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新型コロナウイルス「再陽性」でも感染は広めないとの調査結果


韓国保健福祉省(KCDC)が2020年5月19日に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復後に再度検査で陽性と診断された患者は、周囲に新型コロナウイルスを感染させなかった」と報告しました。これにより、COVID-19から回復した人に対する外出制限の解除など、経済再開への道が開かれると期待されています。

Findings from Investigation and analysis of re-positive cases | Press Release | News Room : KCDC
https://www.cdc.go.kr/board/board.es?mid=a30402000000&bid=0030&act=view&list_no=367267

Recovered COVID-19 patients test positive but not infectious, data finds | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/05/feared-reactivation-of-covid-19-infections-disputed-by-new-data/

COVID-19 patients testing positive for second infection not contagious, study shows | TheHill
https://thehill.com/policy/healthcare/498516-covid-patients-testing-positive-for-second-infection-not-contagious-study

COVID-19にかかってから回復した人が免疫を獲得し、再感染が防止されるかについてはWHOが「不明」と警告するなど、見通しが不透明な状況が続いていました。また、WHOは4月24日にも「COVID-19から回復した人は再感染しないため外出や旅行が許可されるという、いわゆる『免疫パスポート』または『リスクフリー証明書』の存在を示す証拠はありません」との声明を発表しています。

新型コロナウイルスの回復者が免疫を獲得しているかは不明とWHOが警告 - GIGAZINE


そんな中、韓国では4月30日にCOVID-19から回復した患者1600人のうち277人が再検査によって陽性と判定されるケースが報告されました。韓国の新型感染病中央臨床委員会で委員長を務めるオ・ミョンドン氏は、「新型コロナウイルスの再活性化・再感染などではなく、体内に残留している新型コロナウイルスの残骸がPCR検査で検出されている可能性が高い」との見解を表明していました。

「新型コロナウイルスの再陽性はPCR検査でウイルスの残骸が検出された可能性」と韓国専門委員会が見解を表明 - GIGAZINE


さらにKCDCはこのほど、COVID-19から回復してから新型コロナウイルス検査で再陽性と診断された患者285人と濃厚接触した人の追跡調査を実施。その結果、再陽性と診断された人の家族351人を含む合計790人の濃厚接触者が特定されました。しかし、特定された濃厚接触者の中にCOVID-19を発症した例は確認されなかったとのこと。

また、再陽性の患者108人から採取した新型コロナウイルスサンプルの培養を試みても、分離は成功しませんでした。これは、再陽性患者から排出されたウイルスは既に不活性化された状態だったことを意味しています。

今回の調査結果を受けてKCDCは「5月19日をもって、退院後に判明した再陽性症例などの管理に対する従来のプロトコルの適用を停止します。新しいプロトコルでは、退院後の症例については、追加検査を実施しません」と発表し、再陽性の患者は感染性がないため再度隔離する必要はないとの判断を示しました。


また、研究のため再陽性症例の報告や調査などは継続するものの、COVID-19から回復後に検査で再び陽性となった事例を指す用語は今後「再陽性」から「隔離終了後のPCR再検出」に改められるとのことです。

IT系ニュースサイトのArs Technicaは、「再陽性患者のテストには逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法が用いられました。これは、検査対象者の気道に新型コロナウイルスの遺伝物質が存在するかを確認するものですが、新型コロナウイルスの遺伝物質があるからといって、その人が感染性のある新型コロナウイルスの粒子を持っているとは限りません。単に破壊されたウイルスの遺伝物質の断片が残っているだけの場合もあります」と述べました。

一方、アメリカの政治専門紙The Hillは「この調査結果は、州や地方自治体の経済再開や安全基準についての議論の際に重要になる可能性があります」としつつも、「KCDCの報告では、COVID-19から回復した人が抗体を獲得していると示唆されているにもかかわらず、再陽性の患者の44.7%にあたる126人がせきや喉の痛みといった症状を呈しています」と指摘して、状況は予断を許さないとの見方を示しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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