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中国が「Huaweiを5G通信網から排除したらNokiaとエリクソンに報復する」とEUに圧力


中国が、EU諸国に対し「もしアメリカやイギリスに続いてEUも5Gネットワーク構築からHuaweiを外すのであれば、EUの通信機器メーカーのNokiaとエリクソンに報復する」と圧力をかけていると報じられています。

China May Retaliate Against Nokia and Ericsson If EU Countries Move to Ban Huawei - WSJ
https://www.wsj.com/articles/china-may-retaliate-against-nokia-and-ericsson-if-eu-countries-move-to-ban-huawei-11595250557

China reportedly mulls retaliatory export controls on Ericsson and Nokia – Telecoms.com
https://telecoms.com/505659/china-reportedly-mulls-retaliatory-export-controls-on-ericsson-and-nokia/

China may retaliate against Nokia, Ericsson if EU bans Huawei: WSJ - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-china-huawei-europe/china-may-retaliate-against-nokia-ericsson-if-eu-bans-huawei-wsj-idUSKCN24L1NW


中国の大手通信機器メーカーHuaweiには、製品にバックドアを仕込むなどして情報を中国政府に引き渡しているとの疑いがあるため、アメリカのドナルド・トランプ大統領は2019年にHuaweiを念頭に置いた「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」大統領令に署名。2020年6月30日にはついに、連邦通信委員会(FCC)がHuaweiを正式に「国家安全保障上の脅威」に指定しました。

さらに、7月に入りイギリスも「2027年までにHuawei製品を5G通信網から完全に排除する方針」を打ち出すなど、Huaweiを排除する動きが欧米で高まりを見せています。

「2027年までにHuawei製品を5G通信網から完全に排除する方針」をイギリス政府が公式に発表 - GIGAZINE

by Kārlis Dambrāns

アメリカの経済紙The Wall Street Journal(WSJ)は7月20日に、「EU諸国がHuawei追放に向けて動いた場合に備えて、中国の商務省はNokiaとエリクソンが中国で生産した製品に輸出制限をかけることを検討しています」と報道しました。WSJの報道を取り上げたロイター通信は、「フィンランドのNokiaとスウェーデンのエリクソンは、Huawei排除から最も直接的に利益を享受する企業の一部です」と指摘しています。

ロイター通信が指摘したように、Huawei排除の動きはEUの通信機器メーカーにとって追い風となります。金融情報サイトAsktradersは7月20日に、「中国による報復の可能性があるにもかかわらず、アメリカの株式市場におけるエリクソンの株価は5%以上急騰しました。7月17日にも、イギリス政府がHuawei排除の方針を固めたとの報道を受けて13.2%も急騰していたほか、同社の株価は年初来で29.5%も値上がりしています」と報じました。

アメリカのニュース局Fox Businessに情報を寄せた関係者の話によると、Nokiaとエリクソンが中国に構える製造工場には、合計で数千人の従業員がいるとのこと。しかし、両社は数週間前に中国による輸出制限の動きを察知しており、既にサプライチェーンの見直しや生産拠点のシフトに着手しているそうです。


通信業界関連の情報を扱うニュースサイトTelecoms.comは、「イギリスがHuawei排除に転じたのは、セキュリティ専門家からの提言があったからなので、EU諸国もイギリスと同じことを検討していると考えるのが自然です。いずれにせよ、欧州委員会(EC)は新たな声明を発表してHuaweiに対する態度をはっきりさせることを迫られるでしょう。ECがこれまでと同様に、Huaweiを採用するリスクは軽減可能だと主張するなら、彼らはイギリスの専門家が知り得ないことを知っていると証明しなければなりません」と指摘。

Telecoms.comは、中国当局による圧力について「中国共産党は欧米による5G技術からのHuawei排除の動きに対する報復を行う前に、自らの行いを再考すべきです。中国の動きは明らかな恐喝行為であるだけでなく、欧米の全ての企業に対し、生産拠点を中国から移転させることを思案させることにつながります。中国にとって不利なこの流れは既に始まっていますが、それを加速させるようなことをするのは、中国が脅しをかけている国以上に、中国自身が大きな痛手を被る結果を招くでしょう」と述べました。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by log1l_ks

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