サイエンス

脳に電極を埋め込むことで目の見えない人に文字の形を伝えることに成功


目の見えない人に視力を与える手段として、眼球に埋め込むインプラントなどの研究が進んでいます。別のアプローチとして、脳に電極を埋め込み直接信号を送ることで、目の見えない人に文字の形を認識させるという研究がベイラー医科大学の神経科学者であるマイケル・ボーチャンプ氏らによって報告されました。

Dynamic Stimulation of Visual Cortex Produces Form Vision in Sighted and Blind Humans: Cell
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)30496-7

Blind people could 'see' letters that scientists drew on their brains with electricity | Live Science
https://www.livescience.com/drawing-letters-on-the-brain.html

「脳はコンピューターのディスプレイよりもはるかに複雑であり、完全に解明されていない部分も多いことから、光覚への刺激の組み合わせで認識可能な形を作り出すことは非常に困難でした」とボーチャンプ氏と同じく論文の著者である神経外科医のダニエル・ヨシャー氏は述べています。


実験では、被験者の視覚野に複数の電極を埋め込み、大脳皮質を数カ所刺激し、光の強弱を認識する感覚である光覚の反応を促すことで、目が見えない人でも文字を認識できるという手法が採用されました。コンピューターが複数のピクセルを組み合わせて文字や画像を表現するように、複数の光の点を組み合わせることで、光が文字の形に見えるよう電気信号が送られます。

実験は、目が見える3人と目が見えない2人の計5人を対象に行われました。被験者は脳の一次視覚野に、以下のように複数の電極を埋め込まれます。なお、各被験者は目が見える・見えないに関わらず、過去に脳に電極を埋め込んだ経験がある人が選ばれました。


例えば、「N」という文字なら、C06→F10→B10→C10→E10の順番で刺激を送ることで、被験者に「N」という文字の形を認識させることに成功。


被験者は見えた図形を指でモニターに書くことで、実際の図形と被験者が見た図形が一致するか確認を行いました。以下の画像は、電極が「N」の文字を描くよう脳に刺激を送った際の様子で、モニターにははっきりと「N」の文字が書かれています。


オランダ神経科学研究所の所長であるピーター・ロエルフセマ氏は、ボーチャンプ氏らの研究が有用な視覚補助として応用できるようになるまでには「克服すべき多くの課題がまだある」と述べています。また、ボーチャンプ氏らは論文の中で「我々の研究では数十個の電極を使用していますが、いずれ視覚補助のために何千もの電極が使われるでしょう。また、今後は電極が大脳皮質を貫通するように設計され、電極の先端が大脳皮質表面の数百ミクロン下にあるニューロンにも近づくようになるかもしれません」と将来の展望を語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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