることもあります。しかし、AIを使った診断は非侵襲的かつ事実上無料で、迅速に実行できるという点に大きな利点があります。ただし、AIは既に症状を示しているCOVID-19患者を診断するようには設計されておらず、あくまで無症状患者に対し検査と隔離が必要かどうかを判断するものになるとのこと。

なお、AIの精度を高める他の要素の存在を確認するため、研究者は今後さらに多様なデータセットを使ってテストを行っていくと共に、アプリとしてリリースされる時のためにプライバシーをどう配慮していくかを検討する予定だとしています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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