レビュー

新型ウイルスの感染拡大から全員で協力して人類を救う「パンデミック:ホットゾーン」はコンパクトながら初心者でもサクッと遊べるゲームでした


新型ウイルス対策チームの一員となり、協力して感染症のパンデミックに立ち向かうという協力形ボードゲームが「パンデミック:新たなる試練」です。その「パンデミック」をコンパクトに、短時間でプレイできるようにデザインされた「パンデミック:ホットゾーン」が2020年6月30日に発売されます。ウイルス感染が広がる北アメリカ大陸を救うべく、編集部員4人で一足先に遊んでみました。

パンデミック:ホットゾーン | | ANALOG GAME INDEX
http://hobbyjapan.games/pandemic-hot-zone-north-america/


「パンデミック:ホットゾーン」のパッケージはこんな感じ。


プレイ人数2~4人、プレイ時間30分、対象年齢8歳以上を想定。


内容はルール説明書とゲームボード、カード類と各種トークンやコマ。


「パンデミック:ホットゾーン」は、全世界が舞台となった「パンデミック:新たなる試練」よりもコンパクトになるように設計されており、舞台は北アメリカ大陸に限定されています。ボードの大きさは約30cm×約40cmで、長辺143.6mmのiPhone Xと並べるとその大きさがよくわかります。


都市カードと危機カード、イベントカード、エピデミックカード


プレイヤーが持つ専門家カードは4種類のみ。プレイヤーでランダムに引きます。


まずはプレイヤートークンを、アトランタのマスに置きます。プレイヤートークンの色は各専門家カードの色に対応したものを選べばOK。なお、「パンデミック:ホットゾーン」では、アトランタのみが活動拠点となる基地を持つこととなります。


左上の一番左の「2」と書かれたマスに感染率マーカーを配置します。


アウトブレイクマーカーを、ボード右上の一番上のマスに配置します。


今回は4人でプレイするので、都市カード24枚とイベントカード4枚をシャッフルし、各プレイヤーの手札として2枚ずつ配布します。


手札を配布した後、残りのカードを3つの山に分け、それぞれの山に1枚ずつエピデミックカードを入れます。


3つの山を重ねて山札として、ゲームボード左下のカード山札置き場に配置します。


感染カード24枚をよくシャッフルして、ゲームボード左上に配置します。


最初に、ウイルスに感染している都市を決定します。感染カードの上から2枚引き……


出た都市に同じ色の病原体コマを3つずつ配置。病原体コマはその都市のウイルス感染レベルを示すもので、最大3つまで都市に置くことができます。


もう一度2枚引き……


今度は病原体コマを2つずつ配置。


さらに2枚引いて……


病原体コマを1つずつ配置。「合計6都市でウイルスの感染が始まった!専門家で力を合わせて治療薬を開発し、北アメリカ大陸を滅亡から救え!」というのが「パンデミック:ホットゾーン」の目的。


ゲームの進め方は非常にシンプルで、「プレイヤーが4回アクションを行う」→「都市カードを2枚めくる」→「感染カードをめくる」を時計回りに進めていくだけ。

プレイヤーができる最も基本的なアクションは「都市の移動」と「病原体コマの除去」です。例えば、以下の画像では、通信指令員(ピンク)のプレイヤーが以下のように行動したところ。
1:アトランタからマイアミへ移動
2:マイアミからハバナへ移動
3:ハバナで病原体コマを1つ取り除く
4:ハバナで病原体コマを1つ取り除く


プレイヤーが取れるアクションは他にもあります。例えばゼネラリスト(灰色)が通信指令員のいるハバナに到着した以下の場面。


ゼネラリストはたまたまハバナの都市カードを手札に持っていました。アクションを1つ消費することで、「自分が今いる都市のカードを、自分と同じ場所にいるプレイヤーに渡す」ことが可能。そこで、ゼネラリストが通信指令員にハバナのカードを渡します。


これで通信指令員の手元には、黄色の都市カードが4枚そろいました。同じ色の都市カード4枚があれば、プレイヤーはアクションを1つ消費して、「治療薬の開発」を行うことができます。


次のターンで、通信指令員はアトランタに戻り、黄色の都市カード4枚を捨て札にすることで、治療薬を開発することができました。病原体には赤・黄・青の3種類が存在しており、この3種類すべての治療薬を開発すればゲームクリアとなります。ただし、治療薬の開発はアトランタでしか行えないので注意が必要。


アクション4回を終わらせて、都市カード2枚を引く場面では、都市カードに混ざってエピデミックカードを引くことも。エピデミックは病原体が急激に感染を拡大してしまうため、人類はより不利な状況にたたされてしまいます。


