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政府が殺人を正当化するためにFacebookを利用している


フェイクニュースが政治の世界をねじ曲げていることはかねてから危険視されてきましたが、フィリピンでは「Facebookが政府による殺人」を正当化するために利用されていると指摘されています。人がFacebookで「危険人物」とウソの情報をばらまかれ殺害されるまでの流れをジャーナリストのピーター・ゲスト氏がつづっています。

Marked for death on Facebook - Rest of World
https://restofworld.org/2020/in-the-philippines-fake-news-can-get-you-killed/


2020年8月17日、人権擁護のNGO組織「カラパタン」のメンバーであるザラ・アルバレス氏がフィリピンの都市バコロドの路上で6発の銃弾を受け、死亡しました。アルバレス氏を殺害した人物は逃亡し、依然として逮捕されていませんが、多くの人はアルバレス氏の死が「Red-tagging」(赤タグ付け)と呼ばれるものの結果だとみています。

2018年、フィリピンの司法省はジャーナリストや野党政治家を含む「暴力的反乱を起こす共産主義者」600人のリストを発表し、アルバレス氏はこのリストに含まれました。2016年にロドリゴ・ドゥテルテ大統領が政権を握ってから「カラパタン」のメンバーが殺害されたのは、アルバレス氏で13人目です。殺害された13人は同様のパターンをたどっており、いずれもまずウソの情報が流布され、「テロリスト」「共産党同調者」として大衆に注意を呼びかけるポスターやフライヤーが配られた後、さらにウソが親政府のSNSアカウントを通じて増幅されます。このような道筋をたどった後、ターゲットとなった人物は逮捕されるか、アルバレス氏のように殺害されるかいずれかとのこと。

ドゥテルテ大統領のもと、フィリピン政府はこのようにFacebookなどのSNSを利用して「政府の敵」に対する根拠のない主張を流し続け、一方で政府の成功について誇張あるいは虚偽のニュースを広めているといわれています。

75歳のドゥテルテ大統領は過去最高齢で選出されたフィリピン大統領ですが、SNSを利用することにたけているとのこと。

by Republic of Korea

ドゥテルテ大統領はフィリピン・ミンダナオ島ダバオの市長を20年近く務めましたが、その間、ダバオでは「ダバオ・デス・スクワッド」という自警団が法律違反者と麻薬密売人を超法規的に殺害することが認められました。2016年に大統領になってからもドゥテルテ大統領はダバオ市長時と同じビジョンを持っており、「暴力的な麻薬密売人や共産主義者、テロリストの脅威にさらされているフィリピンを救うことができるのは、武装をいとわない有力者だけだ」という「物語」に基づき政治を行っているとゲスト氏は指摘しています。このためフィリピンでは共産党支持だというだけで危険人物だとみなされ、政府からターゲットにされてしまうとのこと。

多くの国においてフェイクニュースは問題化していますが、フィリピンにおいてはそれが直接的に殺人に結び付くとして、特に危険性が叫ばれています。


フィリピンでは国民の97%がFacebookを利用していますが、多くの政治家がプラットフォームを浅くしか活用できていない一方で、ドゥテルテ大統領の支持者は「有権者の深層部にまで達し、恐怖を作り出し、それを増幅させることに成功した」といわれています。ロシアゲート問題で関連があったといわれる選挙コンサルティング企業「ケンブリッジ・アナリティカ」の親会社であるストラテジック・コミュニケーションズ・リミテッドはドゥテルテ大統領の選挙に関わっており、「クライアントを強く真面目な行動する人物とリブランディングすること」で無名の候補者を大統領に仕立て上げたと宣伝しています

2016年からオンラインの偽情報を記録し続けているニュースサイト・RapplerのCEOであるマリア・レッサ氏は、「麻薬密売人らを私刑で殺害すること」を人々に認めさせるために、ドゥテルテ大統領がFacebookを利用していたと述べています。2017年にドゥテルテ大統領は歌手のモカ・ウソン氏を広報アシスタントに指名しました。ウソン氏はたびたび「誤情報を広げている」として非難されていますが、それでもウソン氏やドゥテルテ大統領を擁護する政府内部の人々は、政府の功績をたたえるためのフェイクニュースを流し続けているとのこと。たとえば、ウソン氏はフィリピンで麻薬使用者が殺害されていることを正当化する「証拠」としてブラジルで発生した殺人事件の写真を公開しました

Mocha Uson ‘The Queen of Fake News’ summoned by NBI for spreading fake news again
https://www.msn.com/en-ph/news/national/mocha-uson-the-queen-of-fake-news-summoned-by-nbi-for-spreading-fake-news-again/ar-BB144u2p


「麻薬戦争に疑問を持つ人はみんなFacebookで攻撃されたので、人々は黙るようになりました。人々が殺害されることが黙認されると、今度は『人を殺してもいいのだ』というプロパガンダの種がまかれます。このようなことをフィリピン人たちが受け入れるとは思ってもいなかったのですが、事実として起こったのです」とレッサ氏は述べています。公式にはドゥテルテ大統領が政権を握って以来、警察によって5500人が殺害されたことになっていますが、実際には自警団によって2万7000人が殺害されたと推測されているとのことです。

これまでにベネディクト会80歳の尼僧が共産主義のテロリストと指名されており、女優のライザ・ソベラノ氏も女性の権利団体が主催するイベントでスピーチを行った後に「赤タグ付け」が行われました。ソベラノ氏もまたこれまでに殺害された活動家と同じ道をたどる可能性があるとして懸念されています。

フィリピンの権利団体は2017年から2019年に死亡した89人の活動家について調査中とのこと。カラパタンのクリスティーナ・パラベイ氏は「それは人を麻薬密売人とラベル付けすることから始まり、ターゲットは非難にさらされた後に『テロリスト』や『共産党同調者』とタグ付けされます。恐怖の風潮を作るには、物語を勢いづけるブギーマンが必要です。そのためにジャーナリストや敵対者など、我々を使って暴力を正当化するための『危険因子』を作り出す必要があるのです」と指摘しました。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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