レビュー

ディストリビューション層で使えてSDカードに設定をバックアップできるスイッチ「Apresia13200-48X-PSR」を手に入れたのでちょっと使ってみた


IT専門調査会社のIDC Japanによると、2018年の日本国内におけるネットワーク機器市場シェアはCiscoが47.9%、ヤマハが5.1%、アライドテレシスが5.0%となっており、事実上Cisco機器が業界標準となっています。しかし、状況によっては他ベンダーの機器のほうが都合がいい場合もありえます。RJ45とSFP+のポートを48+4ポート備え、SDカードによる設定のバックアップも可能な「Apresia13200-48X-PSR」を手に入れたので、少し使ってみました。

Apresia13200-48 L2/L3スイッチ | 企業・DC向けL2/L3スイッチ | 製品情報 | -APRESIA Systems- : APRESIA
https://www.apresia.jp/products/ent/apresia13200-48x-psr.html


Apresia13200-48X-PSRは、もともと日立電線製のスイッチとして販売されましたが、日立金属による吸収合併を経て、現在はAPRESIA Systemsとなっています。現在APRESIA Systemsが提供する「Apresia」シリーズは、NTT東日本と情報処理推進機構(IPA)が共同で開発した「シン・テレワークシステム」の報告にも登場しています。

NTT 東日本 - IPA 「シン・テレワークシステム」 - 2020/05/14 大規模アップデートと成果の中間報告
https://telework.cyber.ipa.go.jp/news/20200514/


手に入れた「Apresia13200-48X-PSR」がこれ。新品の希望小売価格は税別100万円で、個人ではなかなか手が出せない金額です。


10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-TのLANポートが48ポートと……


1000BASE-X/10GBASE-RのSFP/SFP+ポートが4ポートついています。


設定などのバックアップ用SDカードスロットと、コンソールに接続するためのRS-232Cポート、管理用のLANポートもついています。


背面はこんな感じ。ホットスワップの冗長電源を備えているので、片方の電源が故障しても問題なく稼働し続けることが可能です。


電源モジュールを外すには、まず電源ケーブルを抜いた状態でスライドカバーを左にスライドさせます。


続いて2カ所のネジを緩めて……


金属のバーを引くとモジュールを取り外すことができます。


ノートPCとサイズを比較するとこんな感じ。


中身がどうなっているか気になったので、カバーを外してみることに。まずはラックにスイッチを固定するための金具を外して……


カバーについているネジを外します。


ネジをすべて外すとスイッチの中身にアクセスすることができました。


まず最初に目についたのは中央の大きなヒートシンクです。


四隅のネジを外すと簡単に取り外せました。


プロセッサにはBroadcomの「BCM56624B2KFSBG」というチップが使われていました。


続いて気になるのは電源モジュール近くのSDカードとボタン電池です。ボタン電池は一般的なCR2032型が使われています。


ネジを外すとSDカードを取り外すことができました。バックアップ用のSDカードは本体前面のスロットから挿入するので、このSDカードが何に使用されているかは不明です。


メモリは金具で保護されています。


Micron製DDR2メモリ「MT9HTF6472RHZ-667G1」が使用されていました。


構成するパーツがわかったので、今度は実際にApresia13200-48X-PSRを使ってみることに。電源ケーブルを挿入すると、電源が入ります。


スイッチのシリアルポートにケーブルを接続して……


PCにもケーブルを接続し、コンソールにアクセス。デフォルトのユーザーは「adpro」で、パスワードは設定されていません。ひとまずSSHでアクセスできるようにするため、IPアドレスとSSHサーバーを有効にし、設定をフラッシュメモリに書き込みます。


今度は管理用のLANポートを使ってスイッチをLANに接続します。


PCから問題なくSSH接続することができました。


Apresia13200-48X-PSRは、SDカードブートに対応し、SDカードからファームウェアや設定情報の読み込みが可能な点が特徴です。


Apresia13200-48X-PSRで使用するSDカードはFAT16でフォーマットする必要があるので、最大ボリュームは2GBです。また、パーティションを2GBに区切った4GBのSDカードをFAT16でフォーマットしても、エラーが出て使用できなかったので、最低容量が4GBのSDHCカードやSDXCカードは使用できないようです。


対応するSDカードを挿入すれば、スイッチの設定をフラッシュメモリに保存する「write memory」実行時に自動的にSDカードにも設定情報が保存されます。


今度は消費電力を計測してみます。スイッチのポートに何も接続せず、2つの電源モジュールに電力を供給した場合の消費電力は96Wでした。


ポート数や機能が異なるので簡単な比較はできませんが、24+4ポートのアライドテレシス製スイッチ「x510」の消費電力も計測してみると、消費電力は13Wという結果に。


最後にSFP+ポートから10Gbpsの速度で通信ができるのか試してみることに。Apresia13200-48X-PSRをはさんで2台のサーバーを接続します。


iPerf3で通信速度を測定すると、およそ10Gbpsの通信速度を維持できていることが確認できました。


Apresia13200-48X-PSRにはポートVLANやタグVLANといった基本的な機能の他にも、L2~L4ヘッダーの識別による優先制御やフィルタリングが可能とのこと。また、追加でL3ライセンスを購入すれば、L3スイッチとしてOSPFVRRPなどを使用することも可能です。なお、Apresia13200-48X-PSRは2021年4月30日にサポート終了となることが公式ページで公表されています。

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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