セキュリティ

イスラエルはスマートフォン監視用ソフトウェアを湾岸諸国に販売している


イスラエルがアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、オマーン、サウジアラビアなどの湾岸諸国に対して、同国のテクノロジー企業NSOグループが提供するスマートフォン監視用ソフトウェアの販売を仲介したと報じられました。

With Israel's encouragement, NSO sold spyware to UAE and other Gulf states - Israel News - Haaretz.com
https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-with-israel-s-encouragement-nso-sold-spyware-to-uae-and-other-gulf-states-1.9093465

イスラエルが湾岸諸国に対して販売を仲介したのは、NSOグループが提供するスマートフォン監視用ソフトウェア「Pegasus(ペガサス)」です。Pegasusはテキストメッセージの読み取りや通話情報のトラッキング、パスワードの収集、マイクやビデオカメラの制御の奪取、アプリケーション内の情報読み取りなどが可能で、2020年6月には人権派ジャーナリストを標的としたハッキングにも使われています。

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イスラエルの日刊紙Haaretzによると、イスラエルはNSOグループと湾岸諸国の情報当局者を接触させるだけでなく、NSOグループと湾岸諸国の情報当局が実施したマーケティング会議に担当者を出席させていたとのこと。さらに、一部のマーケティング会議がイスラエルで開催されることすらあったそうです。

Haaretzは、NSOグループには湾岸諸国と連携する専門部署が存在し、この専門部署こそが年間売上数億ドル(約数百億円)という同社の中で最も収益性が高い部署だと指摘。NSOグループは、直近ではバーレーン・オマーン・サウジアラビアなどの湾岸諸国や、UAEを構成するアブダビやラアス・アル=ハイマなどの首長国と契約を結んだとのこと。なお、イスラエルはカタールとの取引を禁止しているため、NSOはカタールとの取引を行っていないそうです。


Haaretzによると、湾岸諸国の諜報員はPegasusにターゲットの電話番号を入力することで、ターゲットのスマートフォンに含まれる情報を数時間以内に奪取可能。さらにPegasusは諜報員の身元を守る高度な保護機能が備わっているだけでなく、Pegasusがインストールされたスマートフォンがイスラエル・イラン・ロシア・中国・アメリカの5カ国に入った場合には情報漏えいを防ぐために「自動消滅」する機能まで搭載されているとのこと。このPegasusを利用するために、ある湾岸諸国はNSOグループと2億5000万ドル(約270億円)の契約を締結したとHaaretzは報じています。

NSOグループはPegasusの利用目的について、「犯罪者の監視のみに使われることを確認している」と主張しています。しかしHaaretzは、「同社にはPegasusの利用を監督する部署が存在せず、諜報機関がどのような目的でPegasusを利用しているかを把握できていない」と指摘しています。


なお、NSOグループは2019年に「WhatsAppのビデオ通話システムを通じて権利活動家や弁護士・ジャーナリスト・学術機関に対して2週間にわたって密かにサイバー攻撃を仕掛けた」として、WhatsAppに提訴されています。

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in モバイル,   セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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