エピデミックカードが出た場合、感染カードの一番下から1枚引き……


その都市に病原体コマを3つ配置します。


さらに感染率マーカーを1つ右にずらします。感染率マーカーは、ターンの最後にめくる感染カードの枚数を示しています。最初はめくる枚数が2枚だったのが、エピデミックが2回起こると3枚に、3回起こると4枚に増えてしまいます。


そして、感染カードの捨て札をシャッフルし、山札の上に載せてエピデミックは終了。エピデミックが終わったら、いつも通り感染カードをめくります。感染カードは、めくって出てきた都市に病原体コマを1つずつ増やさなければならないというもの。その都市の感染レベルが1つ上がってしまうというわけです。


例えば以下の場面は、トロントの感染カードをめくってしまったところ。


トロントに病原体コマを1つ置こうとしましたが、すでにトロントには病原体コマが3つ置かれていました。


都市の感染レベルが3を超えてしまった場合、アウトブレイクが発生。ウイルス感染が急速に拡大し、周囲の都市の感染レベルを1ずつ上げてしまいます。トロントの場合は、隣接するシカゴ・モントリオール・ニューヨークの感染レベルが1つ上がってしまいます。


さらにアウトブレイクマーカーを1つ下にずらします。アウトブレイクは4回起こすとゲームオーバー。感染レベル3の都市が複数あると、アウトブレイクがさらなるアウトブレイクを呼び、連鎖発生してあっという間に人類が滅んでしまうこともあります。


都市カードからは、人類に有利な状況を起こすイベントカードが出てくることも。イベントカードは手札に加え、好きなタイミングで発動することができます。


「空輸」は、任意のプレイヤーを好きな都市にいつでも移動できるというもの。都市カードの受け渡しを行いたい時、あるいはすごく離れた場所にある都市の感染レベルが急に上昇したときなど、先の展開を見通して「空輸」を使うことで、より有利に事を運ぶことが可能になります。


そして、北アメリカ大陸で猛威を振るう病原体と戦う人類代表となる専門家には、特殊なスキルが用意されています。例えばゼネラリストは、本来4回までしかできないアクションを5回実行可能というスキルを持っています。


4回が5回に増えるだけ……と思いきや、できる行動が増えるというのは非常に優秀。アクションが1つ増えるということは、除去できる病原体コマの数も増えるというわけで、感染をギリギリで食い止めることができます。


また、衛生兵は、1つのアクションでその都市にある病原体コマすべてを除去できます。


さらに、「治療薬を開発していれば、自分がいる都市は無条件ですべての病原体コマを除去できる」という強力なスキルも持っており、「都市を移動するだけでウイルスがすべて浄化されていくなんて、もはや衛生兵が生物兵器なのでは」とプレイヤー全員がいぶかしむ場面もありました。


そんな感じで感染が爆発しないように気をつけながら、エピデミックやアウトブレイクをくぐり抜けながらカードをやり取りし、治療薬の開発を進めます。


全部の治療薬を開発できたらゲームクリア。1ゲームにかかった時間は30分ほどでした。4人プレイだと、1ゲーム当たりだいたい3周する計算となり、最初からプレイヤーで話し合いながら役割分担をしっかりと行うことが人類を救う秘訣。


さらに難度を上げるため、危機カードを都市カードに混ぜてプレイすることもできます。危機カードは人類にとって不利なイベントを起こすカードです。


例えば、以下の「衛生政策の失敗」は、感染率マーカーを1スペース進めるというもの。感染率マーカーが上がると感染カードを引く枚数が増えてしまうため、一気に不利な状況になることも。


確かに危機カードを入れると難度はかなり上がった印象。感染レベルを下げることに奔走し、カードの受け渡しによる治療薬の開発が遅々として進まず、最終的に都市カードの山札が尽きてしまいました。もちろん、都市カードの山札が尽きてしまうとゲーム進行が不可能となるので、ゲームオーバー。


「パンデミック:ホットゾーン」は、1つのゲームが20~30分ほどで終わるので、サクサクッと遊ぶことができ、「パンデミック:新たなる試練」よりもかなりコンパクトなデザインとなっていました。しかし、ゲーム難度は下がっているかというと全くそんなことはなく、コンパクトになってプレイヤーのできることに制限がかかった上にゲームの進みがさらに早くなったことで、「パンデミック:新たなる試練」の魅力をそのままに、病原体とのギリギリの戦いをサクッと楽しむことができます。

人類が敗北してしまっても、「次もう一回やってみよう!」と気軽にトライできるのも大きなポイント。また、協力型ボードゲームでルールは非常にシンプルなので、ボードゲームに慣れた人とボードゲーム初心者が一緒に遊ぶにはぴったりのゲームといえます。


「パンデミック:ホットゾーン」はAmazon.co.jpで購入可能。記事作成時点で価格は税込2600円です。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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