ゲーム

有志のゲーム攻略サイト編集者はなぜ無報酬でモチベーションを保つことができるのか?


ゲームのレビューや攻略法、裏技などの情報を集めたウェブサイト「GameFAQs」は、ほとんどの情報が20年以上ボランティアによって投稿・編集されてきました。トリニティ大学の教育学准教授のマイケル・ヒューズ氏が、「GameFAQsのボランティアはなぜ無報酬で情報を提供するモチベーションを保つことができるのか」を探るため、数年にわたってGameFAQsに投稿を続ける人々にインタビューした様子を公開しています。

View of What motivates the authors of video game walkthroughs and FAQs? A study of six GameFAQs contributors | First Monday
https://firstmonday.org/ojs/index.php/fm/article/view/7925/6630

GameFAQsのプロダクトマネージャーであるアレン・タイナー氏によると、2016年時点でGameFAQsは約2万人の投稿者によって6万4000件以上の情報が掲載されているものの、熱心な投稿者は2万人のうちごく一部であるとのこと。GameFAQsでは各投稿者の情報投稿数ランキングが公開されているため、ヒューズ氏はランキング上位に名が載っており、かつ途切れることなく定期的に投稿を続けている6名にインタビューを行いました。

インタビュー参加者は男性4名、女性2名。それぞれが7~17年、平均して12.3年の間GameFAQsにゲーム情報を投稿し続けており、中には300件以上ものゲーム情報を投稿している参加者もいたそうです。6名の参加者による投稿は短文のものもあれば長文で書かれたものもあり、情報量に換算すると平均は約15MB、最小量は約4.8MB、最大量は25MBほどであったとのこと。参加者は匿名で、それぞれP1・P2・P3・P4・P5・P6と仮名がつけられています。


ヒューズ氏が「なぜGameFAQsにゲーム情報を投稿するのか?」を尋ねたところ、全員が「他のプレイヤーを助けるため」と答えました。P4は「私は多くのお金や知名度を得ることよりも、できるだけ多くの人を助けることの方が重要だと考えてきました」と語っています。また、P3は「私は、自分なりの方法でゲームという趣味に恩返しをしていると考えています。私が死んだ後も、私が投稿した情報がずっとGameFAQsに掲載されることを願っているので、生きた証のようなものです」と述べました。

さらにP1は「自分は世間で名声を得ることはできないと思っていましたが、GameFAQsでは自分の存在を受け入れてもらえました。GameFAQsはゲームに興味を持っている『次のプレイヤー』となる人に情報を教えてあげることができる場所です」とコメント。ヒューズ氏はP1のコメントについて「自身の後に続くプレイヤーを導こうとする行為が、一種の人助けのような喜びを生んでいる」と述べ、誰かの助けになる喜びがモチベーションにつながっていると分析しています。


GameFAQsでは、プラットフォームや人気に関係なく、すべてのゲームに関する情報を幅広く募集しています。数多くの情報の中から「未発見の情報」を見つける楽しさを見いだすことでモチベーションを保つ参加者もおり、P2は「情報を投稿し始めた頃は、未発見の情報を見つけようとしていました。誰も見つけていないものを見つけることに誇りを持っていたんです」と語りました。

また、一般に販売されている公式の攻略本には不完全なものもあるため、攻略本の内容を補完する情報や、さらにゲームを面白くする戦術や戦略なども数多くGameFAQsに投稿されています。P5は「公式の攻略本は出版社や開発者に承認されています。承認されているということは、攻略本には『開発者が載せたくない情報は載っていない』ということでもあります。お金を無限に手に入れる裏技は載せられないし、バグの話やゲーマーが興味を持ちそうな不具合についても触れられません。そのため、公式の攻略本に必ずしも良い情報が載っているとは限らないのです」と述べています。

P5は攻略本に載っている内容以上の情報を投稿し続けてきたことから、複数のGameFAQsユーザーから何度も「攻略本を買ったけどお金の無駄だったから、むしろあなたにPayPal経由でお金を払いたい」というメッセージを受け取ってきたとのこと。こういった好意的なメッセージも投稿者のモチベーションにつながっています。

