メモ

「ストーンヘンジ」の付近で直径2kmもの円を描く巨大な遺構が発見される

by SLILIN

ストーンヘンジはイギリス南部に位置する円形に直立して並んだ巨石とそれを囲む土塁からなる先史時代の遺跡で、直立した巨石が並べられたのは紀元前2500年~紀元前2000年の間とみられています。そんなストーンヘンジの付近を調査した研究者らが、「直径2km以上の円を形成する巨大な柱の痕跡」を発見したと報告しました。

A Massive, Late Neolithic Pit Structure associated with Durrington Walls Henge. Gaffney et al. Internet Archaeology 55.
https://intarch.ac.uk/journal/issue55/4/full-text.html

Massive prehistoric circle near Stonehenge: ‘Astonishing discovery' offers new insights into lives of Neolithic ancestors -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2020/06/200622164652.htm

Biggest prehistoric monument in UK discovered just a stone's throw away from Stonehenge | Live Science
https://www.livescience.com/ring-of-pits-near-stonehenge.html


これまでもストーンヘンジの付近からは複数の遺跡が発見されており、ストーンヘンジの北東3.2kmほどの場所に位置するウッドヘンジや、ウッドヘンジからわずか70m離れた場所にあるダーリントン・ウォールズなどの存在が知られています。ウッドヘンジは直径110mほどの木柱サークルを中心とする遺跡であり、ダーリントン・ウォールズは直径500mにも及ぶ巨大な遺構です。

ストーンヘンジやその周辺の遺構について調査を行っている「Stonehenge Hidden Landscapes Project」のメンバーは2019年の夏、ダーリントン・ウォールズの周辺で行った考古学調査の最中に発見されたいくつかの「巨大な穴」が、自然にできたものではないことに気づきました。研究チームはこれまでに20個もの穴を発見しており、穴の直径は少なくとも10m、深さは5mという巨大なものだったとのこと。

これらの穴から発見された骨などの堆積物を放射性炭素年代測定で調べたところ、穴は紀元前2800年~紀元前2100年頃、新石器時代に掘られたものであることが示唆されました。これは、ダーリントン・ウォールズが作られたと考えられている時代とほぼ一致しています。


それぞれの穴が発見された当初、穴は石灰岩の性質によって自然にできたものだと考えられていました。ところが、それぞれの穴の位置関係をより大きなスケールで確認して調査を重ねた結果、穴が人工物であるという結論に至ったとのこと。研究チームの一員であるセント・アンドルーズ大学リチャード・ベイツ教授は、「私たちは徐々に、見ているものが自然物ではないと確信を持ち始めました。これらは人間によって作られたはずです」と述べています。

以下の画像が、ウッドヘンジ(左の円)とダーリントン・ウォールズ(右の円)の位置関係を示したもの。ダーリントン・ウォールズがかなり大きな遺構であることがよくわかります。


さらに引いた視点から見ると、ウッドヘンジやダーリントン・ウォールズの向こうに赤い点がいくつか打たれています。この赤い点が、今回新たに特定された巨大な穴の遺構です。


巨大な穴はウッドヘンジやダーリントン・ウォールズを囲む巨大な円を描くように点在しており、かなり大きなスケールで眺めないと円形になっていることがわかりません。巨大な円の直径はなんと2kmにも及びます。


この円の外側に、ストーンヘンジが存在しています。


研究者らが特定した穴は記事作成時点で20個とのことですが、元々は30個以上の穴があったと考えられているそうです。


研究チームは今回発見された穴について、聖地との境界線を示すものだったのではないかと考えています。ベイツ教授は「この穴のラインが、『特定の人だけが超えることができる範囲』を示していたのかどうかが1つの考えです」と述べ、ダーリントン・ウォールズやウッドヘンジなどの複数の囲いが、社会階層に応じて立ち入ることが可能な範囲を示していたかもしれないと指摘しています。

今回発見された巨大な遺構は類を見ないものであるものの、新石器時代のイギリスではストーンヘンジなどの複雑な建造物を作るため、人々が多大な労力を費やしていたこともわかっています。新石器時代の人々がどのようにして穴を掘る位置を決めていたのかは不明ですが、距離を測定するための何らかの計測システムを使用した可能性があるとのこと。

研究チームのVince Gaffney教授は、「ダーリントン・ウォールズを囲む穴と円のサイズは、イギリスでは前例のないものです。これはダーリントン・ウォールズの重要性や、ストーンヘンジ周辺に作られたモニュメントの複雑さ、新石器時代の人々が私たちの予想を超えた方法と規模で彼らの宇宙論を記録する能力と欲求があったことを示しています」とコメントしました。

by Loco Steve

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「ストーンヘンジ」を作った古代人はピタゴラス誕生の2000年前に「ピタゴラスの定理」を使っていたとする説 - GIGAZINE

謎の遺跡「ストーンヘンジ」の秘密が次第に明らかに - GIGAZINE

「ストーンヘンジ」の謎を解くこれまで知られていなかった手がかりを新技術で地下から発見 - GIGAZINE

「ストーンヘンジ」はウェールズで誕生したものであることを示す証拠が発見される - GIGAZINE

新発見の「古代のストーンサークル」は実は1990年代製だった - GIGAZINE

ピラミッドはナイル川の力と大規模な土木工事によって造られたことが現場監督の日記に記録されていた - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.