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新型コロナウイルスでジム難民になった人々がこっそり集う「スピークイージー・ジム」の実態とは?


新型コロナウイルス感染症の拡大により、国によっては多くのスポーツジムが休業を余儀なくされる中、休業と見せかけてこっそり違法な営業を行う「スピークイージー・ジム」が登場しているとアメリカの経済情報ウェブサイト、Planet Moneyが報じています。

Secret Gyms And The Economics Of Prohibition : Planet Money : NPR
https://www.npr.org/sections/money/2020/08/11/900895704/secret-gyms-and-the-economics-of-prohibition

Planet Moneyによると、アメリカで禁酒法が施行されていた時代のアルコール密売所、スピークイージーにちなんで名付けられた「スピークイージー・ジム」はアメリカ全土に出現している模様。実際に電子掲示板のRedditでも「スピークイージー・ジムを知っている人はいませんか?」という質問が投稿されています。


Planet Moneyの調査では、スピークイージー・ジムとして営業しているのは主に個人経営の小さなジムで、営業停止中の大手チェーンのジムに通えなくなった人々がスピークイージー・ジムに数多く押し寄せているとのこと。Planet Moneyは、新型コロナウイルスによりジムが営業停止になった後もアリゾナ州でジム通いを続ていけるクリスティーナ氏にスピークイージー・ジムの実態を取材しています。

クリスティーナ氏は、2020年4月にアリゾナ州にあるすべてのジムが営業停止した約2週間後、所属していたジムのオーナーから「ジムの営業を続けているから来てほしい」と書かれたメールを受け取りました。


クリスティーナ氏はジムが国の命令を無視していることを知っており、自宅用のフィットネスマシンの購入も検討していましたが、価格が高すぎたり需要が高騰して売り切れてしまったりと手に入れられなかったそうです。「ジムに行くことは私が正気を保つ数少ない方法の1つです」と語るクリスティーナ氏は「自分は30代半ばで健康的で、感染リスクが高い人たちとも交流がない」という理由から、リスクを冒してでもジムに行くことを決断しました。

クリスティーナ氏が通っていたジムは、広さが「ワンルームのアパートくらい」の小さなジムで、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前は常に10人にも満たない人がトレーニングをしていたそうです。しかし、ジムがこっそりと営業を再開した際、以前の2倍以上の人々がジムに押し寄せていたとのこと。「彼らはトレーニングマシンを使用したり、鏡で自撮りしたりしていました。誰もがソーシャルディスタンスを守らず、マスクも着用していません。そして、使用した後のトレーニングマシンを消毒する人もいませんでした」とクリスティーナ氏は語っています。


スピークイージー・ジムの登場について、ハーバード大学の経済学者、ジェフリー・マイロン氏は、「政府が禁止令を出したところで、熱心な買い手と売り手がいるものを禁止するのは非常に難しいものです。禁止令は物事を排除するのではなく、地下に追いやるものであるとも言えます」と語っています。

また、マイロン氏によるとスピークイージー・ジムの登場は「禁酒法時代にもあった典型的な、意図しない結果のわかりやすい例」であり、「市場が地下に押し込められると、品質管理が低下する傾向があります」とコメントしました。つまり、新型コロナウイルス感染症の流行下におけるジムでは、ウイルスが拡散しやすいフィットネス環境が作られる可能性があることを意味しています。

スピークイージー・ジムの中には会員に高い料金を請求するジムもあり、価格の上昇も禁酒法時代にあった意図しない結果の1つだとマイロン氏は指摘しています。さらにマイロン氏は「違法な市場に関わった人々は裁判所でお互いを訴えることができないため、紛争は暴力的に解決される傾向にあります」と述べ、価格の上昇が暴力や汚職といった副作用につながる恐れがあると推測しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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