生き物

ドイツで「昆虫保護法計画」が発表される、夜間の強力な照明を使用禁止にして昆虫を保護する試み


ドイツの環境省が2020年8月に、夜間の一部照明の禁止や、街路灯や明るい広告看板の設置の制限などを含む法案を発表しました。10月中の閣議決定を目指しているこの法案には、昆虫以外の動植物への配慮や農薬の使用制限なども盛り込まれています。

Insektenschutz: So will die Regierung gegen Insektensterben vorgehen
https://www.rnd.de/politik/insektenschutz-so-will-die-regierung-gegen-insektensterben-vorgehen-CPHHIIX2XKL4SBCJIQSUDHSPCY.html

Germany plans to dim lights at night to save insects
https://phys.org/news/2020-08-germany-dim-night-insects.html

Germany To Ban Floodlights to save insects - Outlook Traveller
https://www.outlookindia.com/outlooktraveller/travelnews/story/70485/germany-to-ban-floodlights-to-save-insects

2019年に発表された研究によると、ドイツの田園地帯に設置した調査用の捕獲器で採集される昆虫は、過去30年間で76%も減少しているとのこと。数だけでなく種類も激減しつつあることから、ドイツの研究者らは「昆虫は絶滅の危機に瀕している」と結論付けています。

「昆虫は絶滅の危機に瀕している」ことがアマチュアグループの長期的調査のデータから明らかに - GIGAZINE


昆虫が激減している背景にはさまざまな要因があるとされていますが、その中の1つとして「光害」が挙げられます。夜間に使用される人工的な光が昆虫に与える影響を調べた2019年の研究によると、ガやカゲロウなど夜行性の昆虫は人工的な光の発生源を月や月光が反射した水面と誤認し、飛び疲れて死んだり誤って卵がふ化できない場所に産卵したりしてしまうそうです。

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こうした昆虫の危機への対処や、環境保護を求める声の高まりを受けて、ドイツ政府は2019年9月に「Aktionsprogramm Insektenschutz(昆虫保護行動計画)」を発表し、国内の昆虫を保護していく方針を示しました。そして、Svenja Schulze環境相は2020年8月に、昆虫保護行動計画の一環としてサーチライトなどの強力な照明の夜間使用を2月1日~5月30日と7月15日~12月15日の間禁止にすることなどを規定した法案を打ち出しました。

今回の法案にはサーチライトの使用制限の他に、「街路灯やイルミネーションなどの屋外照明を新しく設置する際は、できるだけ動植物に配慮したものにしなければならない」ことや、「国立公園の敷地内や主要な水源から5~10メートル以内における除草剤および殺虫剤の使用禁止」なども盛り込まれています。環境省はこの法案を2020年10月までに閣議決定して政府の方針としてまとめ上げ、遅くとも2022年末までに正式発表する予定とのことです。

ドイツ政府はまた、昆虫保護行動計画を最初に発表した2019年9月に「グリホサート系の農薬を禁止にする」と述べたことでも注目を集めましたが、今回の草案はこの点に深く踏み込んだものではありませんでした。除草剤「ラウンドアップ」の成分として知られているグリホサートは、効果が高く使いやすいことから世界各地の農業で広く使用されていますが、環境への負荷がたびたび議論の的となっています。


ドイツの環境保護団体Deutscher Naturschutzringユリア・クレックナー食糧・農業大臣に対し、「グリホサートの禁止は今後の『宿題』です」と述べて、2023年までにグリホサート系農薬を段階的に使用禁止にすることを申し入れました。

一方、ドイツ農民連盟Bernhard Krüsken事務総長は「環境省の草案は昆虫保護の域を越えています」と述べて農薬の使用禁止措置に対し苦情を訴えており、今後ドイツ政府は環境保護と農業振興との間で難しいかじ取りを迫られると見られています。

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in 生き物, Posted by log1l_ks

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