セキュリティ

「無料のWi-Fi」を提供したフランスのバーの経営者5名が逮捕される、その原因は?


フランスのグルノーブル市で、「ログを保持しない設定」のまま無料のWi-Fiを提供していたバーの経営者5名が逮捕されました。この一件は、フランスでは2006年に可決した「Loi relative à la lutte contre le terrorisme(テロリズム対策法)」の存在が原因です。

Des patrons de bars en garde à vue à cause du Wi-Fi offert à leurs clients
https://www.bfmtv.com/economie/des-patrons-de-bars-en-garde-a-vue-a-cause-du-wi-fi-offert-a-leurs-clients_AN-202009290142.html

French bar owners arrested for offering free WiFi but not keeping logs - CozyIT
https://www.cozyit.com/french-bar-owners-arrested-for-offering-free-wifi-but-not-keeping-logs/

2005年7月7日、イギリスの首都ロンドンの地下鉄3箇所が同時に爆破され、その約1時間後にバスが爆破されるというロンドン同時爆破事件が発生しました。この事件の直後、イスラム主義を掲げる国際テロ組織アルカイダから、アフガニスタンやイラクに軍隊を派遣している各国政府に対し、「撤退しなければ同じ目に遭う」という警告が発表されました。

この一件を受けて、当時内務大臣を務めていたニコラ・サルコジ氏のリーダーシップの元、議会を通過した法案が「テロリズム対策法」です。同法は1986年に導入された既存のテロ対策法を拡張するもので、テロ防止を目的とする場合における、令状なしでのコンピューターファイルの捜査や裁判所の許可なしでの通信記録の取得、起訴なしの拘束期間の延長など警察の権限の拡大や、公共の場での監視カメラ網の強化や国際線乗車時の身元確認の強化など、国内の監視網の強化などが含まれました。

このテロリズム対策法には、インターネットサービス提供者に対する「1年間の接続データの記録保持義務」が含まれていました。この条項は、有事の際にテロリストに関する情報を当局に提供できるように、各インターネットサービス提供者に1年分の接続記録保持を、公共ネットワークに接続するユーザーにVPNを使用しないことを義務づけるもので、ISPだけでなくインターネットカフェのような個人事業主も対象です。


グルノーブル市のバー経営者5名が逮捕されたのも、店内でサービスとして提供している無料のWi-Fiについて、接続データの記録保持義務を怠っていたことが原因。しかし、フランスのテレビネットワークBFM Businessは、「接続データの記録保持義務が周知されていない」という問題を指摘しています。

BFM Businessの指摘によると、飲酒施設向けの営業許可であるLicence IVの取得時に受講必須となる授業を提供する業界団体Union des métiers et des industries de l'hôtellerie(UMIH)の専門家ですら、接続データの記録保持義務について「守らなければならない法律ではない」と教えていたとのこと。

接続データの記録保持義務に違反した場合には、最高で7万5000ユーロ(約930万円)の罰金と1年の懲役刑が科せられます。フランスの報道各社は、提供中小企業の経営者に対して同法を順守していることを確認するように促しています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
数万円のテレビ機器でいとも簡単に飛行機や船をハッキングできるとの報告 - GIGAZINE

2020年のダークウェブではどのような情報がどれほどの価格で販売されているのか? - GIGAZINE

ロシアでは「安全なインターネット通信が違法」になる可能性、AWSやCloudflareも対象か - GIGAZINE

空港の保安体制をハッカー目線で見たら浮き彫りになってきた数々の問題点とは - GIGAZINE

in セキュリティ, Posted by log1k_iy

You can read the machine translated English article here.