世界で初めてプラズマが光の刃となるライトセーバーが開発される

金属を高温で加熱するライトセーバーを作成してYouTubeで公開したところ、「これはただの熱した棒でライトセーバーではない」という批判を受けたことから、SF映画に出てくる架空のアイテムを実際に作ってしまうYouTubeチャンネルのthe Hacksmithが、世界で初めて実際にプラズマの刃を生成するライトセーバーを開発しました。技術と資金を集結させた、「すごい」としか言いようがない開発の一部始終がYouTubeで公開中です。
4000° PLASMA LIGHTSABER BUILD (RETRACTABLE BLADE!) - YouTube
YouTubeチャンネルのthe Hacksmithのホストであるジェームズ・ホブソンさんはこれまでもアイアンマンのリパルサーやマイティ・ソーのハンマーなど、フィクションに登場する架空のアイテムをいくつも現実世界に再現してきました。

ライトセーバーも過去4年の間に、何度も挑戦してきたとのこと。

時には消防車が出動する騒ぎになることもありました。

バージョン1はニッケルチタン合金のワイヤーを高温で熱したもので……

バージョン2はタングステンチタン合金を使用。

しかし、実際に戦わせてみたところ……

めちゃめちゃ危険だということがわかりました。

その後、3Dプリンターで出力したチタン製のカイロ・レン型ライトセーバーも開発。これら過去に開発したライトセーバーは見た目や音といった点で映画に登場するライトセーバーにとても似たものでしたが……

インターネット上には「ただの熱した棒だ」「こんなのライトセーバーじゃない」というコメントであふれたとのこと。

そこで新たにホブソンさんはより原作に近づけたライトセーバーを作ることにしました。映画に出てくるライトセーバーは「プラズマによって作られた光の刃」で、物体を溶断します。これを科学的に実現するためには「ライトセーバーのプラズマは磁場によってコントロールされる」という仮説が考えられますが、現代の技術では難しい様子。

そこでホブソンさんは層流という現象を利用してプラズマの光刃のライトセーバーを作ることに。層流は、各流体要素が揃って運動して作り出す流れのこと。

まずはデザインの設計から。今回のライトセーバーのデザインはスチームパンク風です。

実際に真ちゅうを削って柄を作っていきます。

水をかけながらゴリゴリ削り……

複数のパーツを削り出していきます。

溶接作業。

それぞれのパーツを組み合わせていきます。

完成したのがコレ。

柄が完成したところで、次は核となる「どうやって光の刃を作り出すか?」という部分へ。光の刃はかなりのエネルギーを要するため、本体とは別にパワーパックが必要になります。パワーパックで使うのはバーベキューなどで利用する家庭用の液化石油ガスです。

液化石油ガスの流れを、特殊なノズルと層流を用いて1点に集中させるとプラズマが発生するとのこと。

これがそのノズルで、価格は4000ドル(約42万円)とかなり高額。このノズルを使って酸素の吸入量をコントロールし、炎を高温にすることでプラズマを作り出すわけです。

ということで、実験へ。安全のためゴーグルをつけて……

着火すると、ノズルからふわっと炎が吹き出し……

あっという間にライトセーバー状に。青い光の刃です。

実際に物を切断することも可能。

また、炎色反応を使って炎の色を変えることもできます。ホウ酸を使うと……

緑色に。

どんどん色を変えていきます。塩化カルシウムで琥珀(こはく)色に。

塩化ストロンチウムで赤。

塩化ナトリウムで黄色に変化します。

5つのカラーを並べるとこんな感じ。

これらを制御するパワーパックも設計し……

最終的にこんな感じに。

パワーパックを背負うホブソンさん。

ボタン1つで出力すると、本物のライトセーバーのごとく光の刃が現れました。

なお、今回開発したライトセーバーでテストを行う様子は記事作成時点でメンバー限定コンテンツとして公開されており、2020年10月14日に一般公開される予定となっています。
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