ロシアの活動団体がニュースメディアを装って世論工作を行っているとFacebookが発表

2020年11月に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ロシアの工作が激化しています。FBIの協力を受けたFacebookが、2016年のアメリカ大統領選挙などで数々のネット工作を行ってきたロシア企業Internet Research Agency(IRA)の工作アカウントを新たに特定しました。
August 2020 Coordinated Inauthentic Behavior Report - About Facebook
https://about.fb.com/news/2020/09/august-2020-cib-report/
As 2020 election looms, Russian trolls are targeting Americans again, Facebook says - CNN
https://edition.cnn.com/2020/09/01/tech/russian-troll-group-facebook-campaign/
Russian internet trolls hired U.S. journalists to push their news website, Facebook says
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/russian-internet-trolls-hired-u-s-journalists-push-their-news-n1239000
Facebook says Russian influence campaign targeted left-wing voters in U.S., UK - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-usa-election-facebook-russia/facebook-says-russian-influence-campaign-targeted-left-wing-voters-in-us-uk-idUSKBN25S5UI
IRAはロシアのサンクトペテルブルクに本拠を置く、実在するアメリカ国民の社会保障番号を用いてなりすましを行い、PayPalに口座を開いてFacebookに政治広告を掲載するなどの工作活動を行う企業です。2018年には、2016年のアメリカ大統領選でボットを使って架空の議論を形成し、政治的な混乱を生じさせたとして大陪審に起訴されています。
そんなIRAによる新たな工作活動が、Facebookによって検出されました。Facebookによると、IRAは「Peace Data」というニュースサイトを新たに立ち上げ、トランプ大統領やトランプ大統領や対立候補であるジョー・バイデン氏、アメリカの外交政策、Qアノン陰謀論などに関するニュースを配信していたとのこと。Peace Dataの常勤スタッフ3名は「架空のスタッフ」でしたが、雇われていた22名の記者は実在するフリーランスのイギリス人・アメリカ人ジャーナリストでした。以下がPeace Dataの架空のスタッフのFacebookアカウント、プロフィール画像はディープフェイクによる合成写真です。

IRAは実在するアメリカ人ジャーナリストをだまして雇用することで、Peace Dataが実在するアメリカのニュースメディアになりすましていたと見られています。ジャーナリストに支払われた報酬は、1記事あたり最大75ドル(約8000円)でした。
Facebook上に存在した、Peace Dataに関連するアカウント13個とページ2つはすでに削除されています。Facebookの公式発表によると、これらのアカウントとページはほとんど注目を集めていなかったとのことで、Facebookは「大量のフォロワーを獲得する前に疑わしいアカウントを削除した」としています。
2016年の大統領選挙から続くIRAの工作活動について、Facebookは「アカウントを見つけ次第削除する」という措置を講じており、2018年には270以上のページとアカウントを削除したと発表しています。
Facebookが偽ニュースを拡散させたロシアの数百のアカウント&ページを削除したと発表 - GIGAZINE

by Andrew Feinberg
今回のIRAの工作活動について、FacebookはTwitterに情報を提供。情報提供を受けたTwitterは、Peace Dataに関連するアカウント5個を停止しました。これについて、Twitterは「ロシアの関与が疑われるプラットフォーム操作のため、アカウントを停止した」と説明。なお、TwitterにおいてもPeace Dataの活動は注目を集める前の段階だったとのことです。
Facebookのサイバーセキュリティポリシー部門の責任者であるNathaniel Gleicher氏は、「IRAは2020年の大統領選挙に向け、活動的かつ積極的かつ創造的に攻撃を行っています」とコメントしています。
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