しかし、投稿者に送られるメッセージは好意的なものばかりではなく、攻撃的なメッセージが送られることもあったそうです。P5は「私が受け取ったメールの中には、かなり攻撃的なものもありました。私があるゲームについて『このやり方、能力、スキル、クラスはよくない』と投稿すると、彼らは自分の言い分を主張して反対し、私が否定したクラスや種族、アイテムなどのメリットについて激しく議論を仕掛けてきました」とコメント。


時にはGameFAQsへの投稿から友人関係が築かれることもあり、複数のユーザーが協力してレビューや攻略情報を作成するケースもあるとのこと。P1は「私にはレビューやガイドなどを手伝ってくれるユーザーや、一緒にやっていて楽しいユーザー、励ましてくれるユーザーがたくさんいました。私にとって彼らは1人で全部はできないということ、助けを求めてもいいんだということを思い出させてくれる存在です」と語っています。一方、P2は「若い世代の人たちと組んだこともありますが、彼らのことはあまり好きではなかったかもしれません」と述べており、必ずしも気の合う仲間が見つかるとは限らないようです。

共にレビューや攻略情報を作成する仲間ではなく友人ができたケースもあり、P3は「何年にもわたって私は何人かの友人を作りました。きっかけは私の投稿に『お疲れさまでした』とメールをくれた人たちがいたことです。簡単なお礼のメールから始まった友人関係は素晴らしいものです」と述べています。

また、GameFAQsでは各投稿のページビュー数がカウントされています。ページビュー数は投稿者のみが確認でき、目に見える客観的な成果とも言えます。ページビュー数も投稿者たちのモチベーションの1つで、P1は「私はページビュー数を見るのが好きで、私が投稿を続ける大きな理由になっています。1カ月間でどのくらい多くのページビュー数を取得したか、投稿を更新したらどのくらいページビュー数が伸びるか、というのを見るのはとても楽しいです」とコメント。また、GameFAQsでは投稿をレビューする機能も備わっているため、ユーザーからの評価も投稿者のモチベーションとなっています。


ヒューズ氏が「もしGameFAQsに報酬があればモチベーションは上がるかどうか」を参加者に尋ねると、「無報酬がいい」という意見が多かったようです。P6は「私なら報酬のためだけに投稿はしないでしょう。GameFAQsのほとんどの投稿者は他のゲーマーを助けたいだけだと思うので、彼らはほんの少しの報酬も求めていないと思います」と主張。

P4は「私は『注目を集めるために情報を書いてみよう』とか『GameFAQでお金をもらうために情報を投稿しよう』というような人間ではありません。私が数百ドルもらっていようが、まったく報酬をもらっていなかろうが、少なくとも私は『正直で善良な立場』にあります。報酬が私の見解や情報提供をする理由を変えることは決してありません」と語っています。P5は「プロとして仕事をしたり、給料を受け取ったり、ワークロードが割り当てられたりすれば、それは単なる趣味ではなくなってしまいます」と述べ、GameFAQsへの投稿はあくまで趣味の範囲であると語りました。


また、ヒューズ氏の調査によると、GameFAQsで数多くの投稿をしている人々はまるで解剖するかのようにゲームをプレイしているとのこと。定期的にゲームの情報を投稿している人々は「ただゲームを楽しむ」ことができず、メモを取るため数十秒ごとにゲームを一時停止しなければならないこともあるようです。

決して楽ではないゲームのレビューや攻略情報の作成を持続させるモチベーションは、他者からの評価や感謝、共に活動する仲間や応援してくれるファンなどさまざまでしたが、報酬がないとはいえ「彼らは仕事と趣味の境界線が曖昧になっている」ともヒューズ氏は指摘。「私は彼らの情熱の一途さを理解しきれないかもしれません」とヒューズ氏はコメントしています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
他人のために行動すると肉体の痛みが緩和されると実験で示される - GIGAZINE

84歳のおじいちゃんボランティアがノートPCにLinuxをインストールしてアフリカに送る理由 - GIGAZINE

技術が発展したのに労働や家事に追われ続けているのはなぜか? - GIGAZINE

無料の画像編集ツールでありオープンソースで約17年も開発され続ける「Inkscape」を開発者が語る - GIGAZINE

in ネットサービス,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.