サイエンス

回路基板などのゴミから効率的に金やプラチナを回収できるポリマーが開発される


デジタル化の進展に伴い世界で増え続ける電子廃棄物から金などの貴金属を簡単に取り出すことのできるポリマーが新たに開発されました。

Precious metal recovery from electronic waste by a porous porphyrin polymer | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/17/2000606117

Using a porous porphyrin to reclaim precious metals from electronic waste
https://phys.org/news/2020-06-porous-porphyrin-reclaim-precious-metals.html

New polymer easily captures gold extracted from e-waste | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/06/new-polymer-easily-captures-gold-extracted-from-e-waste/

電子廃棄物とは、その名の通り電気製品・電子製品から出るゴミです。デジタル産業が発展するにつれて電子廃棄物は増え続けており、世界では毎年5000万トンほどが捨てられています。そんな電子廃棄物の多くに含まれる鉛・カドミウム・水銀などの有害物質が環境問題を生み出しているだけでなく、金属廃棄物中に含まれるレアアースなどの貴重で再利用可能な物質がリサイクルされないまま捨てられています。

世界で拡大する「電子廃棄物」の危機、国連などが対策呼び掛け 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
https://www.afpbb.com/articles/-/3208106

電子廃棄物のリサイクルが進んでいないのは、リサイクルプロセス自体が効率化されていないことが原因です。こういった現状の中、韓国科学技術院のYeongran Hong氏率いる研究チームが、電子廃棄物から金などの貴金属を簡単に取り出せる多孔質ポリマー「COP-180」を新たに開発しました。COP-180は、ポルフィリンという有機化合物が原料。研究チームはポルフィリンの金属原子と錯体を作るという性質を利用して、COP-180中に金属原子を吸着する極小の穴を多数形成しました。

研究チームはCOP-180で金などの貴金属を回収する実験も行っています。まずは回路基板などを酸性溶剤に入れて数日間混ぜて、取り出したい金属原子を剥離させます。この溶液にCOP-180を入れると、COP-180中のポルフィリンの極小穴が金属原子を吸着し、塊となって析出します。この塊に酸をかけるとCOP-180と金属原子が分離するため、金属原子だけを取り出すことができます。実験では、プラチナや金が特に回収効率が良く、回路基板に含まれる金は94%が回収できたとのこと。


また、実験では1グラムのCOP-180あたり約1.62グラムの金が吸着できることが確認されました。この結果を換算すると、5ドル(約500円)分のCOP-180で64ドル(約6900円)相当の金を回収可能です。さらに、COP-180は酸で金属原子を取り出した後も再利用できるため、研究チームは「一連の回収作業のコストはかなり安くつく」と説明しています。


研究チームはプリント基板には鉱山の鉱石よりも多くの貴金属が含まれているものの、回収手段が存在しないために80%がそのまま埋め立て地に送られているという現状を指摘。電子廃棄物の処理を効率化することで、経済的機会を逃さないようにできると述べました。

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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