海中遺跡が「1万年前の古代人の鉱山」だったという研究結果
メキシコのユカタン半島にあるキンタナ・ロー州で発見された海中遺跡が「現代から約1万年前の古代人が使っていた鉱山」であるという説が発表されました。
Paleoindian ochre mines in the submerged caves of the Yucatán Peninsula, Quintana Roo, Mexico | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/6/27/eaba1219
Sagitario/La Mina | Cindaq
https://www.cindaq.org/copy-of-sagitario-la-mina
Canadian scuba diver in Mexico accidentally discovers vast, prehistoric industrial complex | National Post
https://nationalpost.com/news/world/a-canadian-scuba-diver-in-mexico-accidentally-discovers-a-vast-prehistoric-industrial-complex
Deep in since-flooded caves, researchers find evidence of America's first miners
https://www.nbcnews.com/science/science-news/deep-flooded-caves-researchers-find-evidence-america-s-first-miners-n1232871
問題の地下遺跡は、キンタナ・ロー近郊の地下河川や海底洞窟などの保護を行う科学機関Quintana Roo Aquifer System Research Center(CINDAQ)に所属するフレッド・デヴォス氏とサム・ミーチャム氏が2017年に発見したもの。デヴォス氏らは水中洞窟の測量に関する実地講座のため、キンタナ・ロー州アクマル近郊でダイビングを行っていたところ、今まで見逃されていた洞窟の存在に気がつきました。デヴォス氏がその洞窟の調査を行ったところ、洞窟内から人骨や石器、人為的に掘られた穴、道しるべのための石塚、木炭作成用の炉床など、人間の痕跡が多数残されていることが明らかになりました。
CINDAQは、発見された洞窟の映像を公開しています。
LA MINA DISCOVERY 1 0 - YouTube
内部は鍾乳洞で覆われています。
地面には10人分の人骨だけでなく、剣歯虎(サーベルタイガー)などの更新世の生物の骨も残されていました。
ダイビングチームは計1万8000枚の3D写真を撮影し、内部の精巧な3Dモデルも作り上げています。
放射性炭素年代測定の結果、この洞窟は約1万年から1万2000年前に古代人によって使われていたものの、約8000年前の洪水によって水没したことが判明。一方で、「古代人が洞窟で何をしていたのか」については1年以上にわたってわからないままでした。
研究チームは、一連の調査の中で天然の赤色顔料として用いられる赤鉄鉱などの痕跡が発見されたことから、問題の洞窟が赤鉄鉱の鉱山だったと結論付けました。
赤鉄鉱を使った赤色顔料は血の色に似ていることから、何十万年にもわたって儀式や埋葬、ボディーペイントなどに用いられただけでなく、日焼け止めや防腐剤、防虫剤としての効能もあったとのこと。研究チームのブランディ・マクドナルド氏は、「古代人のコミュニティ内で、赤色顔料は儀式的な使われ方と実用的な使われ方をしており、その用途は時間とともに変化したと考えられます」とコメント。問題の洞窟から産出された赤鉄鉱は粒子が細かく、ヒ素を含んでいたとみられることから、「特に貴重で、薬効が高かった可能性があります」と述べています。
・関連記事
古代マヤ文明の都市が放棄されたのは「水が毒で汚染されたから」という可能性 - GIGAZINE
古代遺跡テオティワカンの巨大地下トンネルの謎が考古学者たちによって解き明かされつつある - GIGAZINE
約2000年前の古代都市ポンペイの遺跡から馬の姿がまるごと発掘される - GIGAZINE
有名考古学者が遺跡からの出土品を偽造した証拠が死後に発見される - GIGAZINE
時の流れとともに忘れ去られていた34の「失われた都市」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