サイエンス

気絶するまで飲酒すると認知症のリスクが倍増する


アルコールは世界各国で幅広く愛されている嗜好品ですが、飲酒によって免疫機能がダメージを受けたり脳卒中のリスクが増加したりするという研究結果が報告されており、アルコールは健康にさまざまな悪影響を与えるとされています。新たに発表された研究によって、一晩で大量にアルコールを摂取すると「認知症のリスクが倍増する」「共感力が低くなる」という可能性が示唆されています。

Association of Alcohol-Induced Loss of Consciousness and Overall Alcohol Consumption With Risk for Dementia | Dementia and Cognitive Impairment | JAMA Network Open | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2770285

Drinking Until You Pass Out Is Linked to Doubled Risk of Dementia, Huge Study Reveals
https://www.sciencealert.com/drinking-until-you-pass-out-linked-to-doubled-risk-of-dementia-giant-study-reveals

Differential brain responses for perception of pain during empathic response in binge drinkers compared to non-binge drinkers - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2213158220301595

Brain scans reveal a critical link between binge drinking and empathy
https://www.inverse.com/mind-body/binge-drinking-empathy-brain-scan-study

例えば1リットルのお酒を飲むにしても、「1日で1リットル飲む」のと、「1カ月で1リットル飲む」のでは状況が全く異なります。しかし、これまでの研究は主に「アルコールの平均消費量」に焦点を当てたものが主で、どのようなスパンで、どれだけの量を飲むのかという「飲酒パターン」に焦点を当てたものはほとんどなかったとのこと。そこでユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMika Kivimaki氏が率いる研究チームは、これまでに行われた7件の大規模調査の結果から、被験者の飲酒パターンと認知症リスクの関連性について調べました。

今回の研究の対象となった大規模調査7件の被験者は、合計で13万人以上。このうち9万6000人以上が「気絶するまで飲んだ経験がある」と回答し、1万人は「直近12カ月以内に気絶するまで飲んだ経験がある」と回答しました。


研究チームがフォローアップ調査の結果を分析したところ、「直近12カ月以内に気絶するまで飲んだ経験がある」と回答した被験者は、同程度の飲酒量があるものの気絶するまでは飲まなかった被験者に比べて認知症のリスクが倍増すると判明。リスクが倍増するのはアルツハイマー型認知症などを含むありとあらゆる認知症で、老若男女も問わないとのこと。一方で、中程度の酒飲み(1週間あたりビール2.8リットル未満)に比べて、大酒飲み(1週間あたりビール2.8リットル以上)の認知症のリスクは、1.2倍程度にとどまりました。

今回の研究は、アルコールの平均消費量だけでなく、飲酒パターンも健康に大きく影響を与えていると示唆しています。研究チームは気絶するまで飲むという行為が認知機能に大きな影響を与える原因について、「エタノールがダイレクトにニューロンのNMDA型グルタミン酸受容体を刺激してグルタミン酸を大量に産生し、このグルタミン酸が脳細胞を死滅させる効果を引き起こす」と推測しています。


以上のように、「一晩で大量に飲む」という飲み方は認知症リスクを高めるという研究の他にも、「共感力を低くする」という研究も新たに発表されています。サセックス大学の研究チームが行った研究は、直近30日以内に「一晩でビール1.4リットル(純アルコールに換算して140ml)以上飲む」という経験を持つ被験者に対して、負傷している手足などの写真を見せながら「この手足を持つ人の痛みを想像で答えてもらう」というもの。被験者は回答中にfMRIによって脳の活動がスキャンされ、脳の活動の状況から「共感力」が測定されました。

実験の結果、比較対照群に比べて直近30日以内に暴飲した被験者は、他人の痛みを想像するためにより強く脳を働かせる必要があることが確認されました。論文の筆頭著者であるTheodora Duka教授は、「今回の結果は、大酒飲みは他人の痛みを察するのに苦労するかもしれないと示唆しています。脳のリソースを他に回している場合において、大酒飲みは他人に共感するのに苦労するかもしれません」と語っています。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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