新型コロナウイルスによる「世界規模のコンドーム不足」が生じる可能性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する世界中の各都市で、ロックダウンが実施されて不要不急の外出が禁じられています。このロックダウンは世界最大のゴム産出国のマレーシアでも続けられており、同国が誇る世界最大のコンドームメーカーカレックスが「2億個の生産数減」を発表しました。
Covid-19 sparking 'devastating' global condom shortage | New Straits Times | Malaysia General Business Sports and Lifestyle News
https://www.nst.com.my/news/nation/2020/04/582997/covid-19-sparking-devastating-global-condom-shortage
2020年3月16日、マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は同国で流行するCOVID-19の対策として、ロックダウンを発表。3月18日から3月31日までマレーシア全土に活動制限令を出しました。本令による具体的な制限内容は、「大規模集会の禁止」「マレーシア人の出国禁止」「外国人渡航者の入国禁止」「教育機関の閉鎖」「重要サービス分野を除く全ての政府・民間施設の閉鎖」です。
しかし、マレーシア政府は同国の状況を鑑みて、この活動制限令の延長・再延長を決定。活動制限令は少なくとも2020年4月28日まで続く予定です。4月1日以降は移動制限がさらに強化され、スーパーマーケット・デリバリーサービス・ガソリンスタンドの営業時間は午前8時から午後8時までの範囲に限定されました。
この活動制限令により同国の産業は影響を受けており、「グローバルな問題」に波及しつつあります。年間50億個を超えるコンドームを生産し、世界シェアの2割を占めるという世界最大のコンドームメーカーであるカレックスは、この活動制限令によりマレーシア国内にある全ての工場の操業を中止。同社が2020年3月中旬から4月中旬にかけて出荷するコンドームは2億個も減るという見通しです。
一方で、コンドームの需要は急激に増加しており、ロックダウンが続くインドのメディアは25~35%の需要増を報告。この現象は、COVID-19の流行により人々が自宅に閉じ込められたことが原因だと考えられていますが、シンガポールなどの一部の国で「手袋代わりにコンドームを指にはめる」という予防法が話題になったことも原因だといわれています。
「新型コロナウイルスの影響でコンドームの需要が急激に増加している」という報告 - GIGAZINE
コンドームの不足は世界規模での問題を引き起こしつつあります。国際連合人口基金(UNFPA)は同団体へのコンドームの供給量が例年の5~6割にとどまっていると報告。UNFPAの報道官は「コンドームなどの避妊具の不足は意図しない妊娠を増加させる可能性があり、未成年の少女や女性、パートナー、家族に破滅的な健康被害や社会的影響を及ぼす可能性もあります」と述べ、安全でない中絶の増加や性感染症やHIVのリスクの増大に対する懸念を表明。「コンドームの在庫が不足した場合、最も貧しく脆弱な人々が最も大きな打撃を受けます」と警告しました。
カレックスのゴー・ミア・キアットCEOは「間違いなく世界はコンドーム不足に直面するでしょう」「コンドームは必須の医療機器です。私たちは最善を尽くしていますが、現状はかなり困難です」とコメント。発展途上国へのコンドーム供給について特に懸念していると述べました。
中国のコンドームメーカーは業界王者であるカレックスの停滞を商機と考えています。年間10億個以上のコンドームを生産するHBMプロテクションズは生産が通常のレベルに戻ったと報告し、生産能力を2020年末までに3倍にするという以前からの計画を実行に移していると発表。Shanghai Mingbang Rubber Productsもコンドームの輸出量を増やすという意欲を見せているとのこと。
一方、日本のコンドーム製造会社大手であるオカモトは、「工場は日本国内に加え、中国、タイにありますが、いずれの工場も問題なく稼働しています。今後の展開は断言できませんが、今のところ、生産・販売に影響は出ておりません」とコメントしており、国内のコンドーム不足を懸念するニュースは報じられていません。また、オカモトの株価は全体的な下げ相場に反して2020年4月13日に昨年12月以来の高値をマークしています。
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