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WDがNAS向けシリーズ「WD Red」で起こした問題は「沈黙し続ける企業文化そのもの」が原因との指摘


大手HDDベンダーのWestern Digital(WD)が製造するNAS向けHDDシリーズ「WD Red」の記録方式が表記なくSMR方式に変更されていた問題について、IT関連のプロフェッショナル向け情報を発信している「ServeTheHome」で記者を務めるパトリック・ケネディ氏が「WDの企業文化に問題がある」と指摘しています。

WD Red DM-SMR Update 3 Vendors Bail and WD Knew of ZFS Issues
https://www.servethehome.com/wd-red-dm-smr-update-3-vendors-bail-and-wd-knew-of-zfs-issues/

WD Red DM-SMR Update 3 Vendors Bail and WD Knew of ZFS Issues | Page 2 of 2
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WDはNAS向けHDDシリーズ「WD Red」の最新モデルにおいて、頻繁にデータを書き換える用途には適していないとされる「SMR方式」を表記なく採用。これにより、RAIDの再同期に失敗するといった問題が指摘されていました。

WDのNAS向けHDD「WD Red」の記録方式が「RAIDに不向き」な仕様にこっそり変更されていたことが判明 - GIGAZINE


ServeTheHomeの調査によって、RAID-Zの再構築が最新のWD Redにおいて10倍以上遅くなってしまう問題が明らかに。この問題は2019年の時点でiXsystemsのフォーラムでも指摘されていました。


Ars Technicaの検証では、1MiBサイズのファイルをランダムに書き込む際の遅延のピーク値がかなり大きいことが確認されたとのこと。この検証結果は、RAIDの再構築のみならず、1台のHDDのみを搭載した通常のデスクトップ作業でも瞬間的なフリーズが起こりうることを意味しています。


ケネディ氏はZFSで発生するWD Redの問題について、「WDは少なくとも2015年には、問題が発生する可能性を認識していたのではないか」と指摘。OpenZFSの講演にて、2012年にWDの傘下に入ったHGSTがSMR技術を説明しているムービーを根拠として取り上げています。

Manfred Berger - HGST SMR - OpenZFS European Conference 2015 - YouTube


ムービーの13分26秒あたりで表示されているスライドに「予想外の挙動やパフォーマンスの低下が起こりうる」と記載されています。つまり、WD傘下のHGSTでは、少なくとも2015年にはZFSにおけるSMR方式の問題点を認識していたことになります。


すでにiXsystemsやSynologyといった大手NASベンダーは、HDDのNAS互換性リストからSMR方式を採用したWD RedのHDDを外す対応を取っているとのこと。WD Redが抱えている問題をNASベンダーが見逃してしまった理由について、ケネディ氏は「NASベンダーが『ある項目をクリアしていれば他の項目もクリアしていると見なす』組み合わせを記したテストマトリクスに従ってテストしている」点と、「WDがNASベンダーに一部HDDの記録方式の変更を伝えなかった」点を挙げています。WDは一連の問題への対応として、ウェブサイト上にSMR方式を採用したWD RedのHDDをリストアップしており、場合によってはHDDの交換にも応じているそうです。


ケネディ氏は、WD Redの問題を指摘した記事が公開されてもWDの関係者から連絡がなかったことから、WDの「企業文化」そのものにも言及。社内での横断的な調整ができていない可能性や、そもそもWD RedがWDの主力製品ではなく、対応に力を入れていない可能性もあるとケネディ氏。WDが沈黙を続けることは、WD Redのブランドを傷つけるのみならず、NASベンダーのブランドも傷つけることになると語っています。

ケネディ氏は「WD Redの問題は、SMR方式を知らないカジュアルなNASユーザーにこそ影響するものです。NASを所有している友人や家族などに、SMR方式について意見を共有してください」とコメントしています。

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in ハードウェア, Posted by log1n_yi

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