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インターネット上のあらゆる情報を保存するインターネットアーカイブは個人収蔵レベルの雑誌まで引き取って電子化している

by John Blyberg

カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置く「インターネットアーカイブ」は、全ての知識へのユニバーサルアクセスを目標に、インターネット上のあらゆる情報を保存して公開する「ウェイバックマシン」というアーカイブ閲覧サービスを運営しています。そんなインターネットアーカイブが、「個人収蔵レベルの雑誌まで引き取って電子化する」という取り組みについて、自社のブログ上で記しています。

An Archive of a Different Type - Internet Archive Blogs
http://blog.archive.org/2020/08/26/an-archive-of-a-different-type/

インターネットアーカイブに寄せられる情報の1つが、「古い雑誌や会誌を捨てようと思っています。インターネットアーカイブの取り組みに必要でしたらご連絡ください」というもので、イレーヌ・ウートンさんもこうした話を持ちかけた1人でした。ウートンさんは出版物などの筆跡鑑定を専門とする会社を閉鎖しようと思った折に、同社の収蔵物がインターネットアーカイブに役立つと思い連絡を取ったとのこと。

ウートンさんの会社に足を踏み入れたインターネットアーカイブのジェイソン・スコット氏が見た光景が以下。


イレーヌさんが勤めていたタイテルタイプライター社は、もともとはその名の通りタイプライターの修理を専門とする会社でした。タイプライターの売上はPCの普及と共に下り坂を迎えましたが、創業者のパール・タイテル氏とマーティン・タイテル氏はタイプライターに関する広範な知識を生かして「出版物に記された文書がどのタイプライターで打たれたか」を突き止める筆跡鑑定師に転身。跡継ぎであるピーター・タイテル氏は、その分野における第一人者として、数々の犯罪捜査や法廷証言に貢献しました。

そんなタイテルタイプライター社も、ピーター・タイテル氏が胸膜中皮腫を患って余命幾ばくもないという診断を受けたため、閉鎖されることとなりました。師であるピーター氏から収蔵物の処分を命じられたイレーヌ氏は、「多分収蔵物のごく一部だけを引き取るでしょう」と思いながら、ピーター氏の許可を取った上でインターネットアーカイブに連絡を取りました。しかし、イレーヌ氏の予想に反して、スコット氏は「全部欲しい」と回答しました。

というわけで、文字通り全部持ち帰ってきたという収蔵物が以下。


このようにインターネットアーカイブスは個人収蔵レベルの雑誌や文書までも引き取っています。今回のケースでは、ピーター氏の収蔵物は厳選されており資料的価値があったため引き取ったとのこと。

ピーター氏の収蔵物は、タイプライターの筆跡鑑定に関係する刑法や法執行機関の概要、捜査法などのガイドブックや、タイプライターの歴史に関する文書が主。


タイプライターの各機種ごとの出力サンプルや……


実機まで収蔵物に含まれていました。


アラビア語やヘブライ語などの生産数がごくわずかだったモデルに関する書類も収蔵されていました。


これらの収蔵物を長年にわたって保管していたピーター氏は、インターネットアーカイブスに収蔵物を引き渡す1週間前の2020年8月11日に息を引き取ったとのことです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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