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気候変動への不安がうつ症状を引き起こす恐れがある


もはや気候変動は「第三次世界大戦」レベルの危機といわれており、気候変動に対処するためには感染症対策と同レベルの取り組みが必要だという声もあります。多くの人が気候変動について懸念しており、近年は「気候不安」といわれる症状も報告されているとのこと。気候不安が人のメンタルヘルスにどのような影響を与えているのか、クリーブランド・クリニックの精神科医であるブライアン・バーネット氏が解説しています。

Climate Anxiety and Mental Illness - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/climate-anxiety-and-mental-illness/


気候不安の症例はこれまでに複数報告されており、極端な例でいえば、2008年に17歳の少年が気候変動について不安に思うあまりに妄想的になり、「家で自分が水を飲んだり水を使ったりすると何百万人の人が死ぬ」と信じ込んでしまったケースがあります。またオーストラリアで報告される強迫症(OCD)のうち3分の1近くがカーボンフットプリントを減らすために照明のスイッチ・蛇口・ストーブなどの確認を繰り返してしまうこともわかっています。

さらに、340人以上を対象に調査した2018年の研究では気候不安がうつの症状と関連しており、「エネルギー消費を減らす」といった環境保護につながる行動がうつ症状から人を守るとも報告されています。気候変動の影響で近い内に沈むと言われているツバルで2020年に行われた調査では、回答者の87%が「気候変動による不安で1日に最低1回は日常生活に支障が生じる」と答えているとのこと。

なお、2018年にGIGAZINEで実際にツバルの取材をした際には、ツバル住民11人のうち「沈むと思う」派が5人、「信じない」派が4人、「わからない」が2人という結果でした。

「ハンモック付きでのびのびした刑務所」「ビンゴは遊びじゃない」など沈みゆく島と呼ばれるツバルを歩き回ってわかった10個のこと - GIGAZINE


「気候変動のによって精神疾患になりやすい人」には個人差があり、日ごろから気候変動の影響を受けやすい人のほか、知識が深く事態を人々に伝えようとする気候学者なども、事実を否定され精神に障害をきたしやすいとのこと。もちろん、もともと神経症的性格の傾向がある人もリスクが高いといわれています。

そして、年齢によっても気候変動を懸念する傾向が異なります。アメリカの世論調査では10代の57%が気候変動を恐れており、43%は「望みはない」と答えています。高齢層よりも若年層の方が生涯にわたって気候変動が大きな脅威になると感じており、気候不安による機能障害に陥りやすいとのこと。気候変動を懸念し子どもを産まない選択をする人も増えており、研究者は2007年から2017年の間に10~14歳の自殺率が3倍に跳ね上がったことと気候不安の関係についても調査が必要だと主張しています。

またグレタ・トゥーンベリ氏のような環境活動家が著名なリーダーたちによって退けられ攻撃を受けることで、若年層は自分たちの懸念が無視されていると感じるとも考えられています。このような事態は若者を無力化させるとバーネット氏は指摘しました。

気候不安を報告している人の中には環境保護活動に取り組むなどして適応応答をしている人もいれば、まったく対処していなし人もいます。このような人によって異なるさまざまな行動が人口レベルでどのような影響を与えるのかはわからないものの、深刻な影響を受けた人には認知行動療法を提供するといったアプローチが必要だとバーネット氏は述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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